ギルバート・グレイプ What's Eating Gilbert Grape?

●「ギルバート・グレイプ What's Eating Gilbert Grape?」
1993 アメリカ Paramount Pictures,J&M Entertainment,117min.
監督:ラッセ・ハルストレム 原作・脚本:ピーター・ヘッジス
出演:ジョニー・デップ、レオナルド・ディカプリオ、ジュリエット・ルイスほか
e0040938_16274.jpg

今から16年前、ディカプリオはまだティーンエイジャーだった。ジョニデも当然ながら若い!
そんな二人の共演による、独特の雰囲気を持った暖かい家族愛の映画だ。
ディカプリオはこの作品でオスカーの助演男優賞にノミネートされたのだが、今よりも迫力
さえ感じる、天才的な演技。知恵遅れの18歳の少年で、ジョニデの弟役を演じるのだが、
極めて自然な演技でびっくりしてしまった。私が今まで観た一番若いディカプリオだ。
ジョニデもナイーブな弟思いの兄の演技が素晴らしい。シザーハンズから3年後の作品となる。

アメリカ中西部の田舎町。なんの変化もなく日々が退屈に過ぎていく。そんな街のある一家。
兄ギルバート(ジョニデ)は近くにスーパーが出来てめっきり客足が少なくなった雑貨屋で
働いている。弟アーニー(ディカプリオ)は知的障害者で、兄が主に面倒を見ている。
家には、家から出られないほど太ってしまった母、それを付きっきりで世話をする姉、やんちゃ
だが、しっかり姉も支える15歳の妹。父親は数年前に首を吊って死んでしまっていた。

無邪気で人の言うことは判るだが、一人で風呂に入れなかったり、鉄塔に何回も登って兄を
困らせたり、ついには警察に拘留されることになり、怒った母が、ここ数年間出たことのない
家から出て警察にどなりこみに出かける騒ぎにまでなった。でも、家族は決してアーニーを
見捨てるような、また暴力を振るうようなことはしない。
e0040938_163679.jpg

ギルバートは雑貨屋の配達をしながら、配達先の奥さんと出来ていたりしていた。しかし、
ある夏、キャンピングカーが街でクルマの故障からしばらく逗留することになり、そこに
乗っていたベッキー(ジュリエット・ルイス)が好きになる。このベッキーもアーニーを
分け隔てなく接し、ベッキーの母も良くできた人だった。

配達先の奥さんとのことは、そろそろかな、と思っていた(だろう)ところにベッキーが
現れ、また、奥さんの旦那が子供用のプールで溺死する、という事故が起き、奥さんは街を
出ることに。街の噂では旦那には相当の保険金が掛けられていて、奥さんが殺したのだろう、
という噂が立っていて街にいられなくなったのだ。

思いを残しながら去る奥さんと入れ替わるように入ってきたベッキー。グレイプ一家は
アーニーの18歳の誕生日の準備に忙しかった。たくさんの人を招待するからだ。
上の姉は、一生懸命ケーキを作るが、走り回るアーニーに突き飛ばされて、ケーキが台無しに
なる。ギルバートは、絶対に行くまいと決めていたスーパーにケーキを買いに行くことになった。

何とか準備が整い、アーニーの誕生日パーティーが開かれた。ベッキーもプレゼントを持って
お祝いに来てくれた。
その夜、母はいつもは1階のソファで寝ているのだが、重い体を引きずって2階の寝室に上り
そこで、みんなと話した後、息を引き取る。少しも目を覚まさない母親がどうなったかが
判らないアーニーでさえ、母の異常に気付き、皆に知らせるのだった。
e0040938_17385.jpg

しかし、ギルバートの友人の葬儀屋に言わせると、州兵を動かさないと重い母を動かせない
という。妹たちも見世物になってしまうわ、という。「見世物になんてさせるものか」と
ギルバートが選んだ手段は、父が建てたこの家を、家財を外に出しておいて、家ごと火葬して
しまおうというものだった。紅蓮の炎の中で夫の建てた家と一緒に煙になっていった母。

そして1年が経った。クルマが直ったからといって去って行ったベティと母親がまた今年も
戻ってきてくれた。喜ぶアーニー。そして姉は街のパン屋の店長になり、妹は学校に通い
始めた。皆、それぞれの道を歩き始めたのだった。

街から外へ出ることのないましてや障害者の弟の面倒を見なければならないギルバートにとって
キャンピングカーで全米を旅するベティはまぶしい存在だったろう。

このエンドーラという街、グレイプ一家、そしてベティ。それぞれが人生の何かのメタファーの
ような気がしてならない。
allcinemaなんかでは激賞だが、確かにディカプリオの演技は素晴らしいが、そこまで褒めるか
という感じもした。不思議な面白さを持ついい映画であることは確かではあるが。
なんか異常に自己犠牲精神の強い子供たち。太りすぎで子供たちに迷惑をかけていることは
十分理解していながら、ダイエットなり手術なりでやせようとしない母、不自然なところは
ある。だが、ギルバートを取り巻く友達や勤める雑貨屋の夫婦も、周りもいい人ばかり。
e0040938_181456.jpg

だが、監督ハルストレムは、ジョニデに壊れる寸前の役をやらせたり、閉塞している街に
ハンバーガーチェーン店を持って来たり、と何かの予感も与えることは抜かりがない。

つくづく不思議な(魅力を持った)映画だなあ。それにしても、こうした映画をさりげなく
やってしまうNHK-BSは油断ならない。
この映画の詳細は
こちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2009-09-02 23:40 | 洋画=か行 | Comments(0)