まぼろしの邪馬台国

●「まぼろしの邪馬台国」
2008 日本 東映、「まぼろしの邪馬台国」製作委員会(テレビ朝日系テレビ局)118分
監督:堤幸彦   原作:宮崎康平「新版まぼろしの邪馬台国」 脚本:大石静
出演:吉永小百合、竹中直人、窪塚洋介、風間トオル、平田満、江守徹、他
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<感想とストーリー>
原作になっている本が出版された当時の騒動は少々記憶に残っているが、その作者が島原
鉄道の社長だった人であったとは寡聞にして知らなかった。歴史が好きな私としては
ドキュメントとして面白く見た。どういうことで盲目になったか知らないが、ちゃんと社長を
努め、観光バスを導入し、島原を観光で発展させようとした実業家としての感覚も素晴らしい
人であったようだ。その島原鉄道が大雨による災害で、大被害に遭い、その土砂崩れ現場から
土器が出てきたことから社長の人生は大きく変わることになる。

もともと古代史が好きだった島原鉄道社長の宮崎康平は、福岡のNHKでインタビューを受ける。
そのアナウンサーこそ、のちの夫人となる和子(吉永)であった。今度会社で導入する観光
バスのバスガイドの先生として、和子に島原に来てほしいと要請する。和子は本来のアナウン
サーではなく劇団員出身で、リストラ候補だった。
そこで和子は島原に趣き、田舎の方言丸出しのねえチャンたちに標準語のガイドを熱心に
教える。同時に、嫁に逃げられた社長の二人の幼い子供になつかれ面倒も良く見た。
そして、康平に邪馬台国に関する多くの蔵書を見せられ、特に「魏志倭人伝」を読んでほしいと
頼まれる。もともと朗読のプロであった和子は、難しい古文をすらすらと読めるように勉強し
さらにそれを当時は高価だったテープレコーダーをNHKから払い下げてもらい、それに吹き込む
作業も手伝った。

バスガイドの先生の仕事も終わり、和子は福岡に帰ることになったが、康平は、妻として残って
欲しいと頼む。和子は破天荒な夢追い人であったが康平の人間性に打たれ、妻となることに。
その前に、康平は、趣味ばかり追いかけて業務を顧みない、ということで社長を解任されて
しまう。しかし有明銀行頭取(江守)が後ろ盾になり、面倒を見ていた。

康平の妻となった和子は二人で魏志倭人伝に書かれているとおり九州中を歩きまわり卑弥呼の
墓を探り、邪馬台国のありかを確認する作業を続けた。
和子は我儘な康平の言うことを良く聴き、彼の目となり趣味の域を超えた研究を支えた。

そしてその結果を後述でまとめた「まぼろしの邪馬台国」は第一回吉川英治賞を受賞したの
だった。康平は言う「卑弥呼なんて、もうどうでもいいんだ。こうして和子といろんな所を
歩いているのが嬉しいんだ」と。
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康平は研究中の屋外で倒れ、そのまま帰らぬ人となるが、息子の奔走で、前妻が籍を抜くこと
に同意し、他界する前に、和子は正妻となっていたのだった。葬儀の会場に前妻が駆けつけ
和子に子どもを育ててくれたことなどに感謝し、土下座して自分の非を詫びるのだった。

吉永小百合は、若くてきれいだが、「かあべえ」もそうだしこのところの日本の良き妻、母の
代表選手としての役柄しか回ってこなくなっちゃった感じだ。他の役もやらせてあげれば
いいと思うし、本人もラジオで悪女もやってみたい、と言っていた。しかし、この歳になり
イメージが固定されちゃうと、なかなか難しいだろうな。
竹中はこうしたエキセントリックなオジサンをやらせると上手い。おふざけと紙一重だけど、
寸止めになっている。大島ミチルの音楽が大層だ、という声もあるが、私はこの音楽が
効果的だったと思った。
堤演出は、事実をベースの物語を粛々と紡いでいくが、どうしても「フラガール」とかと
イメージがダブっちゃう。それと全体的にもう少し短い方が良かったのじゃないかな。
ほのぼの系のお好きな人にはまずまず満足できる作品ではないか。
この映画の詳細はこちらまで。
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Tracked from ローカルニュースの旅 at 2010-10-03 10:33
タイトル : 邪馬台国はどこ? 吉野ケ里公園で企画展
吉野ケ里歴史公園で、古代史最大の謎といわれる邪馬台国論争を考える企画展が始まった。九州説を支える吉野ケ里遺跡と、畿内(近畿)説を勢いづかせている奈良県桜井市の纒向遺跡の出土品を中心に展示する。11月28日まで。... more
by jazzyoba0083 | 2010-04-29 22:50 | 邦画・新作 | Trackback(1) | Comments(0)