デッドマン・ウォーキング Dead Man Walking

●「デッドマン・ウォーキング Dead Man Walking」
1995 アメリカ Havoc,Working Title Films,Polygram Filmed Entertaiment,123min.
監督・製作・脚本:ティム・ロビンス
出演:スーザン・サランドン、ショーン・ペン、ロバート・プロスキー、レイモンド・J・バリー他
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<1995年度 アカデミー賞主演女優賞 受賞作品>

<感想>
図らずも囚人ものを続けてみることになった。と言っても内容は全然異なるものだが。
こちらは、スーザン・サランドンがオスカーに輝き、ショーン・ペンはベルリン国際映画祭で
男優賞を獲得した。重い映画だったが面白かった。実話をもとにしているとはいえ、二人の
主役の演技にぐいぐいと引き込まれていくし、ティム・ロビンスの簡潔な構成は逆に強い
主張を以て迫ってくる。ところどころにハッと思わせる美しいカットがあったりする。

死刑囚の精神アドバイザーとなったシスター(スーザン・サランドン)と、彼女が見つめた
マシュー(ショーン・ペン)という殺人・強姦犯が死刑になるまでの濃い時間を、単なる
死刑反対・賛成という枠を超えて、人の生死とは何か、という深いテーマにまで迫り、
見る者をして、考えさせる。
身勝手な犯人に手を差し伸べることで、被害者はもとより、周囲から殺人者の味方か、と
嫌がらせを受けたりしながらも、ついに、マシューの心を愛で開くことに成功する。
世の中を恨み、背を向けて犯行に走った刺青だらけのマシュー。自分は無罪だ、と主張して
犯行への反省もしていない上に、ヒトラーやカストロを礼賛するインタビューをテレビの前で
平気でするようなやつ。シスター・ヘレン自身も「なんでこんなやつを・・・」とは思うの
だが、たとえ殺人犯人だとしても、殺してはならないと信じるヘレンは、彼の魂を開こうと
努力するのだった。上級審の判断も再審の道を閉じ、州知事の停止命令もダメとなり、
万事休すのマシュー。すると迫りくる死の中で、必死に自分に愛を以て近づいてくるヘレンに
心を許すようになり、神を受け入れ、愛の中で死をも受け入れる覚悟が出来たのだった。
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ラスト、マシューが死刑になるまでの数時間を描くシーンは、息をのむ展開と演技であり、
実に見応えがあった。アメリカならでは、のテーマだったろうし、キリスト教の存在が生活や
生死観に色濃く反映されるお国柄(シスターだからカソリック=旧教)故の作品だろう。
それゆえに、彼の国でのインパクトの方がはるかに大きかったに違いないとは想像に難くない。
最後にマシューが叫ぶ「人を殺すのは良くない。それが俺であれ、政府であれ、だれであれだ」
という言葉が胸に沁みた。それを言わすまで逆境にめげず彼の心に入り込んだヘレンこそ
勇気ある人、と言わねばならない。死刑を見届けた被害者の両親が、それを見たからと言って
決して彼らの魂もまた救われないとこの映画は主張していたように感じた。

<ストーリー>
「実際に死刑囚の精神アドヴァイザーを務めた修道女ヘレン・プレジャンの本に感銘を受け
映画化を熱望したS・サランドンがヘレン本人に扮した人間ドラマ。
監督・脚本はサランドンの夫でもあるティム・ロビンスが、監督デビュー作「ボブ★ロバーツ/
陰謀が生んだ英雄」に次いで手がけた。
 
 ルイジアナ州ニュー・オリンズ。“希望の家”で働くシスター・ヘレンは死刑囚マシューから
の手紙を受け取り、彼と接見する事になった。マシューは相棒と共に若いカップルを殺した罪で
州立刑務所に入れられているのだが、相棒が無期懲役なのに自分が死刑になる事に憤りを感じて
いる。ヘレンは特赦を得ようと弁護士の協力を仰ぐが嘆願は却下され、残るは州知事への直訴
だけとなった。犯罪者ではあるが、マシューの事を一人の人間として見ようとするために、
被害者の両親たちからは敵と見なされ非難を浴びるヘレン。しかし毎日、アドヴァイザーとして
マシューと会い話をしていく内に二人の心は繋がっていく。やがて処刑の日が訪れた。
結局、上訴審も受け入れられず、マシューは死にゆく運命にあった……。
 
 淡々とした語り口の中にも、死刑制度の是非を辛辣に問いかける力作。賛成か反対かの二者
択一しかないイデオロギーの相克には、居心地の悪さを感じないではいられないが、その事実を
突きつけるだけでもこの作品の存在理由はある。感情を抑えたサランドンの演技は圧倒的で、
これで念願のオスカーを獲得。対するS・ペンも静謐な芝居でこれをうまく受けている。」
(allcinema)
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by jazzyoba0083 | 2010-03-03 23:00 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)