2010年 04月 09日
裸足の伯爵夫人 The Barefoot Contessa
1954 アメリカ Figaro,United Artists,131min.
監督:ジョセフ・L・マンキウィッツ
出演:ハンフリー・ボガート、エヴァ・ガードナー、ロッサノ・ブラッツィ、エドモンド・
オブライエン、ヴァレンティナ・コルテーゼ、ベッシー・ラヴ他
<感想>
古き良き時代の豪華な映画だ。構成も良くできていて、何と言ってもエヴァ・ガードナーが
輝いている。う~ん!ハリウッド!という作品。1950のオスカー作品「イヴの総て」の
マンキウィッツらしく、ドラマチックな仕上がりになっている。若干強引なストーリー展開も
あるが、全体の出来をどうこうするものではない。
雨降る日、ある女性の葬儀に集まった人々。その中で、映画監督にして脚本家のハリー・ドーズ
(ボガート)が、静かに語り始める。そこに集まった男とその女性との関係を。
したがって縦軸に葬儀があり、横軸にマリア(ガードナー)と関わった男性との物語が展開され
それにハリーのナレーションがかぶるという仕立てだ。あの時代にしては(あの時代だからかも)
なかなか洒落ていると思った。雨が上がって晴れてきて葬儀が終わるところで映画も終わる。
オスカー助演男優賞を獲得したエドモンド・オブライエンはマリアをスカウトしに来てハリーに
映画を撮らせるプロデューサー役と務めたが、オスカーかなあ、という感じ。
結局、マドリードのダンサー、マリアはハリウッド女優になり結局は伯爵に殺されてしまうの
だが、幸せだったのだろうか。マリアの映画出資者にして大金持ちのエドワード、南米の
大金持ちフラヴィーノ、最後に登場する伯爵ファヴリーニらのエゴに振り回されたにすぎない
のではないか。マリアはマドリードで踊り子をしていたほうが、どのくらい幸せだったことか。
マリア自身もそれを良く解っていたのかもしれない。だから3本の映画で伯爵と結婚、幸せを
求めたのだ。だがその伯爵にしたところで、戦争の傷から子どもが出来ない体になってしまった
伯爵は、マリアの幸せをどのくらい考えたのだろうか。彼も辛かったろうに、結局姦通を
してしまったマリアを射殺する運命に落ちたのだ。
人生の深いところを考えさせるタイプの映画では無いが、マリアとその周りの男を描くことに
より一人の女性の幸せを、また彼女を通して人間の幸せを考えるドラマには仕立て上がっている。
<ストーリー>
「マンキウィッツ初のカラー作品は、J・カーディフのカメラ鮮やかな、重厚感のある大作。
一人のスター女優の悲運の生涯を、彼女を売り出した映画監督やプロデューサーの目から回想
する、語りのスタイルにマンキウィッツらしいうまさといやらしさが同居していた。
マドリッドのカフェで踊る裸足のダンサー、マリア(ガードナー)に目をつけた監督のハリー
(ボガート)は宣伝部長、プロデューサーを引き連れ、眼鏡に適った彼女をスカウト。
チネチッタ撮影所での新作に起用し、宣伝の効果もあり作品は大ヒット。
マリアはたちまち大スターとなる。妻殺しで起訴された父の法廷に立つという怖いもの知らずの
行動もプラスに評価され、彼女はまさに飛ぶ鳥を落とす勢いだった。
南米の富豪のヨットに遊び、リビエラへと赴いたマリアは、衝動的にジプシーの踊りの輪に
加わる(いきいきと舞うガードナーが素晴らしい)。これを見たファブリーニ伯爵(ブラッツィ)
は彼女に一目惚れし、早速週末のパーティのゲストに迎える。そして、求婚。かつての裸足の
ダンサーは伯爵夫人となるのだが、
夫は戦傷による性的不能で、初夜の夜、診断書を見せて詫びるのだった。が、妊娠をしたマリア。
苦悩する彼女を慰めようと伯爵家を訪れたハリーが夫の腕の中に見たものは、不貞を疑って彼に
撃たれた、再び息をすることのないマリアだった……。後半はかなり男性優位的な論理で
運ばれて興ざめだが、ガードナーの成熟した美しさの賜物で、中盤までは一気に見させられる。
プロデューサーを演じたオブライエンはアカデミー助演賞を受賞。」(allcinem)
上の開設でちょっと違うのは、マリアがハリーの元に、不貞を働き妊娠した、と告げに来たが、
帰る彼女を窓から観ると、伯爵のクルマがあとを追っていくのが見えた。不安を覚えたハリー
は、クルマで伯爵の家に急ぐ。すると銃声が2発。見渡すハリーの視界に息絶えたマリアを
抱いて歩いてきた伯爵の姿が。間男も殺してきた、という。(間男が誰かは判らないが、
映画の流れから推察すると、ヨットのパイロットじゃないかな)。
自分の愛を裏切ったマリアを殺した伯爵は自ら警察に電話し、連行されていった。
ラストシーンは葬儀に警官立ち会いで列席を許された伯爵が連行して去っていき、ハリーも
マリアの墓を後にした・・・。という具合なのです。
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