2009年 05月 08日
バガー・ヴァンスの伝説 The Legend of Bagger Vance
2000 アメリカ 20th Century Fox Films,Dream Works SKG,125min.
監督:ロバート・レッドフォード
出演:ウィル・スミス、マット・デイモン、シャーリーズ・セロン、ブルース・マッギル、ジャック・レモン他
NHKは時々こういう作品をBSで放送するので油断ならない。出演者が物凄いのに惹かれて、しかも
ロバート・レッドフォード監督という興味もあり、観てみました。
いかにもドリームワークス的な作品だなあ、というのが第一印象。長い映画だけど、ゴルフの72ホールの
勝負が懸かっているので、興味深く観ることは出来る。
だが、残念なことに、これだけの豪華キャストに比べストーリーが弱い、またそれぞれの人の描き方が
弱い。エンタテインメントとして割り切れば、観流すにはいいかもしれない。決して不快な映画ではない
から。
物語は、バガー・ヴァンス(ウィル・スミス)というキャディーの不思議な活躍により、かつての天才
ゴルファーが再生する、というもの。
ジョージア州サバナ。第一次世界大戦前の南部でゴルフの英雄と言えば、16歳でチャンピオンになった
ラナルフ・ジュナ(マット・デイモン)であった。華麗なゴルフスイングで、ギャラリーを魅了し、本人も
サバナの富豪の美人アデール(シャーリーズ・セロン)と結婚することも出来た。
しかし、そこに勃発した第一次世界大戦。彼も欧州を転戦、激戦の中を何とか生き抜いて帰国したが、
戦争中に受けた心の傷は癒えず、ゴルフ界からも、妻アデールの前からも姿を消してしまった。
12年間も夫の帰る日を待ち続けていたアデールだが、男勝りの性格で、父親とともに、町の沖にある
小島にリゾートゴルフ場を造り、観光客をたくさん招いて町起こしに一役買おうとした。
しかし、そこに大恐慌が襲い、ゴルフ場のオープンも危ぶまれた。アデールの父親は自殺してしまった。
アデルは、新しいゴルフ場で、ゴルフの神様ボビー・ジョーンズと、豪快なゴルフで知られるウォルター・
ヘイゲンを招きマッチプレイを開催し、全国から客を呼ぼうと考えた。しかし、町のおえら方は、サバナから
も選手が出なければ支援は出来ないという。そこで、指名されたのが、消えたジュナだった。
彼は酒に溺れ荒んだ生活をしていた。そこに、彼にあこがれていたハーディという少年が、まず彼を
説得に行くが、にべもない。次にアデールが登場して、彼を誘うが、ジュナは自分のスイングを忘れた、
と言って出ないと言い張る。
しかし、ゴルフを諦められないジュナは、夜中にクラブを持ち出して練習をしてみる。案の定酷い球筋だ。
そこに現れた黒人の不思議な男。彼はバガー・ヴァンスと名乗り、5ドルでキャディーをやるから
出ろ、という。そして「人生もゴルフもグリップがすべてだ」とか教訓めいたことをいってジュナにの心に
火をつける。ついに大会に出場することにしたジュナだったが、いざボビー・ジョーンズとヘイゲンとともに
町民が押し寄せた中での紹介イベントに臨むと、ビビってしまい、荷物を纏めて逃げようとする。
しかし、走るトラックに町民が手を振り声をかけ、おらが町の英雄に期待を投げかける。
そうなると出ないわけにはいかない。ゴルフは3人が土日で36ホールづつ、合計72ホールのストローク
プレイで勝負を決めるものだ。久しぶりのゴルフで、どうかと思われたジュナだったが、バガーの
不思議なアドバイス、テクニカルなアドバイスではなく、「心を無にして自然と一体となれ」とか、精神的な
アドバイスが主。土曜日を終えて2人に12ストロークも差をつけられたジュナだった。すっかりしょげて
しまうが、バガーに励まされ、日曜に臨んだ。この日もバガーのアドバイスで順調に差を縮めてきた。
ちょっといい気になったジュナは、バガーのアドバイスを無視してスプーンで打てというのにドライバーを
使いイーグルを狙った。しかしボールはバンカーにハマり、さらに顎に当たって1発で出ず、リカバリー
ショットも林の中のベアグラウンドに。周囲に誰もいないことで、思わずボールを打ちやすいところへ
動かそうという悪魔のささやきに負けて、ボールに手をと伸ばそうとした瞬間バガーが現れ、心を無にして
打てとまた不思議なアドバイス。ショットは見事に決まり、ピン横にピタリと乗ったのだった。
日曜の最終ホールで日が落ちてしまい、競技委員たちは町の人々にクルマのヘッドライトで18番ホール
を照らすようにいう。このホールでセカンドショットを打とうと、小さい枝をどかそうとしたジュナは、それで
ボールを動かしてしまった。一緒に回っていたフォアキャディとして一緒に回っていたハーディー少年は
誰も観てないから申告することはないよ、止めとけよ、というがジュナは「いやボールは動いてしまった」と
競技委員と他の二人のプレイヤーに1打罰を申告する。ボビーも、ヘイゲンも、ボールが自然と動いて
しまったんだろう?ならいいじゃないか、と庇ってくれるが、ジュナは「自分が動かした」と主張、ペナルティ
を受け入れる。バガーは、そんなジュナを観て、もう自分がキャディーをやる必要はなくなった、と残りが
あるのにゴルフ場から姿を消してしまう。しかし、その後のショットでジュナは2人に追いつき、最後の長い
パーパットでは、心を無にして打とうとするとグリーンに道が見えた。
結局3人ともイーヴンで引き分け。地元のジュナが偉大な選手たちと引き分けたことに大喜びし、
長い間、距離を置いてきたアデールも、再びジュナのもとに帰ってきたのだった・・・。
こうした話を、冒頭とエンディングに出てくる現在のハーディ少年(ジャック・レモン)語りで綴っていく。
ジャック・レモンはなぜかクレジットされていない。彼の最後の作品になってしまったのに。
タイトルはバガー・ヴァンスだが、ジュナの再生の話であり、ハーディ少年が「世界に自分で自分に
ペナルティを課すスポーツがある?ゴルフは最高さ、自分との戦いだからね」という成長の話であり、
アデールの苦闘の話であり、サバナという町の話であり、ゴルフというスポーツの素晴らしさの話である。
結局バガー・ヴァンスは現実の存在ではなく、ジュナの守護天使として描こうとしたのでしょうか?
それはラストシーンで、老いたハーディー少年の前に現れるバガー・ヴァンスの姿を見てもそんな感じ
がします。
最後はめでたしめでたしなのだが、どうも的が絞りきれてないんだな。群像劇までも行かない散漫な
感じ。個性が強い高名な俳優が沢山出ているので、それぞれにトピックを少しづつ付けちゃうので、
全体に骨が通らない映画になっちゃったようだ。
ハーディー少年を演じた少年はまさに「とっちゃん坊や」というか「おばさん顔」の風体で不思議な顔の
子役さんだったなあ。
昔のゴルフはネクタイをしてニッカボッカでやってたんだなあ。クラブも木だしね。それにしてはボールが
どうも今っぽかったような・・・。
この映画の情報はこちらまで。
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