2009年 08月 31日
ブレイブハート Braveheart
1995 アメリカ The Icon Entertainment,The Ladd Company,177min.
監督・製作:メル・ギブソン 脚本:ランドール・ウォレス
出演:メル・ギブソン、ソフィー・マルソー、パトリック・マクグーハン、
キャサリン・マコーマック、アンガス・マクファーデン、ブレンダン・グリーソン他
<1995年度アカデミー賞作品、監督、撮影、メイクアップ、音響効果編集各賞受賞作品>
中世イギリスの暗い映画は、あまり食指が動かないなあ、と思ってはいたが観はじめたら
面白く、3時間あっという間に観てしまった。冒頭はスコットランドとイングランドの歴史が
判らないと無理なのか、と思わせるが、そんなことは全然不要(知っていればなお面白いが)
であった。これまでの中世イギリスの歴史映画の常識を覆した近代的な演出とアプローチが
現代に生きる我々にとってぴったりフィットして迫ってくる。問題を今日的なものに上手く
置き換えて描出することに成功した。メル・ギブソンがこんな演出の才能があるとは、見直した。
更に、映像が良い。戦闘シーンは圧巻だ。血しぶき散るリアルな映像だが、それがそんなに
残酷に見えない。
自由を求める理想の男ウォレスの勇気と戦術、それを取り巻く男たちの友情。イングランド王
皇太子妃(ソフィー)との恋、そして貴族たちとの裏切り、権謀術数、駆け引き、戦闘シーンと
見どころは満載で、映画はスピード感を持って進むから、長くてもだれることはない。
むしろ快い緊張感を持って観終わることが出来る。ラストは決してハッピーエンドではないが、
心晴ればれとする心地よさを持っている。
舞台は13世紀のスコットランドとイングランド。イングランド王ロングシャンクスの圧政に
苦しんでいたスコットランドの平民ウォレス(メル)は、ロングシャンクスとの休戦会議に
出かけた貴族がだまし討ちに会い、殺されたのを目のあたりにする。勇敢な父と兄は、戦闘に
出かけ、戦死して帰って来た。ウォレスは伯父に引きとられ、欧州中の戦闘を経験してった。
長じて、村に帰ってきたウォレスだったが、希望は幼いころから想っていたモーネイと
暖かい暮らしを希望していた。しかし、村を占領していたイングランド軍の兵士がモーネイに
ちょっかいを出したことから、ウォレスは兵士を殴るなどして逃亡、占領軍司令官はモーネイを
捕えて、自ら喉首を切って死刑にし、ウォレスをおびき寄せた。
激怒したウォレスは、敢然と兵士の前に現れ、圧政に苦しんでいた村人とともに、司令官と
占領軍を殲滅してしまう。ウォレスは、抑圧されたスコットランドに自由をもたらすべく、
イングランド王ウィリアム1世(ロングシャンクス)に戦いを挑むのだった。
息子ロバートをスコットランド王にしたてようとするブルース卿、親に操られるロバートと
らい病で老い先短いブルース卿との親子の葛藤、休戦の使者としてウォレスとあってから恋に
落ちたイングランド皇太子妃イザベルとウォレスの関係、彼女は、2度に渡り、義父の裏切りを
ウォレスに教えるのだった。そして、ウォレスと仲間たちの、ゆるぎない男の友情、妥協を
許さないウォレスの生きざま。
ウォレスは、結局ブルース卿の2度目の罠に落ち、イングランド軍に捕えられ、王に対する
反逆罪で死刑を宣告される。王に対して慈悲を乞えば、楽な死に方を、そうでなければ苦しんで
死ぬことになるぞ、と言われ刑場に引き出されたウォレスだったが、決して屈することなく
「自由万歳!」と行って処刑台の露と消えていった。
しかし、その後、スコットランド王に就いたロバート・ブルースは、ウォレスに対して取って
来た優柔不断な人生を反省し、彼の意志を継いで、イングランドと対決の姿勢を鮮明にするの
だった。
実在の人物の歴史絵巻ではあるが、これに現代的なテーマ性を持たせ、エンターテインメント
として成功している。判りやすいストーリーと、勧善懲悪な心地よさ、戦闘シーンの
スペクタクル、そして幼馴染やフランスから来たイングランド王皇太子妃との恋、などの
複数のコアな物語が絡んでいくが、上手く描かれていてこんがらがることは無い。歴史が好きで
ない女性にも(ちょっとスプラっタなところはあるが)満足できる作品ではないか。
アカデミー賞5部門受賞も肯けるというものだ。
この映画の情報はこちらまで。
コチラの「ブレイブハート」は、13世紀末イングランド王エドワード1世(パトリック・マクグーハン)のスコットランド支配に抵抗した実在のウィリアム・ウォレス(メル・ギブソン)の生涯を大幅に脚色して描いたヒストリカル・アクション映画です。 1995年のアカデミー...... more