ゴーン・ベイビー・ゴーン Gone Baby Gone

●「ゴーン・ベイビー・ゴーン Gone Baby Gone」
2007 アメリカ Miramax Films.The Ladd Company,114min.
監督:ベン・アフレック   原作:デニス・レヘイン 『愛しき者はすべて去りゆく』
出演:ケイシー・アフレック、ミシェル・モノハン、モーガン・フリーマン、エド・ハリス、エイミー・ライアン他
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重く、観終わって爽快な映画ではないが、考えさせてくれます。才人ベン・アフレック初監督作品で
弟のケイシーを使って作った社会派ミステリー。日本劇場未公開なのが信じられない。上出来な
映画だったと思うけどなあ。エイミー・ライアンはこの演技でオスカーの助演女優賞にノミネートされて
いますしね。(それほどの演技だとは思わなかったけど・・・)
ケイシーの登用の賛否は別れるところだろうな。悪くはないんだけど、いまひとつパンチがない感じ。
相棒のアンジーを演じたミシェル・モノハンの役どころが、ラストのラストまで生きていないのがもったい
ない。

ただの探偵ものミステリーか、思わせておいて、最後にはとても重いテーマを突き付けて終わる。

ボストン。幼馴染で同棲中のパトリック(ケイシー・アフレック)とアンジー(モノハン)は、街で起きた
4歳の女の子の誘拐事件の捜査を頼まれる。頼んできたのは、誘拐された母親の兄。もちろん警察
あげての捜査をしているのだが、兄嫁がどうも警察だけでは頼りない、裏社会に通じていないか、と
依頼してきたのだ。
パトリックとアンジーの仕事は、夜逃げした人を探すのが主なもの。犯罪の捜査は基本的には引受け
ないのだが。

捜査を指揮するのがジャック・ドイル警部(M・フリーマン)。そして前線で捜査に当たる二人組の刑事
レミー(エド・ハリス)とニック。パトリックとアンジーは、情報を求めて怪しい酒場に行くと、そこで
女の子アマンダが誘拐された時、母親のへリーンは、ここで2時間もの間、コカインを吸引していたという
証言を得た。二人の刑事にそれを知らせ、へリーンに問い詰めると、へリーンはコカインの運び屋を
ときどきやっていて、ある日暴走族にコカインを渡したところに警察が踏み込み、代金13万ドルを
へリーンたちの手元に残したまま逃げていったという。
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へリーンと一緒にコカインを運んだ男はすでに殺されていて、へリーンの自供から代金は庭に埋めて
あったところを押収した。
刑事レニーとパトリックたちは、麻薬売人の元締めであるチーズと呼ばれる男の元に行き、金は返す
から女の子を返せ、と迫る。しかし、チーズたちは金は確かに消えていたが、女の子のことなどは
知らないと、パトリックたちを追い返す。

しかしその後にチーズから電話がかかり(これがあとで嘘だとわかるのだが)取引をしたいという。
郊外のダム湖畔に4人で来い、という。行ってみると、レニーらのチームのほうで銃撃戦が始まり
何かが湖に落ちた。アンジーは、高い崖から湖に飛び込み、浮いている人形のそばを探すが、
アマンダは結局見つからなかった。違法な捜査をしたということで、指揮を執っていたドイル警部は自主
退職となった。アマンダ行方不明事件は、チーズらの犯行で犯人も被害者も死亡という形で決着した
ように見えた。

そうこうしているうちに、また7歳の男の子が行方不明になるという事件が発生した。パトリックたちが
アマンダ事件の時に最初に疑ったジャンキーの居場所が判ったと、もう一人の麻薬の売人から、情報
が入った。まずパトリックたちが、そこを訪ねると、少年性愛者が腕に行方不明になった少年が付けてい
たメダルを付けているのを目撃した。そこでパトリックたちはレニー刑事たちとSWATの応援を受けて、
屋敷に近づくと、中からいきなり銃撃してきた。そこでレニーの相棒刑事ニックが撃たれてしまう。
パトリックも銃を手にして中に入ると、あの異常性愛者の部屋にすでに殺されていた行方不明の男の子
の姿があった。頭に血が上ったパトリックは無抵抗だったこの男をその場で射殺してしまった。
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男の子の行方不明事件が解決したが、パトリックには消えない疑問があった。最初にアマンダの捜索を
依頼してきた兄が嘘をついている、と見たパトリックは彼を追い詰めて自白に追い込む。
彼が言うには、その夜アマンダに本を読み聞かせていると、妹のへレーンと仲間が、大金が入ったので
娘を捨てて州外に逃亡する、とう計画が聞こえてきた。アマンダが孤児になってしまうことに危機感を
いだいたへレーンの兄は知り合いだったレニー刑事に相談、レニーは、ドイル警部に相談し、アマンダを
誘拐した、ということでドイル警部の家に引きとる、という計画を立てたのだ。そして、計画外であった
パトリックたちの登場に対し誘拐の犯行を麻薬取引をしている奴らに罪を着せることにしたのだ。
ダム湖畔で、待ち伏せておいてチーズを殺し、逃げた仲間も殺した。兄はパトリックにはそこで、目を
離したすきにアマンダは目隠しされていたため誤って走る方向が判らず湖に落ちた、と説明した。
しかし、それも嘘だった。
兄がパトリックに真実の一部を話している時に、その酒場に覆面をかぶった強盗が入ってきた。
パトリックにはすぐ判ったのだが、レニー刑事が、真実を告白しようとしている兄を消そうと強盗を装って
来たのだが、あまりにも二人に気を捕らわれているうちに、バーテンダーに胸を2発撃ちこまれ、
逃げるが、絶命してしまう。

アマンダはドイル警部の家にいる、と確信したパトリックだったが、アンジーは止める。パトリックは
ドイルに、あなたのやっていることは間違っている、と説得する。しかしドイルは、アマンダはダメな母親の
元に戻せばまた不幸になる、と逆にパトリックに説明する。パトリックは、あなたは実の母親から娘を
奪ったのだ、と譲らない。パトリックは警察に通報してあって、ドイル警部は逮捕される。
アンジーも考えはドイル警部と同じで、アマンダは不幸になるから、という自分の意見を聞かなかった
パトリックの元を去っていく。

マスコミも大騒ぎの中、アマンダは母親の元に戻った。しばらくしてパトリックがアマンダの様子を見に
いってみると、へレーンは、男とのデートに出かけるところ。アマンダの世話は友人が見るという。
結局、ダメな母親はダメなまま。テレビを相手につまらなさそうなアマンダを、複雑な目で見る
パトリック。結局、実のダメ母より、アンジーの言うとおりドイル警部の元で幸せに暮らしたほうが良かった
のか・・・。

12歳の子供を事件で失ったドイル警部を中心に、子供が傷つけられることを酷く憎むレニー刑事、
相棒のニック刑事、そしてアマンダには叔父にあたる母親の兄らは、みんなアマンダの将来を心配して
誘拐狂言を仕立てたのだった。狂言を仕立て、罪のない麻薬売人らを屑だからといって次々に殺し
罪を着せるのは確かに良くないが、ダメな母親の元に戻ったアマンダは幸せになれるのだろうか、
かなり不安な印象を残して映画は終わる・・・。

事件が起きて登場してくるモーガン・フリーマンとエド・ハリスは、ただの警察じゃあないな、と思えて
しまうが、ラストの持って行きかたが普通ではないので、いい意味で裏切られた。
ケイシー・アフレックは口では強がっているのだが、黒人街で麻薬の売人たちを相手にこわもての
セリフで交渉していくには、いささか眼力が弱い気がした。
原作がいいんでしょうね。それを脚本が上手く仕上げた。ベン・アフレックも初監督としては手堅かった
のではないかな。M・フリーマンとE・ハリスは、さすがだね。この二人が別な人だと映画は実に
変わった映画になっていたことだろう。
この映画の情報はこちらまで。
Tracked from ☆彡映画鑑賞日記☆彡 at 2009-06-28 08:13
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Tracked from ★YUKAの気ままな有閑.. at 2009-07-15 16:17
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by jazzyoba0083 | 2009-06-27 22:55 | 洋画=は行 | Trackback(2) | Comments(0)