さよなら。いつかわかること。 Grace Is Gone

「さよなら。いつかわかること Grace Is Gone」
2007 アメリカ The Weinstein Company,Plum Pictures,85min.
監督・脚本:ジェームズ・E・ストラウス
出演:ジョン・キューザック、シェラン・オキーフ、グレイシー・ベドナルジク、アレッサンドラ・ニヴェロ他
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原題のGraceというのは、主人公の奥さんで、イラク戦争で命を落とす母親の名前。ジョニーは戦場へ
いった、みたいな感じか。1時間半の掌編だが、静かに戦争の不条理、不幸を訴えかけてきて、ラスト
近くには、涙がこぼれそうになった。12歳の女の子と妹という子供がいて、長女がまた、大人になりかけ
の多感な時期にさしかかり、微妙なこころの動きを上手く表現していて、一層痛々しい。

スタンレーは日用雑貨のスーパーに勤めている。彼は軍隊のブートキャンプ中に知り合ったグレイスと
いう職業軍人の妻がいる。最初はスタンレーが入隊したが、ごまかした視力検査がばれて除隊となり、
グレースがイラクに派遣されたのだ。

しかし、グレースは戦闘中に死亡する。幸せな家庭に突如もたらされる最愛のママの悲劇。
スタンレーは茫然となり、子供たちに知らせることもできず、妹がいつか行きたいといっていたフロリダの
「魔法の庭」というテーマパークに小旅行に出かけることにした。姉のハイディと妹のドーンを連れて、
まず、弟の住む(実の母の住む)家に。肉親でさえ、この悲しみを本当には判らない。
一家はさらにフロリダに向かう。学校には当然姉妹の母親の戦死が報告されていて、二人が休んでいて
も、なんら苦情を言うわけでもない。むしろ心の傷をいやすにはそれなりの時間がかかるだろう、という
ことで宿題を出して、やってきてくれればいい、と姉には説明するが、姉は、学校が母が亡くなったとは
絶対に言わないので、なぜそんなに優しいのかを訝るのだった。

スタンレーは、いつ母親の死について話そうか、悩みに悩み、自宅の留守電の応答の声がグレースで
あったことから、留守電相手に、どうすればいいのか、吹き込んだりしていた。
姉は、その留守番電話をホテルから聞くことになり、うすうす事態を知り始めていたようだった。
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一家はついにフロリダの「魔法の庭」につき、一日中、いろんな乗り物に乗って、遊びに遊んだ。
肝心のことを言えないまま、最終目的を果たしてしまったスタンリーは、帰路についたクルマを海岸に
止め、いよいよ、"I have to tell you something"と口火を切るが、なかなか、ストレートには言え
ない。ママもパパもお前たちを世界で一番愛しているよ、ママが戦場にいったとき、万一のことは
話したよね、ママは戦場で怪我をした。とても重いケガだ。「でも、ケガなんでしょ?」と姉。
しかし、兵士は戦場で死ぬこともある、ママは帰らないんだ、勇気とあふれ出る悲しさを振り切って二人に
告げた。波の寄せる夕暮れの浜辺で抱き合う3人。
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ママは一度も画面に出てこないが(写真でちょっと姿が見える程度)、家族に愛されていた素敵なママで
あったことはよく解る。スタンリーとも深い愛で結ばれていたことも良く解る。

愛する人を奪って行った戦争。本当に姉妹は「いつかわかること」なのだろうか。テレビでこの戦争は
意味がない、と報道しているのを聴いた姉はスタンリーに戦争の大義を尋ねるが、「テレビのいうことを
全部信じちゃいけないよ」と逃げるのが精いっぱいだった。

一つの家庭に襲った戦争の悲劇を、淡々と描いているが故に、逆に悲しさ、むなしさは募る。掌編で
粛々と仕上げているのも良かった。ジョン・キューザックは製作にも名を連ねているので、この手の
作品を作りたかったのだろうな。彼の、次第に無精ひげが伸び放題になっていく様、茫然としたり
突如感情を爆発させたりするする、悲劇の主人公を、上手く演じていたと思う。

音楽をクリント・イーストウッドが担当し、エンディングテーマ"Grace Is Gone"は、キャロル・セイヤー
ベイガーによって歌われるが、どこかイーストウッドの"Grantrino"を思い出させるメロディーラインは
また、切なくさせるのだ。
子役もいい年頃の設定で、好演していた。
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Tracked from ☆彡映画鑑賞日記☆彡 at 2009-08-22 17:59
タイトル : さよなら。いつかわかること
 『笑うとき 目覚めるとき 眠るとき 海を眺めるとき 必ずママを思い出します イラクから突然届いた母の戦死。悲嘆に暮れる父親が、娘に真実を告げる時を迎える』  コチラの「さよなら。いつかわかること」は、サンダンス映画祭で観客賞&脚本賞を受賞し、4/26公開....... more
by jazzyoba0083 | 2009-08-19 22:50 | 洋画=さ行 | Trackback(1) | Comments(0)