2009年 11月 30日
コッポラの胡蝶の夢 Youth Without Youth
2007 アメリカ・ドイツ・イギリス・フランス・ルーマニア American Zoetrope,124min.
監督・製作・脚本:フランシス・フォード・コッポラ 原作:ミルチャ・エリアーデ「若さなき若さ」
出演:ティム・ロス、アレクサンドラ・マリア・ララ、ブルーノ・ガンツ、アンドレ・M・ヘンニックほか。
<感想>
解るようで解らない、なんかもどかしい観終わった後の感覚。展開は面白いのだが、何せ語られている
内容が非常に哲学的というか、形而上的なものなので、何を感じればいいのかストレートに伝わら
ない。人生のウタカタか、人生五十年下天の内を比ぶれば夢幻のごとくなり、という思想か。どうか。
雷に打たれてから常に分身が付いて回るドミニク・マティとは? 生かすために別れたヴェロニカの
その後は?
そしてなぜドミニクはオードリクールとして死んでいったのか。難解である。輪廻転生のことか?
原作者のエリアーデはルーマニアの幻想文学者であり、偉大な宗教学者であった。原作自体が
非常に難解であるので、コッポラがこれを映像化した時は、よくぞ、と思った人もいたはずだ。
ティム・ロスは若き学者から100歳を超える老人まで、味のある演技で見せていた。加えてヴェロニカの
マリア・ララも時代にマッチして美しく、魅せた。
<ストーリー>
『1938年、ルーマニア。年老いた言語学者ドミニク・マテイは、最愛の女性ラウラと別れてまで人生の
全てを捧げてきた研究が未完に終わることを悟り絶望していた。
自殺を決意しブカレストの街を歩いていた彼は、突然発生した雷の直撃を受けてしまう。
やがて、病院のベッドで意識を取り戻すドミニク。即死してもおかしくないほどの全身やけどを負い
ながらも奇跡的に一命を取り留めていた。
その後彼は、主治医も驚くほどの驚異的な回復をみせたばかりか、肉体的に急速な若返りを始めた
のだ。さらに知的能力さえも大幅に向上していくドミニク。そんな自分に興味を示すであろうヒトラーの
手を逃れるため、スイスへと亡命するドミニクだったが…。』(allcinema)
ドミニク・マティ(ティム・ロス)が研究していたのは、「言語の起源」。かみなりに打たれてからというもの、
多言語を操れるようになり、手にする本は読む前に内容が解るほどの超能力を得ていた。
そんな彼が、道で行きあったラウラそっくりの女性ヴェロニカ。彼女も雨宿りをしていて雷にうたれ?
普通とは違う体になってしまった。
彼女は、時に憑依し、古代の言語、シュメール語、古代エジプト語、そして更に人間誕生のころの
聞いてもだれも解らないような言葉を発するようになった。それを録音して、研究を続けるドミニクだったが
二人は当然のように愛し合うようになるが、お互いが不幸(たぶん)な能力を付けてしまったことを
投げつつ、戦後、マルタ島に渡る。そこでヴェロニカは、いきなり老人のようになってしまう。
ドミニクは自分といることでヴェロニカは死んでしまう、と別れを嫌がる彼女を振り切って島を離れる。
そして数年後。ルーマニアに現れたドミニクは、かつてラウラや仲間の学者らと通い詰めたカフェに行く
と、かつての仲間がドミニクが戻ってきたと喜んでくれる。しかし実際は、そこには誰もいなかった。
老人は、口を押さえて雪が積もった外へと出ていったのだ。(口を押さえたのは歯がいっぺんに抜けた
から)そして、階段の下で、ナチスから逃げるために語っていた、オードリクールのパスポートを持った
100歳を超えた老人が死んでいたのだ。3つめのバラを手にして。
インドの賢者がヴェロニカ(古代人ルピニが憑依する)をこう言って起こすシーンがある。
形もなく/感情もなく/選ぶこともせず/何の意識もない/すべてが消え去る/はるか遠くに跡形なく/
それが悟りなり。
う~ん!難しかった。去年の8月に公開された映画だけど、全然評判を聞かなかったなあ。
この映画の詳細はこちらまで。
WOWOWで鑑賞―【story】1930年代、ルーマニア。70歳になった言語学者のドミニク(ティム・ロス)は、かつて愛した女性ラウラ(アレクサンドラ・マリア・ラーラ)を忘れられず、孤独な日々を送っていた。そんなある復活祭の日、ドミニクは落雷に打たれ、病院に搬送される。その後目覚めた彼は、なぜか肉体も頭脳も若返っていた― 監督 : フランシス・コッポラ 『ゴッドファーザー』3部作 『レインメーカー』【comment】不思議な映画だった―一体何を描き、何を言いたかったのか?―最後まで観たら全く分か...... more