皇帝円舞曲 The Emperor Waltz

●「皇帝円舞曲 The Emperor Waltz」
1949 アメリカ Paramount Pictures,106min.
監督・脚本:ビリー・ワイルダー 音楽:ヴィクター・ヤング
出演:ビング・クロスビー、リチャード・ヘイドン、ジョーン・フォンテイン、ローランド・カルヴァーほか。
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「失われた週末」「サンセット大通り」「お熱いのがお好き」「アパートの鍵貸します」「麗しのサブリナ」
など傑作を自らも脚本を書いてものしてきた才人、ビリー・ワイルダーが、ヴィング・クロスビーの歌う
「奥様お手をどうぞ」に載せて描いた、おとぎ話のようなコメディー&ラブ・ストーリー。
ワイルダーにしては、ちょっと何だかなあ、という感じは免れない。ミュージカル映画か、と思って
観はじめたものの、歌うのはクロスビーのみで、歌の種類も多くない、というか2曲?
ビクター・ヤングの音楽はきれいではあるが、お話としては陳腐ですね。

アメリカ人の蓄音器セールスマン、スミス(クロスビー)は、20世紀初頭には広大な領土の王であった
オーストリアのフランツ・ヨーゼフにこのころ発明されたばかりの蓄音器を売りこまんと、ウィーンにやって
きた。
オープニングはウィンナ・ワルツに載せて華麗に繰り広げられる国王主催のパーティー会場。そこに
窓ガラスを破って侵入、ダンスの輪にいた伯爵令嬢ジョアンナの元に行き、何やら言いよっている。
それを見ていた貴族のご婦人がたの噂話で、過去と現在を描き分けていく。

蓄音器を売りに来たはいいが、皇帝に会う前に、蓄音器を爆弾と間違われ、池に沈められた上に
追放されていしまう。しかし、スミスと一緒に来ていた愛犬のバトンズが、ジョアンナの愛犬シヘラザード
に一目ぼれしてしたことから、飼い主であるジョアンナとスミスの中も急接近。お互いに惹かれあう。
しかし、シヘラザードは皇帝の愛犬の嫁に行くことに決まっていて、このことがジョアンナの父の昇進にも
繋がっていたのだった。

皇帝がチロル地方に静養に行ったと聞いたスミスは後を追う。ジョアンナも合流して、二人の逢瀬の時間
を持つことが出来た。二人は結婚を決意するが、ジョアンナは爵位を返上し、アメリカに渡らなければ
ならない。父は大反対。スミスは皇帝に会い、二人の決意が固いことを説明するが、身分の違いを
心配する皇帝は、首を縦に振らない。

やがて、シヘラザードが妊娠し、赤ちゃんを産む。しかし、生まれてきたのは雑種の犬。外で気をもんで
待っていた皇帝に、ジョアンナの父は「死産でした」と嘘を言い、3匹の子犬を殺そうとする。そこに
スミスが飛び込み、子犬を持ち去り、皇帝主宰のパーティー会場に現れる。そして、皇帝に真実を
告げる。皇帝は、生まれた子犬を大切に育てることを約束し、二人の結婚も、バトンズとシヘラザードの
結婚も許すことにしたのだった・・・。

ビクターのニッパーそっくり(蓄音器のそばで、その姿を再現させるシーンあり)のバトンズ君の名犬ぶり
が目立つ作品であった。全体としてはほのぼのとしていて、ハッピーエンドであるし、ジョアンナの
ジョーン・フォンテインも、いかにもあの時代の美人女優という風情で美しかったけど、物語としては
凡庸であろう。
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ところで、このジョーン・フォンテインは、東京生まれで、お姉さんがオリビア・デ・ハビランドということを
初めて知りました。父上は東京帝国大学の教授であったそうです。幼いころ3年ほど東京で過ごして
いるんですね。姉に「風とともに去りぬ」のメラニー役をとられ、失意に打ちひしがれ自殺まで考えたのだ
とか。
しかし、41年にはヒッチコック作品「断崖」でケイリー・グラントと共演し、演技が評価され、オスカー
(主演女優賞)を獲得することが出来たそうです。今年91歳になられるのですね。
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この映画では演技、という程のストーリーでは無い役柄で、美しければOKというポジションです。

映画の中で繰り返し歌われているのがスタンダードとなったコンチネンタルタンゴの名作「奥様お手を
どうぞ」(I kiss your hand,madam)、日本では、旗輝男や菅原洋一らが歌っていたような記憶が
ある。日本でもいろんな歌手が、テレビやラジオで歌ってヒットしましたっけ。
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"I kiss your hand,madam perfomed by Bing Crosby"

by jazzyoba0083 | 2009-06-02 22:30 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)