ブロウ Blow

●「ブロウ Blow」
2001 アメリカ New Line Cinema,Apostle,Avery Pix,Spanky Pictures,124min.
監督:テッド・デミ   原作:ブルース・ポーター
出演:ジョニー・デップ、ペネロペ・クルス、ジョルディ・モリャ、フランカ・ポテンテ、レイ・リオッタ他
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タイトルの「Blow」とは、コカインの俗称であり、本作は、アメリカのドラッグ社会をマリファナから
コカインに変えた大物密売人ジョージ・ユングの実話をもとに作られた、犯罪者の映画である。
犯罪者の実録モノというのは、ラストの悲劇性故に映画になりえるものだと思うのだが、この映画も
その例にもれず、一度手に染めた密売からとうとう足を抜けずに一生を棒に振った男が描かれる。

ボストン・キングと呼ばれたジョージ・ユングは、暖房設備の小さい会社を営んでいた父と口うるさい
母の間で育てられ、長ずるに及び、幼いころからの親友だったトゥナと西海岸に暮らしの本拠を移し
当時ロサンゼルスのマリファナ密売のボスであったデレックに接触、マリファナ密売のルートを
築いた。そして二人はビーチを中心に売りまくり、一躍“顔”になっていった。
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彼らは東部へと進出し、ブツの運び屋を恋人のスチュワーデス、バーバラが担当した。大量のハッパ
が面白いほど売れていき、彼らの資金は潤沢になる。そうなると、二人はマリファナを栽培している
メキシコの農家と直接取引に乗り出す。小売では金は儲からない、と悟り、製造直販を目論んだ
のだった。

しかし、ジョージは、取引目的の麻薬負傷所持で、逮捕される。2年の刑を喰らうが、その間に最愛の
ガールフレンド、バーバラはガンで若くして亡くなってしまった。
ジョージは獄中でエスコバルという裏社会のボスと知り合い、これからはコカインの時代だ、と仲間に
誘われる。出獄後、コカインの密売に乗り出したジョージは、仮釈放の身のうえを無視してコロンビアに
飛び、コカの葉の栽培から精製までの過程を握り、これをセスナで密輸するという手法で、大量の
コカインを売りさばき、巨万の富を手にする。この金をノリエガ政権下の銀行にロンダリング目的で入金
する。6000万ドルになっていた。
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一方、コロンビアでマーサ(ペネロペ)と出会い恋に落ちて、結婚する。そして娘が産まれた。これを
きっかけに足を洗おうと決意するが、仲間の裏切りに会い、また逮捕される。保釈されたジョージは
コロンビアの銀行に預けてあった金を引き出しに行くが、政権が代わり銀行が国有化され、財産は
没収となってしまっていた。無一文になってしまった。それまでが派手な生活をしていた妻は貧乏生活に
なじまずまるで子供のころの自分の家庭を観るがごとくの荒れた生活に転落していったのだった。
両親の元を訪ねると、仮釈放の身で逃亡している息子を、母は警察に知らせ、また刑務所に逆もどり
したのだ。この間、彼はひたすら娘のことだけを思い、刑務所暮らしを耐え、やっと仮出獄したあと
別居状態の中で、学校の送り迎えのみ、娘と接触できるのだった。しかし、それだけでも彼は娘の顔を
観れることを喜んでいた。最終的にはまた娘と暮らしたいと切望していたのだ。

しかし、娘のことを思うと、今の暮らしを何とかしなくてはと悩み、はまともな職業に就く方法を知らない
ジョージはやはりコカインの取引きに、これが最後と手をつけるのだった。そして、かつての仲間であった
ロスのデレックに電話し、最後の最後と決めて、コカインの密輸に手を出すのだった。しかし、彼らは
FBIとDEAとぐるであり、ジョージは、またまた逮捕されてしまう。今度こそは懲役60年を喰らったのだ。
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そして刑務所。大きく成長した娘の姿が・・・。しかしそれは幻だったのだ…。自ら招いた不幸とはいえ、
自分は派手な時もあったが、こんな人生になってしまった・・と独白するのだった。

一人の犯罪者の半生を、テンポよく描き飽きることはない。ぺネロぺも汚れ役に挑戦、ジョージの転落
人生の中での重要なポジションを好演していたのではないか?ラジー賞候補になっちゃったけど。
冒頭のシーンとラストシーンを同じ時間軸で描き、その間の出来事を振り返る手法は、最近よく観る
ケース。判りやすいと言えば判りやすい手法だ。ジョニデは、まあまあかな。ファンには老け役はどう
写ったのだろうか。何があっても息子を受け入れるジョージの父の存在が、本人の生きる道への鏡
のような役割を果たしていて考えさせられた。ラストにジョージ・ユングの本物がワンカットだけ静止画で
出てくるが、不要だったと私は思う。必要ならネットでいくらでも本人は検索できるわけだから。

この作品を監督したテッド・デミは、2002年、37歳で亡くなってしまう。友人とバスケットボールをして
いて心臓まひになってしまったという。太りすぎだったんじゃないか?惜しい人物だった。
この作品の詳細はこちらまで。
Tracked from ☆彡映画鑑賞日記☆彡 at 2009-10-18 15:29
タイトル : ブロウ
 『夢を使い果たして、 男はアメリカを手に入れた−』  コチラの「ブロウ」は、1970年代にアメリカのドラッグ・マーケットに君臨した伝説のドラッグ・ディーラーのジョージ・ユングの半生の浮き沈みを実話をモトに描いた映画です。原作はブルース・ポーターの同名ドキ....... more
by jazzyoba0083 | 2009-10-17 22:55 | 洋画=は行 | Trackback(1) | Comments(0)