アメリカを売った男 Breach

●「アメリカを売った男 Breach」
2007 アメリカ Bouble Agent Productions,Unversal Pictures,110min.
監督:ビリー・レイ
出演:クリス・クーパー、ライアン・フィリップ、ローラ・リニー、デニス・ヘイスバート、カロリン・ダヴァーナス
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この手の実録モノは大好きで、一応出ている人とか、監督関係なく観てみます。今回は、派手なドンパチ
は一切ない、心理戦、それとFBIという組織の不思議で危ういところが上手く表現されていた佳作だと
思いました。主演のオニールを演じているライアン・フィリップ、若いアシスタントとして大物スパイと
対峙しながらも懸命に仕事に打ち込む姿が良い。見るからに悪人面のハンセン捜査官を演じている
クリス・クーパーも、心の底には愛国心を抱えているのかなあ、という深いところを見せてくれて満足。
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『2001年2月、20年以上にわたりソ連/ロシアにアメリカの国家機密を漏らしていたとして逮捕された
FBI捜査官ロバート・ハンセンを巡る衝撃のスパイ事件を映画化したサスペンス・ドラマ。

全米中を震撼させたこの実話を、ハンセンのもとに送り込まれた若き捜査官との緊迫の心理戦を軸に、
逮捕されるまでの二ヶ月を克明に描き出していく。(中略)なお、劇中でライアン・フィリップが演じた
エリック・オニール捜査官本人(現在はFBIを退任)が特別顧問として、FBIの許諾のもと本作に
全面協力しているとのこと。
 ある日、若きFBI捜査官エリック・オニール(ライアン・フィリップ)が上司のケイト・バロウズ(ローラ・
リニー)に呼び出され、組織内でもトップクラスの捜査官、ロバート・ハンセン(クリス・クーパー)の監視を
命じられる。
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しかし、オニールにはその真の目的は告げられなかった。そんな中、ハンセンと行動を共にするオニール
だったが、何一つ不審な点を見つけることはできない。やがて、自らの任務に不満を持ち始めたオニールは、バロウズからハンセンのスパイ容疑という衝撃の事実を告げられるのだった。』(allcinema)

捜査官になりたい!そういう夢を持ってFBIに入ったエリックだったが、やっと巡ってきたチャンスが
アメリカ一といわれるロシア通のFBI捜査官でありながら、内部から大物スパイの疑惑を捜査される身の
ハンセンのアシスタント。いうなれば、ハンセンというスパイをスパイする立場だ。

上官は女性捜査官のバロウズ(ローラ・リニー)。バロウズはすでにFBIの中にハンセン摘発の大掛かり
な捜査組織を立ち上げ、ハンセンの行動を監視していた。その身近で一挙手一投足を報告するのが
エリックの役目だった。
彼は結婚しているが、妻はエリックに捜査官になって欲しいけど、何をやっているのか話してくれないし、
休日でもポケベルの7番の着信で即出勤となり、そうした暮らしに疲れ始めていた。
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ハンセンの捜査網は、次第に狭められて来た。エリックはハンセンの小型コンピュータの中身をコピー
したり、その仕事を着実にこなしていた。ある日、ハンセンのクルマを短い時間で解体する、という仕事
のサポートとして、彼を用もない政府機関に連れて行き、帰りに時間をかせぐ、という役を務めることに
なった。解体されたハンセンのクルマの中から機密書類が発見され、トランクには機関銃など武器が
満載されていた。クルマを元に戻す時間のないうちにハンセンが早めに帰って来てしまう。
バロウズはエリックに時間を稼ぐように指示を出す。わざと渋滞に引っかかるように道を選び時間を
稼ごうとしたが、怒ったハンセンは、降りて歩くという。歩くと早く到着する。そこで、エリックは、以前
信心深いハンセンと信仰の話をしたことを思い出し、わざと違う道を選んだ、教会で本を借りたかった
からだ、どうか許してほしい。しかし、あなたは自分のことしか考えないのか、と彼の人間性に訴え
かける言葉で巧みに話しかけた。すると、ハンセンはクルマに戻ったのだった。
解体されたクルマは、ハンセンが帰るまでに無事に元に戻されていた。
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後日、エリックはハンセンからクルマを修理に出すから、と言われた。最近ラジオから雑音がでるのだ、
という。ハンセンは自分のクルマに盗聴器やGPSが取り付けれていることを判っていたのだ。
そこで、この仕事から足を洗おうと、ロシア当局に手紙を書いたのだが、それがクルマの中から発見
されたのだった。足を洗われては取引の現場を押さえる、という決定的な証拠が取れない。

ハンセンはエリックがスパイじゃないか、と疑い、森の中で銃をぶっ放しながら、お前は信じていいのか、
と繰り返し迫られるが、エリックはこらえた。そして、そこでエリックは逆に、ハンセンに人間としての
尊厳や自信を取り戻させる言葉を浴びせかけた。するとハンセンは、引退しようとしていたスパイ魂に
火がついて、取引を再開することになったのだった。

ハンセンは、FBIの包囲網の中を極秘文書を封に入れ、公園の橋のしたに張り付けた。そこに
捜査官が雪崩打って駆けつけ、ハンセンはたちまち逮捕されたのだった。

捕まったハンセンに捜査官が動機を尋ねると「金、エゴ、あるいはアメリカに警鐘を鳴らす愛国心なんて
いうのもあるな。いずれにせよ、この期に及んで動機などどうでもいい」というのだった。

大物スパイ逮捕という大きな手柄を立てたエリックだったが、人間性を欺いて、愛する妻も騙しての
仕事に辟易していた。そして、この機にFBIを辞める決心をした。バロウズ捜査官から、捜査官に昇格
させるわよ、と言われるが、断る。最後、帰りのエレベーターを待つエリックの前で開いたエレベーターに
手錠姿のハンセンが。「祈ってくれ」。エリックは「そうします」。ハンセンはエリックに裏切られていたことに
対し一言も恨みがましいことは言わなかったのだった。

アメリカ史上最悪のスパイ事件と言われた主人公のハンセンも、一皮むけば弱い人間であり、神に
罪を告白する人間であった。その弱みにつけこんだエリックも、人間として、自分が許せかったのだろう。
画面のこちら側の観客はすべて判っていて、知らないのはハンセンばかりなり、という構図で映画を観る
ことになる。それがまた映画に入り込めやすく仕上がっているのだろう。
この映画の情報はこちらまで。
Tracked from ☆彡映画鑑賞日記☆彡 at 2009-07-04 14:53
タイトル : アメリカを売った男
 『職業・・・FBI捜査官 罪状・・・二重スパイ 史上最悪の裏切り者、逮捕までの二ヶ月間。』  コチラの「アメリカを売った男」は、”アメリカ史上最大の情報災害”と言われ、世界を震撼させた”ロバート・ハンセン事件”に基づき、犯罪に手を染めた捜査官ロバート・ハ...... more
by jazzyoba0083 | 2009-07-01 22:50 | 洋画=あ行 | Trackback(1) | Comments(0)