マイケル・コリンズ Michael Collins

「マイケル・コリンズ Michael Collins」
1996 アメリカ Geffen Pictures,Warner Bros.Pictures,133min.
監督・脚本・ニール・ジョーダン
出演:リーアム・ニーソン、エイダン・クイン、アラン・リックマン、ジュリア・ロバーツ、スティーヴン・レイ他
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<1996年度ヴェネチア国際映画祭金獅子賞、男優賞受賞作品>


現代・近代版「ブレイヴ・ハート」ってところでしょうか。アイルランド独立に生涯を捧げた彼の国の英雄
マイケル・コリンズ(<1890~1922>こういう人がいることをこの映画で知りました)の実話に基づく
映画。
主役のリーアム・ニーソンは「シンドラーのリスト」以来の実在の人物を描いた作品の主演を務めた。
それも相当に重い役だ。しかし、上記の賞を獲得しているように、見事な演技だと思う。

メル・ギブソンが監督して主演もし、オスカーも獲った「ブレイブ・ハート」は、13世紀、まさにアイルランド
とイングランドの長い長い戦いの始めのほうの、これも実在の人物を描いた作品。本作品の主役と
ブレイブ~の主役がダブる。ソフィー・マルソーとジュリア・ロバーツが役周りでダブる。ストーリーも
実話同志とはいえ、裏切りや女性を巡る話など、似ているところが多いのは、事実は小説より奇なり、と
いうことか。

それにしても、私が若いころ、テロといえば、北アイルランド紛争の主役IRAの専売のように聞こえてくる
ことが多かったような記憶がある。その北アイルランド分離の元を作った条約をめぐる原点がマイケル・
コリンズにあったとは驚いた。しかも彼はIRAの情報部長も経験していた。北アイルランドは今でこそ静か
だが、独立をめぐる火種が無くなっているわけではない。
あの狭い島国に、イングランド、スコットランド、ウェールズそしてアイルランドと4つの誇り高い歴史のある
地域・民族が存在しているわけだが、日本は同じ島国としてそんなでなくて本当に良かったと思うし、それ
だけに、この映画の訴えてくる民族紛争の悲劇が重くのしかかってくる。

長い映画だが、脚本もしっかりしていて、カメラワーク、美術、そして演技と演出、みんないい出来で
まとまっていた。なかなか見ごたえのある力作だと思った。リーアム・ニーソン、実際にいた人を演じる
のは本当に大変だろうが、エイダン・クイン、アラン・リックマンらの共演陣を得て、出色の演技を見せる。

民族間の紛争、支配される側とする側の骨肉の憎しみ、しかも何世紀も続いたそれは、日本人の想像を
はるかに超えているもので、本作の中で、マイケル・コリンズらの独立派が英国軍に対して行うテロの
激しさは、並大抵のものではない。マフィアの抗争と殺し殺される、というところだけ抽出すれば、
あまり変わりのない激烈さである。その様子が克明に描かれてもいる。ショッキングである。
マイケル・コリンズという人は、勇気はあるが粗暴な部分もあり、テロの中心人物で、テロリストに政治や
国民のための平和を言う資格があるのか、と思うほどの人物。
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しかし、彼は、英国政府から「殺し屋」と呼ばれるほどの武闘派であったが、いつまでも内戦のままでは
平和は少しも近くに来ない、とアイルランド革命軍を代表しロンドンへ赴き英国政府からの条件を受け入
れる条約を飲む。これが北アイルランド分離を生むことになる。アイルランド共和国の樹立を夢見て、
暫定政府を宣言し代表になっていた戦友のデ・ヴァレラ(リックマン)ら、妥協の産物である条約反対派と
対立、親友で戦友でもあったハリーとも対立していくようになる。

そんなコリンズは、リーダーを降りたいと盛んに口にするようになった。かつての仲間と戦うなんてとても
つらい、しかもハリーと争って手にした恋人キティ(ジュリア・ロバーツ)との結婚も考えていたからだ。
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アイルランド自由国として英国から認められたものの、妥協して底から真の共和国を築く一歩とし、
とにかく戦争を終わらせたいコリンズ一派と、アイルランド共和国の完全独立を譲らないデ・ヴァレラ一派
との対立は激化し、内戦を終わらせたいと思ったコリンズはデ・ヴァレラとコリンズの生まれ故郷で
会うことになったが、狂信的なデ・ヴァレラ派の青年らの待ち伏せに会い、撃たれて絶命してしまう。

平和の達成を観ることもなく、仲間の多くを失い、自らも30数歳で死んでいったマイケル・コリンズ。
彼の葬儀が行われたダブリンには50万のアイルランド人が集まったという。
彼の葬儀の様子は、実写フィルムが残っていて、エンディングはその葬送のシーンが使われている。
花嫁衣装を選んでいるところにコリンズの悲劇が飛び込んでくるが、その時のキティの悲しみたるや。
冒頭とエンディングが繋がっている、という手法は割と多く見られるが、本作でもキティの悲しみを上手く
使ってこの手法を生かしている。デ・ヴァレラを演じたアラン・リックマンは「ダイハードPart1」のワルの
イメージがどうも強くて、いい人には見えないので困る。ジュリアは好演だが、イギリスの女優を使った
方が、(たとえばこの時期に年齢は合わないが、ケイト・ウィンスレットのような女優)感じが出たかもしれ
ないな、などと思いながら観ていた。
この映画の詳細はこちらまで。
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by jazzyoba0083 | 2009-09-17 23:25 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)