2010年 07月 26日
アザー・マン-もう1人の男- The Other Man
2008 アメリカ・イギリス Gotham Productions,Rainmark Films,88min.
監督:リチャード・エアー 原作:ベルンハルト・シュリンク「逃げていく愛」
出演:リーアム・ニーソン、アントニオ・バンデラス、ローラ・リニー、ロモーラ・ガライ
<感想とストーリー>
掌編だが、なかなか面白く見た。日本劇場未公開。出演者も豪華だ。ただ、
途中でネタバレするのだが、なんだ、そういうことかと肩透かし感はある。
リーアム・ニーソンやローラ・リニーの演技は落ち着いていて安心できるし
なんといっても、アントニオ・バンデラスのうそつき男が哀愁を帯びていて
良かった。
会社のエグゼクティブとして働くピーター(ニーソン)には靴のデザイナーと
して売れているリサ(リニ-)という妻とすでに彼氏のいる娘がいる。
ある日、リサは仕事でミラノに行くといって、そのまま帰らなくなる。
「あなた、他の女を抱きたい、と思ったことある?」という謎の言葉を
残して。
(これでいったん観客はだまされるのだが)
残された妻のPCを見ていると「LOVE」と題されたファイルに知らない男と
写っている写真があり、中にはベッドで裸で写っているものもあった。
そしてメールも。妻の浮気に頭に血が上りピーターは会社の仕事もそっち
のけで、人物の特定に血道をあげる。会社のSEに頼んでログから人物を
割り出すという不法行為すれすれのことをやって、人物を特定した。
妻の残していった赤いハイヒールに入っていた「コモ湖」というメモも気に
なっていた。ピーターはその男の住むミラノに飛ぶ。彼は三つ揃いを着て
毎朝チェスバーにやってきた。取り立てて仕事をしえいる様には見えない。
ピーターは身分を隠してその男レイフ(バンデラス)とチェスをするように
なる。レイフは、ピーターに、自分には愛した女がいる。靴のデザイナー
でね、しばらく会ってないんだ、などと自分がいかに彼女を愛しているか
を語ったのだった。会社を休んで愛人探しをする父に娘も心配して
ミラノに来るが、ピーターは言うことを聞かない。
やがて、ピーターは、レイフが、マンションの管理人で、ほら吹きである
ことを突き止める。金持ちでもなんでもなかったのだ。
ピーターと話すときは階上の金持ちの家を黙って使っていた。
そこでピーターは、レイフをコモ湖畔のレストランにリサを語って呼び出した。
レイフは当然喜びいさんで駆けつけるが、レストランにいたのはピーター
だけ。ピーターはそこで真実を告げるのだった。
リサは自分の妻であること。彼女は数週間前にガンで死んでいることを。
愕然とするレイフ。自分はしがないマンションの管理人で、ほら吹きでと
告白、しかしリサへの愛は本物だったとも。
事件を知った当初、殺してやるといきまいていたピーターも、リサという
素晴らしい女性を愛した同士として、不思議な感情が芽生えるのだった。
そして友達を招いて開いたリサを偲ぶ会にレイフを呼び、彼もその場で
彼女への最大の賛辞を語ったのだった。
リサはレイフが貧乏なマンションの管理人とは知らず、素敵なスペイン人の
お金持ちで、心底愛してくれるアザー・マンとして死んでいったのだろう。
一方のレイフはお金はなかったけど、一生懸命工夫してリサを喜ばせて
いた。本当の旦那のピーターはどうだったのか?
レイフにリサは告白している。私には夫がいるの、愛しているわとも。
それでもレイフの愛は止まらなかったのだ。リサは二人を愛してしまった、
ということだ。
最初にも書いたが、当初は妻の失踪事件のように始まるので、途中から
実は物語が始まったときから妻は死んでいて、映像に出てくるリサは
過去の姿、ピーターの頭の中の映像だったわけだ。その辺が上手いと
感じるか、あざといと感じるかで、この映画の評価が別れそうだ。
映画の詳細はこちらまで
『妻のメールに隠された二重生活の謎─。』 コチラの「アザーマン もう一人の男」は、「愛を読むひと」の原作者ベルンハルト・シュリンクの初の短編集「逃げてゆく愛」の中に収められている「もう一人の男」を「アイリス」、「あるスキャンダルの覚え書き」のリチャード...... more