●「アトミック・ブロンド Atomic Blonde」
2017 アメリカ 87Eleven,Closed on Monday Entertainment and more. 115min. R15+
監督:デヴィッド・リーチ
出演:シャーリーズ・セロン、ジェームズ・マカヴォイ、ジョン・グッドマン、ティル・シュヴァイガー他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
この映画の魅力は3つ。まずシャーリーズ・セロンをこういうタフなスパイ役にキャスティングした
こと、二つ目は彼女を活かしたアクション(長回しの)、そして最後の二転三転のどんでん返し。
ストーリー的には、いろんな人が出てきてややこしいので、別に気にせずに見ていて良い。最後の
10分間で全部ネタバラシをしてくれるから。 激しいバイオレンス、レズビアンシーン、などで
R15+指定も、まあ仕方あるまい。まあまあ良いんだけど、メインのストーリー(ロシアに渡った
スパイのリストを奪還する?)はどうでも良いから、ウリのセロンのアクションをもっとたくさん
見せてほしかった。どうせ大どんでん返しで決着付けるんだから。全編の構成が主人公が過去の
出来事をボスたちに語るという体裁を取っているのも、タルい印象だったかも。原作がアメリカの
劇画なので、余計にアクションに特化したほうが面白かったと思った。

しかし、ポスプロの編集も入っているのだろうし、吹き替えやスタンドインももちろんやっている
だろうけど、シャーリーズ・セロン、40歳をとうに超えてるのに頑張っていましたね。はだかになると
やや痛い年齢になってきたかなあ。全裸の後ろ姿は男みたいだった。(鍛えてあるスパイの体型だからかな)

アクションに使われる(人を殺す)道具も、結構えげつないので、観ていて痛い。階段を蹴飛ばして
落とされるとことか、痛いだろうなあ、とかワインの栓抜きで喉を刺されたら、釘でオデコを打ち
抜かれたら痛いだろうなあ、とかリアリティはある。血しぶきもバシバシだし。
さすが、スタント育ちの監督さんらしい仕上げだ。娯楽作なので、意味を見出そうとかしない
ほうがいい。マカヴォイ他いろんな人も出てくるけど、どうでもいい感じ。ひたすらシャーリーズ・セロン。
そしてアクションとカーチェイスのシーンは非常に見応えが有る。

<ここから最後のネタを覚書のために書きますから、これから観たいという方は読まないでください>


イギリスのMI6のエージェント、ローレン(セロン)は、壁が壊される頃のベルリンに赴き、バレたら
世界情勢に大きな影響を与える極秘文章がKGBに奪われたのを奪還するとともに、二重スパイを摘発する
という難しい任務を与えられる。それで、なんだかんだとあり、MI6のメンバーだった男が二重スパイ
だったことが判明、仕留めることが出来た。さらに彼女は自分こそKGBの側につく二重スパイであると
KGBを安心させ、極秘文書を回収、そして乗り込んだプライベートジェットはCIAのもの。そう、ローレンは
CIAのエージェントで秘密裏にMI6に送り込まれ、KGB側のスパイであるとソ連さえ欺いていた、と
いうことなのね。
彼女の関係するアクションのキレの良さ、テンポ、アングル、そして音楽とラストのIKKOさん流に言えば
「せおいなげええっ」的な大どんでん返しが気持ちいい。中間は眠くなるので要注意。
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<ストーリー>
シャーリーズ・セロンがスゴ腕の諜報員を演じるスタイリッシュなスパイアクション。東西冷戦末期の
ベルリンを舞台に、二重スパイによって奪われた世界情勢に多大な影響を及ぼす極秘情報が記載された
リストを奪還しようとするスパイたちの攻防が描かれる。監督は『デッドプール』の続編を手がける
デヴィッド・リーチ。(Movie Walker)

 「モンスター」「マッドマックス 怒りのデス・ロード」のシャーリーズ・セロンが美しき最強女
スパイを演じるサスペンス・アクション。冷戦体制崩壊直前のベルリンを舞台に、極秘ミッションに
臨むヒロインが、次々と現われる刺客相手に壮絶な戦闘アクションを繰り広げるさまを、リアルかつ
スタイリッシュに描き出す。共演はジェームズ・マカヴォイ、ジョン・グッドマン、トビー・ジョーンズ。
監督はスタント畑出身で、「ジョン・ウィック」では共同監督を務め、「デッドプール」続編の監督にも
抜擢されるなどハリウッドで注目を集めるアクション演出のスペシャリスト、デヴィッド・リーチ。
(allcinema)

1989年、東西冷戦末期のベルリン。世界情勢に多大な影響を及ぼす極秘情報が記載されたリストが
奪われる。イギリス秘密情報部MI6は、凄腕の女性エージェント、ロレーン・ブロートン(シャーリーズ・
セロン)にその奪還を命じる。ベルリンに潜入中のエージェント、デヴィッド・パーシヴァル
(ジェームズ・マカヴォイ)と共に任務を遂行するロレーン。だが彼女には、リスト紛失に関与した
MI6内の二重スパイ“サッチェル”を見つけ出すというもうひとつのミッションがあった。
リストを狙って、ベルリンに集結する世界各国のスパイ。誰が味方で誰が敵なのか。敵味方の区別が
つかない状況の中、ロレーンと世界の運命は……?(Movie Walker)

<IMDb=★7.0>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:76% Audience Score:67%>



# by jazzyoba0083 | 2017-10-23 14:10 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

何者

●「何者」
2016 日本 東宝映画 「何者」製作委員会  98分
監督:三浦大輔  原作:朝井リョウ「何者」(新潮文庫刊)
出演:佐藤健、有村架純、二階堂ふみ、菅田将暉、岡田将生、山田孝之他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
「君の名は。」の川村元気が企画・プロデューサーとして入り、製作委員会もほぼ「君の名は。」の
メンバー。東宝映画、元気がいい。本作も、「川島部活やめるってよ」と同じ朝井りょうの原作が
良いんだけど、それにしてもこの配役、なかなかツボを心得ているな、と感じた。

原作は未読。「就活」なんて言葉すら無かった遠い昔の世代としては、現代の就活そのものの事情は
良くわからないが、それでも、本作にでてくるそれぞれのキャラクターの「あるある!」感には
シンパシーを覚える。そのあたりは今も昔も、普遍的な青春の懊悩なのだろう。
大人になってから、社会人になってからも彼らは同じような悩みを抱えて生きていくことになるのだが。
若いがゆえの人生経験から来る疑心暗鬼や不安、焦燥といったものがおそらく朝井りょうの描くところ
だったのだろうけど、映像表現としても良く出来ていたのではないかな。監督経験は浅い三浦監督頑張った
のではないか。

一見仲の良い大学の仲間であっても、就活が切羽詰まってくると、だんだん見えてくる本性。
他人はさておいて自分の個性を強烈にアピールするやつ、知らない間にちゃっかりと内定を
取ってくるやつ、社会に対し斜に構え、就活なんてよ、なんて言ってたやつが、キチンとツース
着ちゃっていたり。友人の和が微妙に色合いを変えていく。でもそれはそういうことなのだな、と
いう現代っ子らしい割り切りもあったり。
私らの世代にはバンバンが歌った「いちご白書をもう一度」の歌詞そのものだ。

あの頃は学生運動が学生側の敗北に終わり、社会にあかんべーしていた奴らも、スーツ着て
髪の毛切って会社員になっていった。主義とか主張とか押し殺して。それが社会人になり
お金を貰うことだと割り切って、敗北感にもにた感情を胸に仕舞って大学を卒業していったのだ
ったなあ。

そうした登場人物のキャラクターが生き生きと描かれていて面白かった。それぞれの俳優がそれ
ぞれのポジションの個性に合っていたように思う。あまり期待しないで観始めたが、短い映画、
なかなか面白く観せてもらった。自らを「何者」?と問える人間は、幸いなり。
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<ストーリー>
就活の情報交換のため集まった5人の22歳。かつて演劇サークルで脚本を書いていて人を分析するのが
得意な拓人(佐藤健)。天真爛漫で何も考えていないようで、着実に内定に近づいていく光太郎(菅田将暉)。
光太郎の元カノで拓人が思いを寄せ続ける実直な性格の瑞月(有村架純)。人一倍“意識高い系”でありながら、
結果が出ず不安を募らせていく理香(二階堂ふみ)。社会の決めたルールには乗らないと宣言しながらも
焦りを隠せない隆良(岡田将生)。

彼らは、海外ボランティアの経験やサークル活動、手作り名刺、SNS、業界の人脈等、様々なツールを
駆使して就職戦線を戦っていく。だが企業に入れば「何者」かになれるのか、自分は「何者」になり
たいのか……。そんな疑問を抱えながら就活を進める中、5人はそれぞれの思いや悩みをツイートするが、
就活のやり方やスタンスに嫌悪感を覚えることもあり、次第に人間関係が変化していく。そんな折、
拓人はサークルOBのサワ先輩(山田孝之)に相談するが、思うようにいかない現実に苛立ちを隠せなくなる。
やがて内定者が現れたとき、抑えられていた妬みや本音が露になり、ようやく彼らは自分を見つめ直し
始めるのだった。果たして自分は「何者」なのか……。(Movie Walker)




# by jazzyoba0083 | 2017-10-19 22:55 | 邦画・新作 | Trackback | Comments(0)

裸足の季節 Mustang

●「裸足の季節 Mustang」
2015 フランス・トルコ・ドイツ CG Cinema. 97min.
監督・(共同)脚本:デニス・ガムゼ・エルギュヴェン
出演:ギュネシ・シェンソイ、ドア・ドゥウシル、トゥーバ・スングルオウル他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
邦題から見て、もう少しチャラい映画か、と思ったら、やはりカンヌなど
それ系で評価されたのも頷ける結構重い内容だった。原題は「野生の馬」
なわけだけど、意味としては理解出来る。今でもトルコの田舎では、この
映画で描かれるような封建的な風習というか制度が残っているのだろう。
それを思うと、5人姉妹の思いに胸が潰れる思いだし、自由がある、ということが
どんなに大切なことか、特に若い人たちに対して重要か、が良く分かる。
暮らしや人間性の否定に繋がる封建制度は、しつけとか処女性とかだけでは
なく、自由な発想や芸術文化の圧迫にも繋がるんだなあ、と感じた。

イスラムの世界で女性はいつごろから頭をスカーフみたいなもので覆わなくては
ならないのか知識が無かったが、おそらく中学生くらまでは結構自由な感じ
を受けた。しかしある年齢になると親の決めた男性と処女性を極めて
重んじられた結婚を押し付けられる。

この映画ではイスタンブールから1000キロ離れた田舎町で、両親が早くに
亡くなり、おばあちゃんに育てられている5人姉妹のある夏を描く。

黒海にちかいため、学校帰りに海に制服のまま入って男子生徒とじゃれあい、
男子生徒に肩車をしてもらった、というだけで、もう村中に「はしたない」
という噂が流れる。女の子は男子となんか遊ばず、親の言うことを聞いて
良妻賢母になるべし、という教育で、結婚前は処女検査があり、初夜には
ベッドに血が付いているかいないかで大騒ぎとなる、という今の先進国では
到底考えなれないアナクロニズムで覆い尽くされている。一方で、こうした
いわば「天から与えられた自由」と私達が思っていることが、まったく認め
られない世界が、まだまだ地球上にはあるのだろう。

姉妹は自由奔放で、まあ、どの国でも若い人は大人の言うことは煩くて
自由にしていたいもの、束縛を嫌うものだが、姉妹の住むあたりでは頭から
押さえつけられる。それでも家から脱走してサッカーを観に行ったり
ボーイフレンドと会ったりするのだが、おじさんに家の窓に鉄格子を付け
られ、家の周りにはまるで刑務所のような高くて頂上に槍のような鉄骨が
突き出ている塀が作られた。もう籠の鳥そのもの。

映画の中の救いはそれでも姉妹は何とか抜け出そうと明るく諦めないことと、
末娘の活発な頭のいい行動力だ。まだ高校生くらいなのに上の姉二人が
同時に結婚させられ、いよいよ大人の世界の戒律にがんじがらめになろうと
する時、3番目の姉に悲劇が襲う。4番目の姉の時は家に閉じこもり反乱。

二人して高い塀を乗り越えて、脱出する。末娘は普段から自動車の運転を
研究していて、家からキーを取り、金を奪ってクルマに乗り込み夜道を
走る。しかし途中で脱輪してしまう。そこに以前から(サッカーに行く時に
止まってくれたトラック運転手)親しくし、クルマの運転も教えてくれた
男を呼び出し、彼のトラックに乗ってイスタンブールを目指す。

映画の冒頭で、末娘の大好きな女先生が異動で担任を外れてしまい、
姉らから慰められるシーンがあるのだが、その女の先生の住所を知って
いたので、そこを探し当て、末娘が先生の胸に飛び込むところで映画は
終わる。

旧習に立ち向かう若い女性のみずみずしい感性が、短い時間で上手く描かれ
ている。5人がそれぞれのキャラクターを持ち、それぞれの青春を生きるの
だが、最後に先生のところにたどり着いた末娘は、それからどうしていく
つもりだったのか。製作協力にトルコ文科省が付いているが、自分の国の
因習をいわば外に出したら恥と感じられる部分が描かれているのに、よく
お金を出したと思う。
若者の自由を求める純粋な気持ち、それを抑圧する古い考え。それに負けない
女性たち。トルコ政府が推奨しようとする点があったのだろうか。
それとイスラムの戒律がどうの、という点には繋がらないところがミソか。

5人全員の結末は全部がめでたいわけではないが、すがすがしい5人姉妹に
拍手を送りたくなるような映画だった。いろんな映画祭で評判になるのも
分かる気がする。短い映画なので、機会があれば観てみるとよいと思う。
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<ストーリー>
アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた、デニズ・ガムゼ・
エルギュヴェン監督の長編デビュー作。
両親を亡くし祖母の家で暮らしている5人姉妹。学校生活を謳歌していたある日、
古い慣習と封建的な思想のもと一切の外出を禁じられてしまう。
オーディションで選ばれた姉妹役の5人は、三女エジェを演じたエリット・
イシジャン以外は演技初体験の新人。

イスタンブールから1000km離れた黒海沿岸の小さな村。10年前に両親を亡くした
美しい5人姉妹、長女ソナイ(イライダ・アクドアン)、次女セルマ(トゥーバ・
スングルオウル)、三女エジェ(エリット・イシジャン)、四女ヌル(ドア・
ドゥウシル)、そして末っ子の13歳のラーレ(ギュネシ・シェンソイ)が、
祖母(ニハル・コルダシュ)と叔父エロル(アイベルク・ペキジャン)のもとで
暮らしている。

ラーレの大好きなディレッキ先生がイスタンブールの学校へと異動になった日、
姉妹たちは下校の途中、海で無邪気に男子生徒の肩にまたがり、騎馬戦をして遊んだ。
帰宅すると、隣人から告げ口された祖母が怒りの形相で「男たちの首に下半身を
こすりつけるなんて!」と、ソナイから順番に折檻していく。

この日以来、姉妹たちは外出を禁じられ、派手な洋服やアクセサリー、化粧品、
携帯電話、パソコンも没収される。文字通り“カゴの鳥”となった彼女たちは
花嫁修業を命じられる。地味な色の服を着させられ、料理を習い、掃除をし、
毎日のように訪ねてくる村の女たちが花嫁として必要なことを伝授していく。

次々と見合い話がまとめられ、婚礼の日を迎える。浴びるように自棄酒を飲み干し、
涙を流すセルマに、「結婚したくないなら逃げて」とラーレは話しかける。
しかしセルマは、「どこへ逃げればいいの? イスタンブールは1000キロ先よ」と
諦めたようにつぶやく。この夜が、姉妹が揃う最後の日となった。
ラーレは祖母のへそくりから金を盗み、アリバイ工作のため自分の髪を切って
人形に縫いつける。そして運命を切り開くための計画を強行する……。
(Movie Walker)

<IMDb=★7.7>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:98%Audience Score:88%>


 

# by jazzyoba0083 | 2017-10-16 22:50 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー) War for the Planet of the Apes」
2017 アメリカ Chernin Entertainment (Dist.,20th Century Fox) 140min.
監督・(共同)脚本:マット・リーヴス
出演:アンディ・サーキス、ウディ・ハレルソン、スティーヴ・ザーン、アミア・ミラー、カリン・コノヴァル他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想:ネタバレに近い内容なので、これから鑑賞する方はお気をつけください>

第一作の、あの砂浜に埋もれた自由の女神の作品に繋がるリブート版最終作。(と思う)
この三部作は結局シーザーの一生を描いたことになるのだ。前2作がとても好きだったので
最終章と聞いたからには何が何でも観ておくべき、と3D IMAX上映のシネコンまで遠征して鑑賞
してきた。2時間20分。長いが、長さは感じない。それだけ緊張感は継続出来る作品として
出来上がっていたとは思う。思うが、リブート3部作の中では一番内省的で、ある意味地味である。
そしてシーザーの映画そのもの、と言い切れる作品だ。前二作でも当然シーザーは主役(級)では
あったが、人間との関わりが主題の大きな部分を占めていた。しかし、本作は全編基本的にシーザー物語。

全作の新世紀(ライジング)のストーリーが好きだな、という人はちょっと違和感を感じるかも
知れない。というのは本作は人間目線の描き方は全くされておらず、終始エイプ目線だからだ。
それが一貫した迫力を生んでいる、という点は否定しないが、私としてはもうちょっとバラエティが
欲しかったかなあ、という感じ。これはこれで作品としてきちんとまとまっているし、面白くて観る価値の
ある(特にリブートを見てきた人には)作品だとは思う。

原題の最初の単語がwarなので、全編徹底して戦いを描く。猿の仲間でも人間に使われ「ドンキー」と
呼ばれ平穏を得ている猿との間のことなどもあるが基本は、猿を殲滅しにくる人間対エイプの戦いの
物語である。
人間との戦いで、妻と子供の一人を、殺され、復習の鬼となるシーザーは、前作でコバという
復讐に駆られた仲間のエイプをあれだけ非難していたのに、「俺はコバになってしまった」と
いわしめるほどの復讐心に燃えるのだ。まあ、最愛の妻と子供を殺され、もう一人の子供が拉致されて
いる状態では、見ている方はシーザーの心は分かりすぎるほどで、人間なのに思いっきり猿を応援しちゃう
んだけどね。

だが、部隊を率いる大佐を追っているうちに、率いなければならなかった仲間は大佐に囚われ壁作りの
苦役をさせられていた。

大佐を一人で追いかけようとするシーザーにロケットやモーリスらの数匹が仲間に加わり、途中で
誤って殺してしまった脱走兵と一緒にいた少女(ノヴァと名付けられる)が同行、さらにバッド
エイプというお笑い担当も加わり、大佐に迫る。しかし、結局シーザーは大佐に捕らえられてしまう
のだが。復讐鬼となるシーザーに対し、「仲間と共に」というテーゼの暗喩的存在がノヴァだ。
それにしても、大佐はなんであんなに簡単に自殺しちゃったのか、そのあたり良くわからなかった。
何か見落としたのかな。

囚われたシーザーが仲間の手を借りて脱走、大佐を攻撃する他の人間の攻勢、そして自然の怒り、
地球に住む同士、何をやっているのかという神の怒り的暗喩(だと感じた)大雪崩の発生などあたりが
ハイライト。そして結末と。(悲劇的だが)適切な終わり方だと思う。

書いてきて思ったのだが、映画としてはちゃんとしている。でも三部作では新世紀が一番好きだな。
本作もいいんだけど内省的で重く苦しく悲しい。(そここそ本作の狙い目なのだと思う。クドくてゴメン)
最後にあの自由の女神が何らかの形で出てくるかと思ったのだけれど、舞台はサンフランシスコあたり
だものなあ。これがどうやって舞台としてNYにつながっていくのか。チャールトン・ヘストンは
コーネリアス博士とノヴァとともに西海岸から東海岸まで歩いたということでOK?。本作でシーザーの
次男としてそのコーネリアスが、登場。1作目を観ていないと面白さが分からないところ。
そして口のきけない女の子ノヴァこそ1作目に登場するノヴァである。

シーザー、お疲れ様。ほんとにリブートはこれで終わりかなあ。スピンアウトとか出てきたり?
それにしてモーションキャプチャとVFXの出来はどんどん良くなる。
それと大佐のありようや地下の壁に書かれた「猿の黙示録」という落書きなど、他の映画への
オマージュにもニンマリだ。
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<ストーリー>
高度な知能を得て反乱を起こした猿たちと人類の戦いを描く、人気SFシリーズの第3弾。猿のリーダーで
あるシーザーがその使命感と家族を奪われた復讐心の狭間で葛藤する物語が描かれる。前2作に引き続き、
アンディ・サーキスがシーザーを演じる。監督は『猿の惑星 新世紀(ライジング)』のマット・リーヴス。

高度な知能を得た猿と人類の全面戦争が勃発してから2年後。シーザー(アンディ・サーキス)率いる
猿の群れは森の奥深くに身を潜めていたが、ある夜奇襲を受け、シーザーの妻と年長の息子が落命。
敵の軍隊を統率する大佐(ウディ・ハレルソン)への憎しみから、シーザーは仲間たちを新たな隠れ
場所に向かわせ、穏やかなオランウータンのモーリス(カリン・コノヴァル)やシーザーの片腕的な
存在のロケット(テリー・ノタリー)らを伴い復讐の旅に出る。

道中、口のきけない人間の少女ノバ(アミア・ミラー)や動物園出身の奇妙なチンパンジー、
バッド・エイプ(スティーヴ・ザーン)を加え、大佐のアジトである巨大な要塞にたどり着いた一行。
しかし復讐心に燃えいつもの冷静な判断力を失ったシーザーは、執拗に彼を狙う大佐に捕獲されてしまう。
そこで新天地に向かったはずの仲間たちがこの刑務所のごとき施設に監禁され過酷な重労働を課せられて
いることを知り、責任を痛感したシーザーは大切な仲間を希望の地へと導くため、命がけの行動に出る。
(Movie Walker)

<IMDb=★7.6>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:93% Audience Score:85%>





# by jazzyoba0083 | 2017-10-14 12:10 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「デュバリイは貴婦人 Du Barry Was a Lady」
1943 アメリカ MGM  101min.
監督:ロイ・デル・ルース  製作:アーサー・フリード
出演:ルシル・ボール、ジーン・ケリー、レッド・スケルトン、ヴァージニア・オブライエン
エヴァ・ガードナー、ラナ・ターナー、トミー・ドーシーと彼の楽団、パイドパイパーズ他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
このブログのタイトルは、MGMのレビュー~ミュージカルの栄光を描いた映画から
取ったことは皆さんすぐにお分かりでしょう。そのように私は1940年代から60年代の
ミュージカルが大好きで、特にMGMと20世紀フォックスの諸作品は大好き!

しかし、この映画は未だ観ておらず、毎月開催される市の映画鑑賞会で上映されたので
いそいそと出かけました。これがまた面白くて、テクニカラーが綺麗で、コール・
ポーターの曲、売り出し中のジーン・ケリーの若いタップ、トミー・ドーシーの
華麗な音楽とジョー・スタッフォードを含むパイド・パイパーズやモノマネトリオの
オックスフォード・ボーイズが上手く歌手やジャズプレイヤーの歌マネを披露、
なんと幸せな映画だろう。これを昭和18年に創るアメリカって・・・。
しかもセット、ロケ、衣装、すべてに金をしっかり掛けて手を抜いていない。
MGMのミュージカルプロデューサー王、アーサー・フリードの面目躍如の出来だ。

もちろん主役格のルシル・ボール、変顔を含めコミカルな味が良いレッド・スケルトンも
申し分ない。ルシル・ボールは私はテレビの「ルーシー・ショー」をリアルタイムで
観ていた世代。(陽気なルーシーではない)そこそこお年を召されてからの彼女だった
ので、若い時の感じはこうだったか、と見入ってしまった。赤毛の美人ではあるが、
本作にエスカイアガールとして紹介されるラナ・ターナーのほうが綺麗かな。
(映画の中のルシルの歌声は吹き替え)

この手の物語はどちらかというとどうでもいいのだが、役どころを紹介しておくと、
ルシル・ボールはナイトクラブのショーガール、育った環境が貧しく、とにかく
お金持ちと結婚したくてしかたがない。クラブで働きタップも披露しているジーン・
ケリーとクロークボーイのレッド・スケルトンとが彼女を狙っていた。
ルシル・ボールは熱烈に求愛してくるジーン・ケリーが好きなのだが、どうしても
お金のことが頭にあり、結婚までは踏み切れない。

一方、スケルトンは15万ドルの宝くじが当たり、一夜にして大金持ちに。お金に
目がないルシルにプロポーズするが、恋敵のジーン・ケリーに飲ませるはずの
睡眠薬を自分が飲んでしまい、夢の世界に。そこは中世のフランスでスケルトンが
ルイ15世になって、ルシル演じるマダム・デュバリイに恋をする、これを邪魔する
人民の味方ブラック・アロー(ケリー)。結局、中世でもルシルはケリーに恋して
いて、お金が全てではないと悟るのだった。
他愛のない話で、典型的なハッピーエンド。最期はトミー・ドーシーも入って
5人で「フレンドシップ」という歌を歌って幕となるのだ。

主人公たちだけではなく、ナイトクラブで怪しい水晶占いをする男とか、本編に
あまり関係ないギャグも散りばめられ、「お笑い映画」としても楽しめる。
さらに当時人気絶頂だったトミー・ドーシーの演奏が数曲たっぷり聞けるのも
珍しい。
とにかく欲張りな映画だ。Blu-rayがあればコレクションに加えようかなあ。
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<ストーリー:全部書かれています>
ブロードウェイでヒットした同名のミュージカルを、音楽映画専門のアーサア・フリイド
「踊る海賊(1948)」が製作映画化したもので、レッド・スケルトンの出世作として
知られる。原作はB・G・デシルヴァとハーバアト・フィールズ「アニーよ銃をとれ」、
これを「泣き笑い人生」のアーヴィング・ブレッチャアが映画様に脚色、
「テレヴィジョンの王様」のロイ・デル・ルースが監督に当った。
音楽は原舞台そのままコール・ポーターの作詞作曲を中心にしている。
撮影は「風車の秘密」のカール・フロイント、ダンス監督は「イースター・パレード」の
監督チャールズ・ウォルタアズが担当する。

ナイト・クラブ「プチィット」の花形メイ・デリイ(ルシル・ボール)は、同僚の
2枚目歌手アレック(ジーン・ケリー)と、クロークのルイ(レッド・スケルトン)
から想いを寄せられていた。
彼女はアレックの愛を感じながらも、夫となる男は百万長者でなければならぬと、
彼の申し込みをはねつけていたが、ある日ルイが富クジに当って彼女に申し込んだ
ことから、愛もなく彼の金と結婚することを承諾した。

驚いたアレックは2人の仲を割こうとしたが、それを止めるため彼に一服盛ろうと
ルイは逆に眠り薬をのまされてしまい――そしてルイは夢の中でルイ15世になって
いる自分を発見した。彼は寵姫デュバリイを別荘に訪ねると、これがメイで、王に
接吻を許さない。そこへ現れた革命党の指導者ブラック・アロウ(実はアレック)は
王を脅かして逃亡した。その夜党の隠れ家に彼を訪れたデュバリイはすっかり彼に
惚れ込んでしまったが、群衆と衛兵の間に激戦が起こり、ブラック・アロウはついに
捕らえられた。翌日彼の死刑が執行されることになり、デュバリイは王に助命を乞うて、
王も仕方なくこれを許したが、総理大臣がそれはならぬと王に白刄をつきつけた時――
ルイはやっと目が覚めた。

この夢で、愛は金で買えぬことを悟ったルイは、メイをアレックにゆずろうと1万ドルを
引き出ものに出しかけたが、たちまち税務署にふんだくられ、そしてまた元の無一文に
帰った彼らは、すべてまことの愛に生きるのであった。(Movie Walker)

<IMDb=★6.4>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:--- Audience Score:47%>



# by jazzyoba0083 | 2017-10-12 11:30 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

●「われらが背きし者 Our Kind of Traitor」
2016 イギリス・フランス Studio Canal,Film 4. 107min.
監督:スザンヌ・ホワイト  原作:ジョン・ル・カレ「われらが背きし者」
出演:ユアン・マクレガー、ステラン・スカルスガルド、ダミアン・ルイス、ナオミ・ハリス他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
なかなか面白く観た。ジョン・ル・カレの小説が上手く出来ているんだろうなあとは
思うが、長編二作目のイギリスの女性監督、なかなか頑張っているんじゃないか?
もともとテレビ畑のディレクターとして育ってきた人だが、フィルモグラフィーを
見ると結構ハードボイルドな作品を手がけている。得意なんだろう。本作も同様だ。

さてサスペンスには「巻き込まれ型」、というタイプがあるが、これはその典型。
大学の先生が、というのもリーアム・ニーソンのものを含め何本か観たような
気がする。本作ではモロッコを舞台に、たまたま知り合った大学教授(ユアン)が
ロシアマフィアの会計係(スカルスガルド)が、教授の妻(弁護士)と、マフィアの
家族を巻き込みつつ、自分もまともに事件に関わっていってしまうというお話。

ロシアマフィアの会計係が、家族を助け、イギリスに亡命するために、教授が結果
手助けすることになるのだが、自分が握るイギリスの議員連中とマフィアの関わり
を示す銀行口座などのデータを土産にイギリス政府に保護を求めるのだが、
MI6はまともに関わろうとせず、たった二人の担当官が教授の味方となってくれる。

教授夫妻、マフィアの会計係とその家族、マフィアの新しいボスにのし上がった
プリンスという男、そしてロシアマフィアと関わりがあるイギリス政府(の一部)や
議員たち、これらが織りなす様々なシチュエーションがダイナミックに描かれ、
緊張感も最期まで引っ張ってくれるし、ラスト、これでは終わらないよなあ、と
思っていると、やはりキチンとカタルシスは用意されている。
ちょっと描ききれてないのは(本筋に余り関係ないからか)教授と妻の関係と、
妻は弁護士なのにそれなりの活躍が描かれないのは不思議だった。(教授と妻は
二人の関係の修復にモロッコに来ていたのだから)

キャスト的にはロシアンマフィアの会計係を演じたステラン・スカルスガルドが
魅力的だった。原題も邦題も分かりづらい。原作がそうだから仕方ないけど。
なかなか楽しめるサスペンス映画となっていると思う。
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<ストーリー>
モロッコでの休暇中、イギリス人大学教授ペリー(ユアン・マクレガー)とその妻ゲイル
(ナオミ・ハリス)は、偶然知り合ったロシアンマフィアのディマ(ステラン・スカルスガルド)から、
組織のマネーロンダリング情報が入ったUSBをMI6(イギリス秘密情報部)に渡して欲しいと
懇願される。
突然の依頼に戸惑う二人だったが、ディマと家族の命が狙われていると知り、仕方なく
引き受けることに。だが、その日を境に二人は世界を股に掛けた危険な亡命劇に巻き込まれ
てゆくのだった……。(Movie Walker)

<IMDb=★6.2>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:73% Audience Score:51% >



# by jazzyoba0083 | 2017-10-11 22:50 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)

●「シークレット・デイズ Every Secret Thing」
2014 アメリカ Hyde Park Entertainment and more.93min.
監督:エイミー・バーグ 原作:ローラ・リップマン『あの日、少女たちは赤ん坊を殺した』
出演:ダイアン・キートン、エリザベス・バンクス、ダコタ・ファニング、ダニエル・マクドナルド、ネイト・パーカー、コモン他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
なかなか豪華な配役。全員、愛に飢えているんだなあ、と思えるヒリヒリ感は出て
いたと思う。でもやはり1時間半で描ききれていない母と他人の娘の偏愛事情など
もう少し厚みは付けられるのでは?と感じた。

原作ものなので、骨子は動かしづらいと思うし、恐らくこの女流監督、原作者の
思いを忠実に描こうとしたことは分かるし、そこそこの描き方は出来ていた。
ヒリヒリ感に対応する映像、脱色系のカラー、音楽と全体としてのまとまりも
そこそこだったと思うが、一番最後の巨悪の存在が映画の本論とは違うところに
いっちゃってないか(原作がそうなのなら仕方がないが)。おっとびっくりな
エンデイングで、それはそれでいいのだが、あれ?こいういう終わり方で、話として
良かったのか?と。(母親の存在こそ全ての根源=この事件に関しては=ということか)

ロニー(ダコタ)とアリス(ダニエル・デブの方)の、一体どっちが本当のことを
言っているのか、という当たりがミソで、次第にダニエルの母(ダイアン)の本性が
分かってくる。冒頭のミスリードっぽい描き方からだんだんアリスの少年院時代の
事情が判明、それに伴う犯行(少女拉致)が見えてきて、その背後にいるアリスの
教師である母(ダイアン)の、歪んだ愛情が浮き上がる。二人の少女の愛情に飢えた
恐ろしさも当然あるわけだが、その犯行の始末をしたのは全てアリスの母親の仕掛け
だった。教師ゆえの偏愛か、それとも母のオリジナルの性格なのか。

彼女は子どもを愛しているのか愛し方が変なのか、そのあたりの恐ろしさと
いうものは受け取れる。全体としてどこか勿体無い映画になってしまっているなあ、と
感じた。配役もいいのに、ダイアンやダコタの良さが今ひとつ出てこない。
女刑事とその子どもの愛情ももう少し対比的に描かれるとわかりやすくなったのでは
ないかなあ。
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<ストーリー>
全米ベストセラー小説「あの日、少女たちは赤ん坊を殺した」を映画化。赤ん坊が
殺される、陰惨な事件で幕を開けるミステリーだが、現在の事件の捜査を描く一方、
並行して7年前の事件の意外な真相を明かしていく趣向で、最後まで目が離せない。
レイン、ファニング、バンクスなど、今が旬の女優が集まり、ドキュメンタリー
「ジャニス:リトル・ガール・ブルー」などを手掛けたA・バーグが監督し、
プロデューサーのひとりが女優F・マクドーマンドという、ウーマンパワーの結集も
貴重。WOWOWの放送が日本初公開。

地方の町オレンジタウン。初のアフリカ系判事の孫娘である赤ん坊が誘拐され、
遺体になって見つかる事件が発生。いずれも11歳の少女2人、ロニーとアリスが
逮捕されて少年院へ。7年後、2人が少年院を出た直後、3歳の幼女ブリタニーが
家具店で何者かに連れ去られる事件が起きる。
7年前の事件を担当して昇進した女性刑事ポーターが捜査に当たるが、ロニーも姿を消す。
アリスは事情聴取で7年前の事件と自分は無関係と主張する。
(WOWOW)

<IMDb=★6.1>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:31% Audience Score:32% >




# by jazzyoba0083 | 2017-10-10 22:40 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「ハングリー・ハーツ Hungry Hearts」
2014 イタリア Wildeside,Rai Cinema.109min.
監督・脚本:サヴェリオ・コスタンツォ  原作:マルコ・フィランツィーゾ
出演:アダム・ドライヴァー、アルバ・ロルヴァケル、ロバータ・マクスゥエル、アル・ローフェ他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
本作の感想の前に、欧州映画のことについて触れておきたい。この作品で、主役の二人は
2014年度のヴェネチア国際映画祭で最優秀男優、女優賞に選ばれている。作品全体の
出来が良くなければこうしたことはないので、一定の評価は受けているのだろう。
他の作品のブログでも触れたが、私はいわゆる世界三大映画祭と言われる「ヴェネチア」
「カンヌ」「ベルリン」で賞を獲るタイプの映画があまり好みではない。どういう映画かというと
精神的、内向的、形而上的、哲学的とでもいうのか、非常に神経質な映画という風にとらえて
いて、いかにエンターテインメントのふりかけが掛けてあっても、どうも好みに合わないのだ。

そうした映画を好む人を非難しようというのではない。それはそれで立派な嗜好であるし、
イタリアやフランスで綿々と続いている「精神的社会を描く」作風の良さを認められる人であるから。
私はそれはそれで羨ましいと思う。私も三大映画祭の作品の中でも面白い!と思うものがある。
だが、個人的な嗜好はハリウッド・エンターティンメントに向いているのだ。先日の「パターソン」
(これもアダム・ドライヴァーだった)のジャームッシュ、スパイク・リー、アルトマンらの描く世界の
ほうが同じ精神的な側面を取り上げてあっても好きなのだ。賛同いただけるかどうかの問題では
なく、そうした嗜好を持っている映画好きもいるということをご理解頂いて本作の感想を
お読みいただきたい。アメリカの映画評価サイトでは評価が低く出るのある意味仕方がないの
だろう。

この映画には原作がある。書籍的に評価されたものを映像化してそれと同程度の良いものが
出来るか、あるいは原作を凌駕できるものになるかは題材による。本作のように精神世界を
描いたものは、なかかな原作に迫るのは難しいのではないか。たとえば村上春樹の「1Q84」を
映画化することを思ってみると良いかもしれない。

イタリア映画だがオールNYロケで、日本での配給元によればジャンルは「サスペンス」である。
そして、「満たされない心」とでも訳すのか、心が複数形になっていることに注目すべきであろう。
出だし。NYの中華料理店の男子用トイレ。下痢で飛び込んだジュード(ドライヴァー)が
用を足している所に間違って入ってきてしまったイタリア大使館勤務のイタリア人?ミナ。
間違って入ってきてしまったがドアがスタックして出られなくなってしまう。そこが主人公たちの
出会いである。トイレは10分以上の長回し。なかなか面白い出だしであり、その後、何を間違ったか?
(演出に決まっているが)映画「フラッシュダンス」のテーマ「What a feeling」に乗せての
結婚披露宴とテンポも良い。そしてミナに起きる転勤話、望まぬ出産・・・。
このあたりからホラーのテイストさえ帯びてくる。ミナは非常に神経症的というかサイコパスとでも
言えるような性格で、占いを信じ、自分の子は「インディゴ」(選ばれた子)であると信じ、
超音波を嫌がり医師を拒絶、屋上に作った温室で育てた野菜しかたべないビーガンなので、胎児は
育たず、更に本人の栄養不足もあり自然分娩もムリといわれる。が頑として聞き入れない。

そして男の子が生まれるのだが、子供にも野菜しか与えず、外に出さず、誰にも合わせず、
日光に当てず、という育て方をしていた。あまりのことにジュードは医師に相談するが、
動物性の蛋白を取らせないとダメだ、危険だ、と言われる。ジュードはミナがいない時
ベビーフードなどをこっそり与えるのだが、ミナは吸収を阻害するオイルを与えてしまう。

発育不足は明らかだった。しかし、ミナは自分の子供は特別だと言い、絶対に言うことを
聞かない。困り果てたジュードはケースワーカーに相談し、ミナから子供を奪って母親のところに
預けた。しかし、ミナはやってきて、変なオイルを与えている。やがて子供の取り合いから
ミナが転倒し怪我をする。ミナはこれを警察に訴え、親権を警察の手により奪ってしまう。
しかし、これを不幸とみたジュードの母親に猟銃で射殺されるのだ。

手早く言うとそういう話なのだが、とにかくミナを演じたロヴァルケルの演技がもう天然の
サイコパスではないか、と思われるくらい不気味でイラつく。母親の気持ちもわからない訳では
ないのだが、子供のことを思え!と怒れてくる。どうオチを付けるのかと思っていたら、これが
ちょっと味気ない幕切れ。おばあちゃんの心も分かる。子供に名前をつけないとはどう言うこと?

ミナ(ロヴァルケル)は登場した時から何かしら精神的にやばい感じを醸し出していた。これは
ほぼ精神的にやられた悪い母の話なのか、そうした境遇に追い込んだジュードのせいなのか、
ハーツ、と複数形であるように、おばあちゃんも含め、満たされぬ心(たち)の話なのだろうか。
とても欧州的、イタリア的なアプローチの映画だと感じた。

加えれば、画作りがとても凝っていて、ちょっと見られないアングルとか、魚眼を使ったショット
ジャンプカット気味の編集とか心理を表そうとする映像面の工夫は買いたい。
ただ、なにせ、観終わって、とても気分がスッキリしない、なんか映画の闇を引きずってしまうような
作品。心の調子が悪いときに観るものではありません。ご注意を。
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<ストーリー>
ニューヨークで運命的に出会い、恋に落ちたジュードとミナ。やがて結婚し、2人の間には
可愛い男の子が産まれる。それは幸せな人生の輝かしい始まり――のはずだった。
しかし息子の誕生後、独自の育て方にこだわり神経質になってゆくミナは、息子が口にするもの、
触れるものに対して次第に敵意と恐怖心を露わにし始める。やがてその攻撃の矛先は、
医者や友人そしてジュードの母親、更にはジュード本人にまで向けられてゆくが、彼はそんな
妻の異常とも取れる頑なな愛情を、何とか理解し、支えようとする。
しかしその結果、息子の体が徐々に変調をきたし始めたことで、ジュードは遂にある決断を迫られる。
果たして、その答えの先に、彼らを待ち受けるものとは―。(日本配給:クロックハーツHP)

<IMDb=★6.4 >
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:64% Audience Score:53% >







# by jazzyoba0083 | 2017-10-08 22:50 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「バーン・カントリー Burn Country」
2016 アメリカ ACE Productions.102min.
監督・(共同)脚本:イアン・オールズ
出演:ドミニク・レインズ、メリッサ・レオ、ジェームズ・フランコ、レイチェル・ブロズナハン他
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<評価:★★★★☆☆☆☆☆☆>
<感想>
日本劇場未公開。WOWOW「ジャパン・プレミア」で鑑賞。何度となく途中で
観るのをやめようかと思ったが、オチをどうつけるのか、映画をどうまとめるのか、
知りたくて最期まで観た。あかんわ。この手の映画。何を言いたいのかよく分からない。

アフガニスタンから移民してきた現地でジャーナリストの助手みたいな仕事をしていた
オスマンが、現地で手伝っていたジャーナリスト、ゲイブの助けで彼の実家に世話に
なる形で移民してきた。が、その街はおよそカリフォルニアとは思えない(というか
ホテル・カリフォルニアがBGMで流れるくらいだから70年代で時間が止まって
しまった街、ということが出来る)カルトな街。ゲイブの母は保安官で、彼女が
関わる事件を通して、オスマンは異文化との衝突を体験する。おそらくムスリムであろう
彼がみるコンミューンな生活や、どこかオカシイ人がいろいろ出てきて混乱する。

冒頭からラストまで、とにかく「変」。「カルト」。アフガンから来た青年が、
ジャーナリストを目指して頑張ろうとするにはあまりにも不適格な街に来てしまった、
ということだろう。ラストシーンはアフガンにいるゲイブが携帯電話を通して
聞かせてくれるアフガンの風の音。オスマンは「少し帰りたい」と言うが、彼は
故郷の風の音に何を感じたのだろうか。

せっかくの話の骨格が、設定やキャラクター付けのなかでぐじゃぐじゃになっていった
感じだ。準主役級のリンジー(ジェームズ・フランコ)の最期の様子も良く理解
出来ないまま終わってしまった。全体として残念な映画と私には感じたのだった。
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<ストーリー>
「127時間」で第83回アカデミー賞の主演男優賞にノミネートされたJ・フランコ、
「ザ・ファイター」で同年度アカデミー賞の助演女優賞を受賞したM・レオ、
イラン出身の中東系男優D・レインズなど多彩な顔ぶれが集まったインディーズ
映画の意欲作。
アフガニスタンから米国に亡命した元戦場記者が主人公なのもユニークだが、
発生する殺人事件の真相究明の流れもオフビート。テイストが似ているのは
「ウィンターズ・ボーン」だろうか。まずは独自の余韻が鮮烈な印象を残す1本だ。
WOWOWの放送が日本初公開。

カリフォルニアの田舎町。母国アフガニスタンで戦場記者だったが米国に亡命した
オスマンは、記者仲間ゲイブの母親で、保安官をしているグロリアの家に居候する
ことに。地元新聞で小さな仕事を得たオスマンは、新たに友人になった男性リンジー
から、ある兄弟が裏社会の実力者であると教えられ、記事にできないかと考えだす。

やがて、兄弟の手下の男性が何者かに殺される事件が発生した直後、リンジーが
行方不明になってしまい……。(WOWOW)

<IMDb=★4.7>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:60% Audience Score:49%>




# by jazzyoba0083 | 2017-10-06 22:40 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「盗聴者 La mécanique de l'ombre」
2016 フランス・ベルギー  2425 Films 91min.
監督・(共同)脚本:トマス・クライトフ
出演:フランソワ・クリュゼ、ドゥニ・ポダリデス、サミ・ブアジラ、アルバ・ロルヴァケル他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
日本未公開のサスペンス。WOWOW「ジャパン・プレミア」にて鑑賞。
事件の大本になる、コートジボワールだかどこだかの人質事件とその釈放交渉を
巡り新大統領の手柄にするのしないのという根っこの部分が良くわからないので
秘密組織みたいのが2つ出てきて殺し合いやられても、良く分からなかったと
いうのが本音。「最強の二人」のクリュゼの困り顔演技は良いんだけど、それだけ
という感じ。断酒会で知り合う若い女性との関係も、実は彼女、どちらかの組織の
人間なんじゃないか、というミスリードなのか、と思ったらそうでもなかったり。
フランス人ならもう少しよく分かるのかなあ。日本では劇場未公開も仕方のない
内容だね。エンディングもなんだかなあ、で終わっちゃったし。

国家的組織から真面目故に失業した中年男が、盗聴テープ起こしというヤバい
仕事を頼まれ、盗聴する側からもされる側からも狙われて、ニッチもさっちも
いかなくなるという基本ライン。前述のように短い映画ながら話が分かりづらいのが
最大の欠点。クリュゼが勿体無い。女性もなんのために出てきたのか分かりづらい。
という映画でした。
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<ストーリー>
「最強のふたり」に主演したフランスの人気男優にして実力派のF・クリュゼ。
彼が、秘密組織が盗聴した音声を文字起こしする孤独な男性をリアルに演じた異色の
サスペンス。
保険会社で働く真面目な男性デュバルは几帳面なために仕事を多く抱え過ぎ、
不眠症とアルコール依存症の両方に悩むように。

2年後、失業したデュバルは突然、初対面の男クレマンから仕事を頼まれる。
それはあるアパルトマンの一室で盗聴された会話音声などをたったひとりで聴き、
タイプライターで文字起こしするという不思議な仕事だ。会話音声では政府の
関係者らしき人々が話しており、デュバルは自分の仕事が危険だと感じるが…。
(WOWOW)

<IMDb=★6.3>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:47% Audience Score:17% >




# by jazzyoba0083 | 2017-10-02 22:50 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

●「消えた声が、その名を呼ぶ The Cut」
2014 ドイツ、イタリア、フランス、ロシア、ポーランド、トルコ 138min.
監督・(共同)製作・脚本:ファティ・アキン
出演:タハール・ラヒム、シモン・アブカリアン、マクラム・J・フーリ、モーリッツ・ブライブトロイ他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
★は6.5。オスマン帝国崩壊に至る中で起きたアルメニア人大虐殺事件を
モチーフに作り上げた大河ドラマ。現在のISが跋扈しているエリアなので、現在に
思いが通じて胸が痛んだが、いささかちょっとメリハリに欠け冗長に感じられた
のが残念だった。

オスマン・トルコの腕のいいアルメニア人鍛冶職人ナザレット(キリストが産まれた
土地から名付けられているようにキリスト教徒)一家が巻き込まれる一大悲劇を
ナザレットを主人公として、別れた双子の娘を探し、ヨルダン~キューバ~アメリカは
ミネアポリス~ノースダコタまで旅をする壮大なドラマ。そこには過酷な運命をたどるに
至った残酷性と、彼を支えてくれる親切な人々との出会いがあり、そうした人間との
触れ合いからドラマが綴られていく。

第一次世界大戦前後のオスマン・トルコ帝国崩壊が絡んだ映画は数多く作られており、
「アラビアのローレンス」もその流れの中にある。本作のストーリーでも重要な
ファクターとなっているが、結局バルカン半島は西欧列強の陣取り合戦に巻き込まれ
イギリスの「三枚舌外交」が決定的になり、現在まで続くパレスチナ、イスラエル
紛争のきっかけを作ったのだ。そのバルカンのぶん取り合いをした国々とトルコが
製作国に名を連ねているのがなんとも皮肉だ。(最悪のイギリスはいないけど)

ナザレット、家族と引き剥がされトルコ側に強制労働に駆り出され、用済みとなると
集団で喉を掻き切られて殺される。だがナザレットに手を掛けた男の気が弱いと
いうか善の心がまだ少しあったため傷が浅く、生き残るが声を失う。そこから
彼は無謀とも思える家族との再会のための長い長い旅にでることになるのだ。

綴られるエピソードはダイナミックであるが、例えばヨルダンからキューバへ
向かう際、船員として雇われたようだが、口が聞けなくてよく大丈夫だったな、とか
一つ一つのエピソードに微妙な突っ込みどころがある。そのあたりが本作の
パワーを少し減じていたような気がした。基本、出会う人々に悪いヤツらより
善人が多いのが救いだ。(一方で映画の弱さかもしれない)チャプリンの映画を
見るシーンがあるのだが、そこでは親子が再会出来る、そのシーンを観て涙して
いるナザレット・・・いいシーンだった。

とはいうものの、肉親(娘)に会いたい、という父親の命を掛けた強い思いには
胸を打たれずにはいられない。戦争~引き裂かれた家族~長い過酷な旅路~
劇的な再会という典型的な流れではあるが、この手のドラマがお好きな方には
オススメだ。舞台がオスマン帝国というのがテーマとして今日的でもあるので
いいのかも。アレッポも出てきますよ。
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<ストーリー>
「愛より強く」「そして、私たちは愛に帰る」のトルコ系ドイツ人監督ファティ・
アキンが、トルコのアルメニア人大虐殺をモチーフに、虐殺を生き延びた男が、
生き別れた2人の娘を捜して繰り広げる壮大な旅の行方を描いたドラマ。
主演は「預言者」「ある過去の行方」のタハール・ラヒム。

 1915年オスマン・トルコの街マルディン。アルメニア人鍛冶職人のナザレットは、
妻と双子の娘ルシネ、アルシネと幸せに暮らしていた。
そんなある日、憲兵がいきなり押しかけ、ナザレットは妻子と引き離され強制連行
されてしまう。
灼熱の砂漠で、同じように連行された男たちとともに奴隷のように働かされるナザレット。
そしてある朝、ナザレットたちは処刑を宣告され、次々とナイフによって首を掻き
切られる。数時間後、ナザレットは意識を取り戻す。彼の処刑を命じられた男が
首を浅く切ったために致命傷にはならず、声を失ったものの奇跡的に一命を取り
とめたのだ。この時から、家族の消息を求めるナザレットの遥かなる旅路が始まる
のだったが…。(allcinema)

<IMDb=★6.3>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:58% Audience Score:67% >




# by jazzyoba0083 | 2017-10-01 23:40 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)

●「ドント・ブリーズ Don't Breathe」
2016 アメリカ Screen Gems and more.88min.
監督・(共同)脚本:フェデ・アルバレス
出演:ジェーン・レヴィ、ディラン・ミネット、ダニエル・ゾヴァット、スティーヴン・ラング
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
短いけどよく出来たサスペンス・ホラー作品。プロデューサーにサム・ライミの名前が
見られる。WOWOWでの鑑賞だったが、解説の小山薫堂も言っていたように、
ひどい目、怖い目に会う3人の若者に対して距離を置いて見られるのは、彼らが
「盲目で娘を交通事故で殺された単身で暮らす元軍人の老人」の家に娘の示談金目当てで
侵入する強盗という基本、悪い奴らだから、まあ、このくらいの目にあっても
仕方ないよねえ、という目線で見られるから、びっくりする内容であっても、覚めた
目で、そう怖がらずに観られる。

少数の出演者で構成されるストーリーはスピード感もあり、普通感じられる「タメ」も
排除して、(まだ殺さないだろうと思っているところ、あっという間に殺されるとか)
進むのであっという間に観終えた感じだ。
強盗に入った若者3人が出会う恐怖の種類は数多く用意され、目が見えないと思って
いたら、目の代わりをする猛犬がいたり、元軍人なので一度取っ組み合いになると
ものすごく強かったり、更に、地下室に想像できなかったびっくりが隠されていたり
する。ラスト、(ネタバラシになりますが)生きて脱出出来た若い娘が、自分が
バールでボコボコにしてきた老人が死んでいなくて結構軽いけがで済んだという
ニュースを空港で見るのだが、そのニュースでは自分が奪って来た大金について
「盗難の事実はなかった」というコメントにさらに驚く。盗難が無かったのではなく、
老人自身が地下室で犯していた罪について持って行かれた大金と相殺するという
ことだったのだろう。もし、老人が打撲で死んでいたら、銃で殺された男二人と
撲殺された老人の加害被害の関係がおかしくなるから、(だれが老人を殺したのか、
もう一人犯人がいて逃げたのかとか。まあ彼女の血液も現場にあるのだからDNA検査
とかやられるとアウトなんだろうけどね)辻褄もとりあえずあっていたということに
なるのだな。

短い時間に多様な恐怖を入れ込み、目が見えないけど自宅の中ではめっぽう強い
老人と、言葉を発しない猛犬の存在が、良いテンションで恐怖をばらまく。
「悪いことをしに来た若者たち」「盲目の老人=元軍人=地下室の秘密」
「暗闇の中の恐怖」「猛犬」といい環境と素材をそろえた。
(ツッコミどころがないわけではないが)なかなかいいアイデアのサスペンス・
ホラーだと思う。
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<ストーリー>
リメイク版「死霊のはらわた」のフェデ・アルバレス監督が再びサム・ライミ製
作の下で撮り上げた戦慄のサスペンス・スリラー。
盲目の老人の家に盗みに入った若者3人が、相手の思わぬ反撃に遭い、逃げ道を
塞がれた真っ暗闇の家の中で想像を絶する恐怖に見舞われるさまを緊張感あふれる
筆致で描き出す。
出演は若者3人に「死霊のはらわた」のジェーン・レヴィ、「プリズナーズ」の
ディラン・ミネット、「イット・フォローズ」のダニエル・ゾヴァット。
彼らを恐怖のどん底に突き落とす盲目の老人に「アバター」のスティーヴン・ラング。

 長引く不況ですっかり荒廃した街デトロイトで、少女ロッキーと恋人のマニー、
友人のアレックスの3人は重罪にならない程度の空き巣を繰り返していた。
自堕落な親を見限り、幼い妹を連れてここを出て行こうと考えていたロッキーには
まとまった金が必要だったが、そこへマニーがある強盗話を持ちかけてきた。

ターゲットは孤独な盲目の老人で、娘を事故で失った彼は、賠償で得た大金を
自宅の地下室に隠し持っているらしいというのだった。最初は嫌がっていた
アレックスも加わり、真夜中の老人宅に侵入した3人だったが、すぐに彼らは
自分たちが相手にしている男が、単なる目の見えない無力な老人ではないことを
悟るのだった…。(allcinema)

<IMDb=★7.2>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:87% Audience Score:79%>



# by jazzyoba0083 | 2017-09-30 22:40 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

ドリーム Hidden Figures

●「ドリーム Hidden Figures」
2016 アメリカ Levantine Films,Chernin Entertainment,Fox 2000 Pictures.127min.
監督・(共同)脚本:セオドア・メルフィ
出演:タラジ・P・ヘンソン、オクタヴィア・スペンサー、ジャーネイ・モネイ、ケヴィン・コスナー、キルステン・ダンスト、マハーシャラ・アリ他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
2日続けて映画館で「心地の良い」映画を見られる幸せ!これは皆さんにお勧めしたい良作です。
今年のアカデミー賞候補作品の中で最後に登場した本作、待たされた甲斐があったという出来でした。
昨日のジャームッシュが「普通の生活」を切り取った「心地の良さ」とすれば、本作は、黒人差別と
戦いつつ信念を貫いた実在の人物のダイナミックな(ちょっと語弊があるな)生き方から感じられる
「心地の良さ」だ。年をとって涙もろくなったせいか、何回か涙腺崩壊になりそうなシーンがあった。
白人が解けない数式をスラスラと解いてしまい、びっくり顔の白人には容易にカタルシスを感じる
事ができる。

★は8.5を進呈したい。マイナスは、黒人差別がもう少しきつく描かれても良かったんじゃないか、と
思ったから。まさに公民権運動吹き荒れる時期、この映画に出てくる(基本はNASAの人なんだが)人物は
ベースとしてはいい人なんだもの。冒頭に登場し、主役3人をパトカーで先導してくれる白人警官を
初めとして、カッコいい本部長ケヴィン・コスナー、三人の上司キルステン・ダンスト、理解あるもの。
映画では、非白人用トイレに行くためにNASAの構内を片道800メートルも行き来しなくてはいけないとか
オフィスにあるコーヒーサーバーが分けられているとか、主人公の一人がNASAでの技術者の資格を得る
ために白人だけの高校に通わせろと、裁判に持ち込まなくてはならなくなるのだが、判決を言い渡す白人判事、
情けをかけてくれるし、事実かもしれないが、環境は過酷だが、周りはいい人、というのが、いささか
迫力不足というか。最高に良いやつなのはフレンドシップ7に乗ってアメリカ人として初めて地球を周回
したグレン飛行士だ。彼の場合は、主人公の一人計算の天才キャサリンを心から信頼しているのだ。
実際はもっともっと私生活も含め黒人ゆえの苦しさはあっただろう。
三人の努力は認めるとしても彼女たちは恵まれていたほうだとも言えるだろう。

さりとて、あの時代に、国家事業に参加し、極めて重要な仕事を、底辺から初め、実力を認めさせ、
しかるべき仕事と地位を与えられるようになった実在の三人には敬意を払わずにはいられないし、
彼女らの才能を認めた本部長ケヴィン・コスナーや上司キルステン・ダンスト、飛行士らの、差別をしない
勇気、国家事業を成功させるためにあの時期、肌の色は関係ないという姿勢も敬意を評さざるを得ない。
そしてそれらが描かれた映画は、観ていて心地悪いはずがない。プロジェクトは成功していくんだし。

現在も90歳を超えて存命でいらっしゃる三人は、フレンドシップを成功させた後、ジェミニ計画、
アポロ計画、そしてスペースシャトル計画まで関わり、彼女らの名前を関した施設がNASAに作られる
までになったという。キャサリンは大統領から米国人として最高の栄誉である「大統領自由勲章」を
与えられている。

事実とは少し違う色付けがされているようだが、アメリカ人がいかにも喜びそうな作りで、本国での
評価も極めて高い。原題の"Hidden Figures" とは「隠された人/数式」というダブルミーニング。
日本のタイトルは大上段に構えすぎで、もう少し何とかならなかったのかな。

主役の3人の黒人女優さんたち、ボスを演じるケヴィン・コスナー(ちょっとかっこ良すぎかな)、
オスカーで助演男優賞に輝いた(「ムーンライト」)マハーシャラ・アリら、ナイスなキャストであった。

国の大事業でしかもソ連との競争という状況で、(途中からIBMの大型コンピュータが出てきて、白人の
技術者が使いこなせないで困っている中、主人公の一人がフォートラン(懐かしいなあ)をマスターし
動かしてしまうシーンはいいなあ)仕事と黒人であるという大きな壁に負けずに挑んで結果を出した
3人の女性に、素直に感動してしまうのだった。
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<ストーリー>
アメリカと旧ソ連が熾烈な宇宙開発競争を繰り広げていた1960年代初頭、アメリカ初の有人周回飛行の
成功に尽力したNASAに勤務する3人の黒人女性の実話を映画化した人間ドラマ。
黒人への差別が激しい時代背景の中、家族のために奮闘する女性たちの姿を描き、第89回アカデミー賞では
3部門でノミネートされた。

1961年、東西冷戦下のアメリカとソ連は熾烈な宇宙開発競争を繰り広げていた。ヴァージニア州ハンプトンの
NASAラングレー研究所では、優秀な黒人女性たちが計算手として西計算グループで働いていた。
リーダー格のドロシー(オクタヴィア・スペンサー)は管理職への昇進を希望するが、上司ミッチェル
(キルステン・ダンスト)は「黒人グループには管理職を置かない」と却下する。
メアリー(ジャネール・モネイ)は技術部への転属が決まり、エンジニアを志すが、黒人には無理だと
諦めている。幼いころから数学の天才少女と呼ばれていたキャサリン(タラジ・P・ヘンソン)は
黒人女性として初のハリソン(ケビン・コスナー)率いる宇宙特別研究本部に配属されるが、白人男性
ばかりの職場の雰囲気はとげとげしく、そのビルには有色人種用のトイレもなかった。

それでも家庭を持つ3人は、国家の威信をかけたマーキュリー計画に貢献しようと奮闘した。
1961年4月12日、ソ連はユーリ・ガガーリンを乗せたボストーク1号で史上初の有人宇宙飛行を成功させる。
ソ連に先を越されたNASAへの猛烈なプレッシャーのなか、キャサリンはロケットの打ち上げに欠かせない
複雑な計算や解析に取り組み、その実力をハリソンに認められ、宇宙特別研究本部で中心的な役割を任される。

一方ドロシーは、新たに導入されたIBMのコンピュータを使ったデータ処理の担当に指名され、メアリーは
裁判所への請願が実り、白人専用だった学校で技術者養成プログラムを受けるチャンスを得る。
夫に先立たれ、3人の子供をひとりで育てていたキャサリンは、教会で出会ったジム・ジョンソン中佐
(マハーシャラ・アリ)のプロポーズを受ける。

1962年2月20日、宇宙飛行士ジョン・グレンがアメリカ初の地球周回軌道飛行に挑む日。打ち上げ直前に
想定外のトラブルが発生し、すでに職務を終えて宇宙特別研究本部を離れていたキャサリンに、
コンピュータには任せられない重大な計算が託される……。(Movie Walker)

<IMDb=★7.8>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:92% Audience Score:93% >



# by jazzyoba0083 | 2017-09-29 12:35 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

パターソン Paterson

●「パターソン Paterson」
2016 アメリカ K5 International,Amazon Studios.118min.
監督・脚本:ジム・ジャームッシュ
出演:アダム・ドライバー、ゴルシフテ・ファラハニ、バリー・シャバカ・ヘンリー、永瀬正敏他
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<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想>
個人的に、鑑賞する映画のジャンルとして、ジャームッシュのような系統(大きく言えばカンヌ系と
でもいうか)の作品はあまり多く接しない。が、決して嫌いではない。何を受け取ったらいいの?
という形而上的な世界に、どちらかというとエンタメを求める私としては敬遠気味であるということだ。
またこういう映画は名古屋近辺ではシネコンにかからないので、ネットで座席がとれない小屋にいかなくては
いけないというめんどくささも腰を重くしていた。

しかし、本作、姉が「いいから一度観てみなさい」と強力に推薦してくれ、本日、午後の部の上映に
行ってみた。あと1週間で上映が終わってしまうので焦ったという面もある。館内は三分の一ほどの
入りで若い女性が多かった。

エンドロールが終わり、外へ出ようと歩いているとこみ上げてくる、なんだろう、この心地の良さは。
意味を探そうとして今見た映画を反芻してみるが、「心地よかった」としか出てこないのだ。
ジャームッシュ監督の主張や何処に?と考えても出てこないのだ。でもややあってそれが正解だ、そう
感じることで良いのだ、と腑に落ちた。普通の生活を普通に切り取って見せてこの心地の良さ。
ハリウッドのブロックバスターもいいが、こういう映画もまたいいもんだなあ、としみじみしてしまったのだ。
ありふれた愛情あふれる生活を切り取った映画を観て感じる「心地の良さ」。もちろん大作にも「心地の
良さ」はある。銃撃もカーチェイスも大恋愛も、家族の揉め事もない、普通の生活が描かれているものが
こんなに「心地良い」ものだとは。さすが、ジャームッシュ、ということになるのだろう。

映画自体は、アメリカはニュージャージー州パターソン(NYCにごく近い)でバスを運転手をしながら
詩を書く、市の名前と同じパターソン氏(ドライバー)の一週間を描くもの。パターソン氏は、ローラという
中東系の奥さんがいて、愛犬のブルドッグ、マーヴィンと暮らしている。

毎朝6時10分から30分に起きて、丸いシリアルを食べ、日がなバスを運転し、定刻に退社し、妻の夕食を
食べ、犬を散歩させ、途中で馴染みのバーによってビールを一杯だけのみ、地下室でその日の感想や乗客の
おしゃべりからインスパアされた詩をノートに書き留めるという生活を繰り返している。

中東系の妻ローラは芸術家肌で、カントリー歌手になりたいとか言って通販でギターを買ったりしている。
専業主婦らしい。でもカップケーキを作るのが好きで、また部屋の模様替えも好きである。彼女の変わって
いるのがとにかくモノクロと黒の円形やドットが好きなのだ。来ている服もパターソン氏の飲むマグカップの
デザインも。買ったギターさえ。犬もそう言えばモノクロだな。

毎日同じような生活が繰り返されるが、妻も不満は一切言わない。というか映画全体でいらつくような
シーンが全く出てこない。遅刻じゃないのか?という時間に起きる曜日も、特に上司が出てくるわけでも
ない。行きつけのバーで黒人のカップルが別れるの別れないのでおもちゃの銃で男が自殺をしてみせようと
して一悶着あったり、パターソン氏の運転するバスが電気系のトラブルで途中で止まっちゃったりする事件は
起きるが、誰も怒らない。パターソン氏もローラの夕食がまずくても文句は云わない。
最大の事件は彼が書き留めた詩のノートを愛犬が噛み切ってボロボロにしてしまったことだった。妻は落ち
込むパターソン氏を慰めるが、さすがにガッカリはするが、パターソン氏はめげたり嘆いたり、犬に当たり
散らしたりはしない。

ローラが屋外のイベントで売ったカップケーキが300ドル近くの売上を出して二人して外食して映画を
観る。パターソン氏は、「君を誇りに思うよ」と褒めてあげる(ローラの選ぶ映画がこれまたモノクロ
なんだな) みんな心穏やか。彼が綴る散文詩も、極めて穏やかなものだ。誰かを批判したり嘆いたりする
ものではない。映画の本質を突いている詩といえよう。

妻のキャラクターに主張があるのか、愛犬が何かのメタファーなのか、詩が監督の訴えたいことなのか、
と観終わっていろいろと考えてしまったが、そうではなく、パターソン氏の日常の争いのない平和な
詩を愛することが出来る世界の「幸せ」を感じればいいのだ、と腹に落ちたのだった。(夜に愛犬を
散歩させていると大きな音楽を流した黒人4人のオープンカーが停まって、ヨ~、それブルドッグだろ、
愛犬を盗むやつがいるから気をつけな、と言って去る。その直後パターソン氏は愛犬をバーの外に繋いで
一杯やるのだが、あ、これ犬が連れ去られる、と観客は思うだろう。でも何も起きない。見ている人は
偏見を持っていたのだなと分かる。そんな演出もニクいものがある)ラストに出てくる日本人詩人
(永瀬正敏)は、映画全体を締めるピリオドのような印象を持った。

「ストレンジャー・ザン・パラダイス」を見たときのようなオフビート感(独特のセリフの間とかも)は
ジャームッシュだなあ、と思うが、オフビートと一言だけで言い表せない「心地よい幸せ」がこの
映画にはある。キャストのアダム・ドライバーとゴルシフテ・ファラハニもピッタリ合っていてとても良い。
なんか、今のアメリカのトランプ的な世界観のアンチテーゼとして提示されているような気もした。

流れていく日々すら愛おしい・・・
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<ストーリー>
ニュージャージー州パターソン。街と同じ名前を持つバス運転手のパターソン(アダム・ドライバー)の
1日は朝、隣に眠る妻ローラ(ゴルシフテ・ファラハニ)にキスをして始まる。いつものように仕事に
向かい、決まったルートを走り、フロントガラス越しに通りを眺め、乗客の会話に耳を澄ます。
乗務をこなすなか、心に浮かぶ詩を秘密のノートに書きとめていくパターソン。一方、ユニークな感性の
持ち主であるローラは、料理やインテリアに日々趣向を凝らしている。
帰宅後、パターソンは妻と夕食をとり、愛犬マーヴィンと夜の散歩、いつものバーへ立ち寄り、1杯だけ
飲んで帰宅。そしてローラの隣で眠りにつく。そんな一見代わり映えのしない日常。だがパターソンに
とってそれは美しさと愛しさに溢れた、かけがえのない日々なのであった……。(Movie Walker)

<IMDb=★7.4>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:96% Audience Score:71%>



# by jazzyoba0083 | 2017-09-28 17:35 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「ジュリーと恋と靴工場 Sur quel pied danser 」
2017 フランス Loin Derrière L'Oural 84min.
(共同)監督・脚本:ポール・カロリ
出演:ポーリーヌ・エチエンヌ、オリヴィエ・シャントロー、フランソワ・モレル、ロイック・コルベリ他
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<評価:★★★★★★☆☆☆>
<感想>
ミュージカルと謳ってはいるけど、ダンスが全面的に前に出ることはない。奥様の
リクエストに付き合ってシネコンに。近頃にしては短い映画だった。で、出来だが
音楽は好みもあり、満足だが、ストーリーは今風だけど工夫がたりないなあ。実写風の
映像が出てきたが、これは本当にあった話をベースにしているのかな。
先にも触れたように、歌や音楽が軽いフォービートやボサノバをベースにしているので
私の好きなミシェル・ルグランの「ロシュフォールの恋人」的サウンドになっていて
それがなければ至極退屈な映画になっていただろう。

ジュリーは靴の小売店をリストラされ、正社員を目指し新聞とにらめっこ、老舗の
靴屋に面談に行くが、自分の方から「どうせだめなんでしょ」的失礼なセリフを
面接のおばさんに吐くものの、正社員めざしてやってみなさい、と言われる。
やっと仕事にありつけたジュリーは手作りで評判の婦人靴の見習いとして仕事を
覚える日々。しかし、実は会社は工場を賃金の安い中国に作ろうと計画していて
今ある工場をリストラするつもりだった。

そのことを知った従業員らはパリの本社までおしかけ、リストラ反対を主張する。
一方ジュリーは工場のバスの運転手君といい仲になるも、しょっちゅう喧嘩ばかり。

ストをしたりピケを張ったりと頑張るおばさま従業員たち、かつて一世を風靡した
「戦う女」という赤い靴を作って自分たちの技量を示そうと立ち上がった。
出来上がった靴は大評判。売れに売れて、社長も彼女らの技量あってこその自分の
会社の靴だ、と気付き、リストラは中止となる。そして、ジュリーも晴れて
社員試用から正社員になることが出来たが、恋人と別れたジュリーは、正社員を
断って、またどこかへ出かけていったのだった・・。

あれ?あれだけ正社員になりたいと頑張っていたジュリー、恋も仕事も投げ出して
何処へ行くの?物語が終始一貫していなくないですか?自分の道を見つけたのかな?
それにしては描き方が不足している。

ダンスシーンもアンサンブルできっちり揃えるものではないし、ジュリーの思いも
一貫しないし、恋人はそうイケメンでもないし、全てに渡り中途半端な映画に
なってしまった。特にエンディングでは「???」って。音楽が好みでなければ
★は5つ。
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<ストーリー>
ジャック・ドゥミを彷彿とさせるカラフルでポップなミュージカル・コメディ。
就職難を乗り越え、なんとか高級靴工場での試験採用を手にしたジュリー。
ところが工場は、近代化の波を受けて閉鎖の危機に。同僚の女靴職人たちとこの
危機に立ち向かうが……。
出演は「EDEN/エデン」のポーリーヌ・エチエンヌ。監督のポール・カロリと
コスティア・テスチュは、本作で長編デビュー。

田舎町に住む25歳のジュリー(ポーリーヌ・エチエンヌ)は、就職難を乗り越え、
何とか高級靴メーカーの工場で試験採用となる。ところがその工場は、近代化の
煽りを受けて閉鎖の危機に直面していた。
リストラを恐れた靴職人の女たちが、抗議のためにパリの本社に乗り込んだ
ことから騒動に。この事件に巻き込まれたジュリーは危うくクビになりかける。
その一方で、仄かな恋の予感も……。職人の意地とプライドをかけて戦う逞しい
女たちとともに工場閉鎖の危機を乗り越え、ジュリーは本当の幸せを掴むことが
できるのか……?(Movie Walker)

<IMDb=★6.0>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:67% Audience Score:--->




# by jazzyoba0083 | 2017-09-26 15:00 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「ユー・ガット・メール You've Got Mail」
1998 アメリカ Warner Bros.119min.
監督・(共同)製作・脚本:ノーラ・エフロン 戯曲原作:ミクロス・ラズロ
出演:トム・ハンクス、メグ・ライアン、グレッグ・キニア、パーカー・ポージー他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
1990年代初頭ごろから映画のジャンルに「ラブコメ」「ロマコメ」という
ものが出来たような記憶がある。その女王といえば何と言ってもメグ・ライアンだった。
メグは、本作以降は「ニューヨークの恋人」に出演、後の作品は日本では殆ど劇場
未公開となりその姿を見かけることがなくなっている。まだ56歳。若い頃のキュートな
イメージから抜けられず苦労しているのだろうか。まだまだ活躍して欲しい女優さん
ではある。お相手のトム・ハンクスに比べてしまうと余計にそんな感じを受けるのだ。

閑話休題。トムとメグは3回共演していて、本作はその最後となる作品。
「ジョー、満月の島へ行く」(日本劇場未公開 1990)、そしてこの二人と
言えばこれ、という決定版「めぐり逢えたら」(1993)、最後が前作と比べても
その出来は落ちていない本作である。

「めぐり逢えたら」の主役二人と監督は同じ。故に演出のテイストは似ている。
惜しくも2012年に病を得て亡くなってしまったノーラ・エフロンの、安定した
演出、主役二人(も上手いんだけど)の、その演技を上手く引き出す才能が早々に
失われたのは残念である。二つの映画には下敷きが有り、前作は「めぐり逢い」
であり、本作は「街角/桃色の店」(1940)である。

そしてエフロンの特徴として街角の雰囲気を取り込むこと、有名な音楽を使って
いることが上げられよう。本作でも、ロイ・オービソンやハリー・ニルソン、
ビリー・ウィリアムズといった歌手たちのシーンにフィットした歌が使われている。
さらに、背景となる季節としてハロウィンから感謝祭、クリスマスというアメリカ人には
絶対に外せないホリディシーズンをうまく話に取り入れている。このシーズンと
いうのはアメリカ人にとって感情が高揚する特別な時期なんだろう。

恋人との物語というとコミュニケーション手段を描かざるを得ず、映像に
時代の流れを感じざるを得ない。仕方のないことだけど、一方で旧作を見る上での
ファッションと並び当時の風俗を楽しむという手もある。
前作「めぐり逢えたら」でキーになるのはラジオと手紙であった。それから5年経つと
メール、テキストのチャットという時代に入っている。トムとメグはオンラインで
ハンドルネームしか知らない相手とメールを交わすという設定が物語のキモになって
いるわけで、彼らが使うメーラーが当時一世を風靡したAOLだ。AOLはメーラーを
開いてメールが来ていると男の人の声で「You've got mail」と言ってくるのだ。
実は私もこれが欲しくて、AOLに加入し、今でも使っている。今の日本版は
「メールが届いています」って、味気がない男の声になっちゃったけどね。
二人共恐らくIBMのラップトップを使っているのだが、まだ通信が懐かしき
ダイアルアップで「キュー・・・ギョロギョロ、ピー シュー・・・」という音で繋がる
やつ。

で、トムは安売りの大規模書店を経営する一家の御曹司、メグはNYの街角で
母の代から子供向けの絵本などを売る街の書店の二代目経営者。
二人はお互いを知らずにメールやチャットを続け、仕事の愚痴を言ったり
その日に起きたことを綴ったりしていた。ちなみに二人共同棲している。
トムの会社がメグの店の近くに、商売敵となる大型安売り書店を作ることに
なり、事情をしったリアル世界のトムとメグは犬猿の仲となってしまう。
しかし伏線として、書籍関係のパーティー会場でメグを見るトムの目はメグに
強く惹かれていることを示唆している。

オンライン世界の二人はやがて会おうか、ということになるのだが、トムが待ち合せした
店に行くと待っている女性が、あの街角の書店のオーナー、メグであることが判明する。
が、まさかメールの男であるとは知らない。

偶然を装ってメールの相手を待っているメグにあれこれいうが、メグは大型
書店のトムに嫌味を言いまくり、辟易したトムは退散するのだが、メグは悪口を言って
しまったことに自己嫌悪を覚え、そのことをメールに書く。それを読んだトムは
再度、会うことを決心。その頃までに二人共同棲相手とは別れていた。
トムの大型書店がメグに書店の直ぐ側にオープンしたことによりメグの店はやはり客が
減ったこともあり店を畳むことにした。それに対して責任を感じるトム。

そしていよいよ二人が会うことになるのだが。
ラストのオチがちょっとうまく出来過ぎな感じがするのだが、当時のデバイスを
使ったロマコメとしてはよく出来ていると思う。今ならスマホでのやり取りと
いうことになるのかな。この映画では、何故かガジェットとして携帯電話は全く
出てこない。今からたかだか9年前の映画だが、コミュニケーションデバイスの
進歩には驚くばかりだ。あっという間に陳腐化してしまうのだから。

ロマコメはラブコメほど、会話のやり取りのギャグやユーモアとか気の利いた
セリフとかの要求度合いが低いと思うので、トムとメグのやりとりで思わず笑って
しまうということはあまりない。それよりも全体のストーリーで持っていくという形。
ただ、ボートの中でのトムと父親のとの会話は面白かったけど。

監督の映画全体の思いとしてはオンラインより実際に会うこと、パソコンより本
という主張が見えてくるのだが、前者は今でも言えるが、本について言えば
Amazonの登場以降、本作に出てくるような書店も消えていく運命だろう。
あの時代だからこそ出来た平和な映画だったとも言える。9.11以前のNYだし。

それにしても、ショートの金髪のメグ・ライアンが輝いていること!
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<ストーリー>
監督N・エフロン、主演T・ハンクス&M・ライアンという「めぐり逢えたら」の
ゴールデン・トリオが再び顔を会わせ、Eメールといういかにも今風の題材に
挑戦したラブ・ストーリーだが、実は1940年に製作されたエルンスト・ルビッチの
「桃色(ピンク)の店」のリメイクにあたる(旧作では文通が手段となっていた)。

 ニューヨークで小さな本屋を営むキャスリーンは恋人がいるにも関わらず
インターネットで知り合ったメール友達“NY152”とのやりとりを何よりも
楽しみにしている。店の近くに大手の本屋チェーンがオープンするのが少し
気がかりだが、そんな悩みも“NY152”の存在が和らげてくれる。

その大手チェーンを経営するジョーは商才はあるものの、女性に対して今一つ
のめりこめない性格で、彼もまた“ショップガール”というハンドルネームの女性と
Eメールで話をするのが今もっとも楽しい事だった。
やがてジョーはキャスリーンの店で彼女に出会うが、自分のチェーン店が彼女の
店にとって障害になることが判っているだけに複雑な気持ちだ。
互いの立場がはっきり見えたキャスリーンとジョーは犬猿の仲になっていく。
そんな二人にとってはメール友達との会話だけが心の拠り所。そしてキャスリーンは
“NY152”から直接会う事を提案されるのだが、待ち合わせ場所に現れたのは
なんとジョーだった……。(allcinema)

<IMDb=★6.7>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:69% Audience Score:73%>






# by jazzyoba0083 | 2017-09-25 22:30 | 洋画=や行 | Trackback | Comments(0)

●「歌声にのった少年 Ya tayr el tayer 」
2016 パレスチナ Cactus World Films 98min.
監督・脚本:ハニ・アブ・アサド
出演:カイス・アッタラー、ヒバ・アッタラー、ディーマ・アワウダ、タウフィーク・バルホーム他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
感動の映画ではある。私としてはパレスチナの映画って初めてみたと思う。
監督はイスラエル人。パレスチナのガザ地区というニュースでもよく出る
イスラエルとパレスチナの紛争で有名なところだ。ガザでのロケは相当苦労
したらしい。
歌うことが大好きな少年が、アラブ版「アメリカン・アイドル」に出て優勝する
までを描くのだが、最近「◯◯・アイドル」というオーディション番組を舞台に
した作品をよく見るが、この映画はその優勝者がパレスチナ人だったということ。
そしてまずは予選で歌うまでのさまざまな苦労を通して、本作がただのサクセス
ストーリーではないと綴られ胸が熱くなる。

「スターになって世界を変えたい」と紛争地で育った男の子はそう思っていた。
子供の頃から子供だけでバンドを作って歌うくらいに歌が好きで、結婚式で
バイトが出来るくらい周囲もそのうまさは認めていた。しかし、ギター担当の
姉が重い腎臓病にかかり、パレスチナの治療では助からず、亡くなってしまう。
自暴自棄になり、一時は歌も諦めタクシー運転手をしていたものの、亡くなった
姉との約束を守ろうと、エジプトへニセのパスポートで違法出国し、エジプトでの
予選へ、さらに本戦のテレビ収録のためにレバノンに。その頃には故郷では彼
ムハンマドの人気は沸騰しており、彼に対する期待は大きく膨らんでいた。

10週勝ち抜くのだが、決勝が近づくにつれ、自分の肩にかかるパレスチナ同胞の
プレッシャーを感じてしまい、体調を壊してしまう。やはりそこはパレスチナと
いう事情が大きくクローズアップされてくる。それは仕方がないことだろう。
夢も希望もない世界に生きる人達にとって、ムハンマドの存在は自分たちの見果てぬ
夢を実現してくれる「アイドル」になってしまったのだから。

エジプトに出国するために、ニセのパスポートを承知で出国させようとする役人、
かつてのバンド仲間で今は軍に入り違法な出国を取り締まる立場の友人の友情、
予選に出るための入場証がないムハンマドに、チケットをくれるエジプト生まれの
パレスチナ人、そしてムハンマドを応援するテレビのスタッフなど、彼を囲む
心温かくなる環境が物語を盛り上げる。

そしていよいよ3人の決勝進出者から優勝者を決めるシーン(楽屋を出て行くところ)
から、実際の映像に変わる。(これには戸惑ったが)そして優勝!狂喜するパレスチナ
同胞。その後彼は国連の親善大使になったり、歌という枠を超えて活躍しはじめた
のだった。おそらく今も。

彼には神様から頂いた素晴らしい歌声があり、それを自信の勇気と回りの理解と
協力で、自分の民族を鼓舞する力にしたのだった。彼が同胞のために歌うんだ!
と心に決めるのは決勝戦の前、同胞の期待に潰されそうになってレバノンの海に
向かって故郷の歌を歌った時。
その時にムハンマドの心は、ただコンテストに優勝することだけではない、他の
意味を見つけたのだった。「スターになって世界を変えたい」、小さい夢は
大きな現実となったのだ。
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<ストーリー>
全米の人気オーディション番組「アメリカン・アイドル」のエジプト版に出場し、
2013年の“アラブ・アイドル”に輝き、後にスーパースターになったムハンマド・
アッサーフ。彼をモデルに、姉との約束を果たすため、歌で世界を変えようと
奮闘する少年の物語がつづられる。
監督は『オマールの壁』のハニ・アブ・アサド。

長きにわたり紛争が絶えず、厳しい状況が続くパレスチナ・ガザ地区。この地で
育ったムハンマド少年はスター歌手になって世界を変えることを夢見て、お手製の
楽器を携え、姉のヌールや友人たちとバンドを組む。
ヌールはエジプトにある歌劇場カイロ・オペラハウスに出るという大きな目標を掲げ、
ムハンマドは練習と資金稼ぎを兼ねて結婚パーティーで美声を披露していった。
しかしムールは重い腎臓の病にかかり、治療費を工面できず十分な治療を受けら
れないまま亡くなってしまう。
姉との約束を守るため、ムハンマドは危険を承知でガザを囲む壁を越え、
オーディション番組『アラブ・アイドル』に出場しようとする。(Movie Walker)

<IMDb=★6.7 >
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:86% Audience Score:60%>






# by jazzyoba0083 | 2017-09-24 22:40 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

エル・クラン El Clan

●「エル・クラン El Clan」
2015 アルゼンチン El Deseo 110min.
監督・(共同)脚本:パブロ・トラペロ
出演:ギレルモ・フランセーヤ、ピーター・ランサーニ、リリー・ポポヴィッチ、ガストン・コッチャラーレ他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想:決定的にネタバレしています>
これは、映画の出来不出来が後回しになってしまうような、事実としての衝撃が
大きい作品だ。アルゼンチンで1980年代に発生した、家族ぐるみの連続誘拐殺人
事件のお話なのだが、その一家の狂気っぷりと、ラストのエンドロールの内容まで
含めて驚きっぱなし。

冒頭のシークエンスが物語の終焉に繋がっている、とか映画としての作り方に
びっくりはしないし、破綻なく出来ていると思うけど、何と言っても、こんな
一家がいたというのが驚き。しかも、ここがこの映画の肝だが、何気ない普通の
家族が淡々と誘拐殺人をやらかしていて、また音楽もポップで明るい。
本来は陰湿な話であるのだが、長男はアメフトのスター選手だったりして、外見との
落差に驚くわけだから、「事実」にゲタを履いた映画といえ、その落差の描き方には
成功していたといえるのではないか。ストーリーテリングが上手いのだろう。
極貧や病気ゆえの犯行とか超金持ちの趣味としての犯行ではなく、「何処にでもいる
善良な幸せそうな家族」だからこその怖さはよく出ていた。

罪の意識の無さ、どうしたらこうもサイコパスしちゃえるのか?あっけにとられて
見ている間に結局は逮捕されるのだがが、親父はまるで悪びれる素振りがない。
「ある組織に脅されてやったことだ。家族を殺されると言われ」と嘯く。
で、ラストの字幕でさらに驚くのだが、この主犯のオヤジは、獄中で弁護士の資格を取り
自らを弁護し、終身刑を短くして、シャバに出てきたこと。その頭を他の金儲け
に使えよ!と突っ込みたくもなる。

この一家、夫婦と男の子3人、女の子2人の家族なのだが、一番下の男の子が
「オヤジのやってることは犯罪だぜ」といって、海外?へのスポーツ遠征の
ついでにどこかに消えてしまう以外は、裁判では娘達は関係ないとして無罪に
なったようだが、とにかく、父親の支配の元に誘拐殺人を繰り返すのだ。

暗い中にも映画全体がアッケラカンとして音楽も含めむしろ明るさを強調することが
逆に恐ろしさを演出する結果を生んでいる。ただ、どうしてこんな家族が出来
上がったのか、という個人の心理的な背景が今ひとつ深掘りできていないので、
結構イケメンのアメフト選手の長男が平然と犯行に加わり(最初の誘拐殺人は長男の
友人だった)ニコニコしている心理とは(次男もだけど)那辺から来ているや、と
思ってしまう。いや、逆に説明されていないから余計に気持ち悪く怖いのかもしれない。
(ラストに長男が裁判所の二階からダイブして飛び降り自殺をする心理も含めて)

決して後味のいい映画ではないが、びっくりするのでご覧になるといい。
冒頭にアルゼンチン民主化宣言の実写映像がなぜ入っているか、というアルゼンチンと
しての事情を少し予習しておくと更に面白くなるかもしれない。
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<ストーリー>
アルゼンチンで実際に起きた事件を映画化した第72回ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞受賞作。
近所の人々から慕われるプッチオ一家の周辺で金持ちだけを狙った身代金事件が多発。
住民たちが不安を募らせるなか、父アルキメデスは鍵のかかった部屋に食事を運んでいた。
製作に「オール・アバウト・マイ・マザー」のペドロ・アルモドバル
製作・監督・脚本は「セブン・デイズ・イン・ハバナ」のパブロ・トラペロ
出演は「瞳の奥の秘密」のギレルモ・フランセーヤ

1983年、アルゼンチン。裕福で近所からも慕われるプッチオ家は父アルキメデス
(ギレルモ・フランセラ)を筆頭に妻、息子3人、娘2人で幸せに暮らしていた。
そんなある日、二男アレハンドロが通う学校の友人の一人が誘拐され、姿を消してしまう。
以降、彼らの周囲で金持ちだけを狙った身代金事件が多発。犯人が捕まらず近所に不安な
空気が流れるなか、プッチオ家はいつもと変わらない生活を送っていた。

ある夕飯の時間、アルキメデスは妻の作った料理をキッチンから食卓ではなく、なぜか
2階の奥にある鍵のかかった部屋へと運んでいく……。(Movie Walker)

<IMDb=★7.0>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:90% Audience Score:77%>




# by jazzyoba0083 | 2017-09-23 23:10 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

●「エイリアン:コヴェナント Alien:Covenant」
2017 アメリカ 20th Century Fox Film Co.,Scott Free Productions.122min.
監督:リドリー・スコット
出演:マイケル・ファスベンダー、キャサリン・ウォーターストン、ビリー・クラダップ他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
エイリアンシリーズは、リドリー・スコット以外のスピンアウト版まで含め殆ど
観ているほど好きである。一作目のクリーチャーの造作は、映画界に大きな影響を
与えた。リドリーにとっては前作「プロメテウス」の続編に当たるもので、前作は
一作目を遡り、人類の起源を求めた旅であったが、今回はエイリアンの起源に
ハイライトが当たる。この映画にいつも重要な役割を持つ、レプリカント・
アンドロイドが、今回も極めて重要な役割を担う、というか、彼が主人公じゃないか
と思われる描かれ方である。

本作は「プロメテウス」を観ていないと分からないところが多い。故に、復習を
してからご覧になることを強く勧める。今作のアンドロイド、ウォルターと
前作のアンドロイド、デヴィッドの物語と言い切っても過言ではないほどの
存在感だ。例によって気持ちの悪いエイリアンもたくさん出て来るが、話としての
根幹はウォルターとデヴィッドである。そして、次作も作られるであろうことを
示して映画は終わる。(つまり第一作に近い時代になってくる作品ということ
だね)

前作については私はケチョンケチョンに貶した。(本国の評価は結構高いんだけど)
本作はそれほどでもなかった。というのもラストシーンの衝撃が大きかったから、
かもしれない。また、前作の巨人とクリエーターというキャラクターがいないのも
さっぱりしていて良かったのだと思う。

描かれ方はいつもどおり、惑星移住に使われるロケット(今回はそれがコヴェナント
という名前)、そこには2000名の人間と1000名分の胎生細胞が載っている。
これがエイリアンの世界に引きずり込まれるパターン。エイリアンたちの造作や
誕生シーンはVFXの進化により、より気持ち悪さは倍加している。

冒頭シーンがデヴィッド(プロメテウスで使われたアンドロイド)の誕生シーンで
あるのが、この映画を象徴している。そしてそこでのセリフ「私はあなたが作り
ましたが、あなたは誰がつくったのでしょうか」とか、「あなたは死にますが、
私は死にません」とか、これがわかりにくいけど伏線になっているんだね。

知恵(想造力)を持ったアンドロイドの怖さがこの映画の本質であり、エイリアン
そのものは生き物としては怖いけど、本当に恐ろしいのは別にあるのだ、と
いうことを映し出して映画は終わる。いやはや、続編はどうしてくれるのだろうか?
そろそろ第一作目との辻褄合わせが必要になってくるのではないか。

シガーニー・ウィーバー、ノオミ・ラパスときて、今回はキャサリン・ウォーターストン
という女優さん。いささかパンチに欠けました。この映画はマイケル・ファスベンダーの
映画だな。(アダムズとウォルターの二役)しかし、なんでアダムズとウォルターを
同じ顔にしたんだろう?
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<ストーリー>
人類初の大規模な宇宙への移住計画のため、滅びゆく地球を旅立った宇宙船
コヴェナント号は、コールドスリープ中の2000人の入植者を乗せ、移住先の
惑星オリエガ-6を目指していた。その航行中、大事故に見舞われ、さらに
女性の歌声が混じった謎の電波をキャッチしたことから、発信元の惑星へ向かう。

その神秘的な惑星は、女性乗組員ダニエルズ(キャサリン・ウォーターストン)
にとっても、人類の新たな希望の地に思えた。果たして、ダニエルズの前に
現れた完全な知能を持つアンドロイド(マイケル・ファスベンダー)は敵か、
それとも味方か。そして、エイリアン誕生を巡る驚愕の真実とは?コヴェナント号に
エイリアンの脅威が迫る中、ダニエルズは哀しみを乗り越え、あまりにも過酷な
運命に立ち向かっていく……。(Movie Walker)

<IMDb=★6.5>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:70% Audience Score:57%>


   

# by jazzyoba0083 | 2017-09-21 12:30 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

●「ギリー・ホプキンズの不機嫌な日常 The Great Gilly Hopkins」
2016 アメリカ Lionsgate Premiere. 98min.
監督:スティーヴン・ヘレク 原作:キャサリン・パターソン『ガラスの家族』
出演:ソフィー・ネリッセ、キャシー・ベイツ、ジュリア・スタイルズ、オクタヴィア・スペンサー、グレン・クローズ他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
割りとありがちなテーマであるが、エンディングも含め、(原作があるのではあるが)
引き込まれつつ見ることが出来た。日本では未公開でDVDでのタイトルは
「ギリーは幸せになる」という身も蓋もないタイトルになっている。私は
WOWOWで観たので、そのタイトルを掲げさせて頂いた。
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ギリーは画面上では凄く大人びて見えるが実際は小学校高学年。多感な時期に
母(いわば私生児である)と分かれて暮らしていて、里親のところをたらい回しに
されている。母に育児放棄されているにも関わらず、母が恋しい。この世に自分しか
頼る人がいない現状に12歳前後の女の子が晒される中、彼女なりに必死に生きては
いるのだけど、やはり心の扉を閉ざし、大人たちには不信感しか抱かず、頭はいいのに
勉強はしない。

そんなギリーが今度やってきたのはトロッターさんという里親のベテランのような
おばさんの家。すでにそこには愛称W・Eという少年がいた。ギリーはいつもの
ように、口は悪く、友人は作らず、不貞腐れているばかりの日々。夢はいつか
お金をためて母のいるサンフランシスコに行くこと。

一人暮らしのトロッターさんは毎晩夕食を共にする斜向いに住む盲人のランドルフさんと
いうおじいさんがいた。彼女を呼びに行くのはギリーの役目。このランドルフさんの
家はまるで図書館のように蔵書が有り、かつてはそれなりの地位にいた人のようだ。
また、ギリーの学校の担任ハリス先生(オクタヴィア・スペンサー)が、なかなか
出来た人で、厳しくも温かくギリーを理解しようとしてくれる。

次第にトロッターさんの家の暮らしにもなれたころ、まず、母親に今の自分は虐待
されていて、酷い状況だという嘘の手紙を母に出し、さらにランドルフさんの家に
忍び込み、お金を盗んでバスに乗り母に会いに行こうとした。が、全然足りない。
しかも、トロッターさんの財布からもお金を取ったのだ。この一件で普通は施設
送りになるのだが、トロッターさんが必死に抵抗してくれて、この家にいることが
出来ることになった。それからというもの周囲の温かさに触れ、ギリーの態度が少し
変化してきた。

そんな折、1人の老婦人が訪ねてきた。ギリーの祖母(グレン・クローズ)だという。
祖母は自分の娘コートニーと折り合いが悪く何年も会っていないので、まさか
自分に孫がいるとは知らなかったのだ。さらに福祉事務所があの嘘の手紙を受け
ここには置けない、W.Eも他へ移す、と言ってくる。ギリーは自分のしたことの
罪の深さに反省をするのだが、肉親が見つかった以上、トロッターさんとは暮らせ
ないのだ。トロッターさんとランドルフさんは彼の蔵書から、最初にギリーが
ランドルフさんに朗読してあげた「英国詩選」をギリーに餞別として渡した。

祖母に引き取られたギリーはまた自分に閉じこもる生活に戻ってしまうが、祖母の
理解ある態度に次第に新しい生活にも慣れてきた。その年のクリスマスに、ついに
母が帰ってくるという。狂喜するギリー。だが、空港に出迎えに行った祖母とギリー
の前に現れたのは、自分が妄想していた優しい母ではなく、たった二日間しかも
祖母にカネをせびりに来た母であった。ギリーは空港から1人で泣きながらトロッター
さんの家に行くのだった。

そしてクリスマスの日。みんなで祝うテーブルが映される。そこにはギリーと祖母、
トロッターさんとW.E、ランドルフさん、そして学校の友人たちの姿もあった。
祖母の元で暮らすとは言え、トロッターさんの家にも自由に行き来できるように
なったらしい。
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このような話なのだが、主にトロッターさんとハリス先生の言葉に含蓄があり、
ちょっと小学生には難しいんじゃないかとは思うけど、まさにその通りではある。
先生には「あなたの中にある怒りを目標を達成するために使いなさい」とか、
トロッターさんには「人生は良いことばかりではないわ。でも私たちは心で
繋がっているわ」とか。

結局ギリーは祖母と暮らすことになるのだけど、トロッターさんや前の学校の
友人たちとは交流を続け、心を繋ぎ、生きていくことにしたのだ。まだまだ
幼く、ガラスのような心、でも柔軟性のある心に、この歳にこの難題、と
いう人生の辛さを乗り越えていくギリーの姿に応援したくなるというものだ。

主人公のギリー、ちょっと見た目はとても小学生には見えない(中学生か
高校生くらいに見える)ので、反抗する態度もまじで可愛げがない。が、
よくある話ではあるけど、心がじんわりと暖かくなるエンディングだった。
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<ストーリー>
「テラビシアにかける橋」が映画化されたこともある米国の児童文学作家K・
パターソンの小説「ガラスの家族」を映画化。多感な少女ギリーがある里親に
預けられた後、さまざまな人々と出会って成長していく姿を感動的に描く
ヒューマンドラマ。
「ミザリー」で第63回アカデミー賞の主演女優賞に輝いたベイツ、「ヘルプ〜
心がつなぐストーリー〜」で第84回アカデミー賞の助演女優賞に輝いた
スペンサー、ベテランのクローズらハリウッドの一流女優陣が集結して充実の
共演を繰り広げた。WOWOWの放送が日本初公開。

小学校の高学年である少女ギリーは、数々の里親のもとを転々とした後、
メリーランド州に住むメイムの家に里子として預けられる。多感な上に聡明な
ギリーは少々生意気で周囲を困らせるが、次第に周囲の人々となじんでいく一方、
サンフランシスコで暮らす母親コートニーとの再会を夢見続ける。
ギリーがサンフランシスコに家出しようとして失敗した直後、コートニーの母親
ノニーが現われ、ギリーを引き取りたいと申し出てくるが……。(WOWOW)

<IMDb=★6.5>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:65% Audience Score:56%>

# by jazzyoba0083 | 2017-09-20 22:50 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)