2009年 09月 07日
ゴスフォード・パーク Gosford Park
2001 アメリカ USA Films,137min.
監督・製作・原案:ロバート・アルトマン
出演:マギー・スミス、マイケル・ガンボン、クリスティン・スコット・トーマス、ヘレン・ミレンほか。
アルトマンの群像劇は好きで、「ショート・カッツ」「ザ・プレイヤー」「今宵フィッツジェラルド劇場で」は
私の中のベストに位置する作品たち。
そのアルトマンの、しかもオスカーの脚本賞を獲った作品ということで、観はじめました。ま、上映時間の
長いのは彼の作品の特徴なので初めから覚悟はしていたのですが、時代がやや下ることで同時代性
の共感を得にくいこともあったのでしょう、途中で何回も眠くなり、HDDを何回もリワインドし(映画観の
禁じ手)、やっとこさの思いで観きりました。
アルトマンの作品は元来軽いものではないのだが、この作品は更に重い。イギリスの貴族と使用人と
いう心理設定も更に重い。群像劇なので、人が多いのは仕方のないことなのだが、職業が皆、貴族と
使用人なので、区別がつきづらい。誰が誰なのか、たとえば使用人同志の会話で、ご主人の苗字で
話されても誰のことなのかイメージし辛い。などなどで、「勘弁してください、参りました」という感じで
観終わった次第。アルトマンの独特の会話の中でのアイロニーや、でもどこか暖かさのある感覚は味わ
えずじまいでした。
きっと私の見方が悪いんでしょうね。
後半に殺人事件が起きて、お、クリスティーのポアロ物のようになるのか、と思えばそうでもなく、確かに
ラストにびっくりする設定は用意されていて、「なあるほど、その手で来たか!」と思わされ、人間の
「上の階」「下の階」に代表される貴族と使用人の人間関係なんて、所詮そんなもんよ、と思わせる
ところはさすがにアルトマンの脚本だ!とは思うけど、前段が長いのでセリフを楽しむゆとりもなかった。
アルトマン作品群では、私的にはいささか好みのステージが下がる作品ではありました。でも、しっかり
ストーリーを追い、吟味し、人間性のアイロニーを観賞しきれる人には、ものすごくいい作品なのかも
しれません。イギリスという設定や時代背景も含めて。
『アカデミー賞脚本賞をはじめ、数々の映画賞を受賞し絶賛されたロバート・アルトマン監督作。
アルトマン監督お得意の群像劇で、イギリス上流社会をシニカルに描いたブラック・コメディ。
ベテランから若手までほとんどイギリス人の俳優を揃え、それぞれがホスト、ゲスト、メイド、従者などに
扮し複雑なアンサンブルを奏でる。
1932年11月、イギリス郊外。ウィリアム・マッコードル卿とシルヴィア夫人が主のゴスフォード・パーク
というカントリー・ハウスでパーティが催された。
貴賓が優雅に来場する“上の階”とは対照的に、メイドや従者たちは大忙し。そんな“下の階”では虚飾に
溢れたご主人たちのゴシップが乱れ飛ぶ。2日目の晩餐の席、客の一人であるアメリカ人映画プロデュー
サーが、この“鼻持ちならない”貴賓たちをネタにした最新作の構想を披露する。
それはカントリー・ハウスを舞台にした殺人事件。そしてその夜、実際にウィリアム卿が邸内で殺される
事件が発生する。』(allcinema)
この映画の詳細はこちらまで。
スコットランド英語は、イギリス英語やオーストラリア英語と異なり、「r」のスペルを発音する rhotic アクセントを用いています。その/r/の音は、イギリス英...... more