愛を読むひと The Reader

●「愛を読むひと The Reader」
2009 アメリカ、ドイツ The Weinstein Company,124min.
監督:スティーヴン・ダルドリー 原作:ベルンハルト・シュリンク「朗読者」
出演:ケイト・ウィンスレット、レイフ・ファインズ、デヴィッド・クロスほか。
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<2009年度アカデミー賞主演女優賞受賞作品>


<感想>
いい映画、面白い映画だった。物語としても良くできている。主人公ハンナ・シュミットの
心の動きがケイトの演技で良く伝わってきた。レイフ・ファインズは「イングリッシュ・
ペイシェント」などの作品でもそうだが、こういう役をやらせると上手いなあ。
時間が1995年と1966年あたりを行ったり来たりして、全体像を浮かび上がらせる手法だ。
その中で突然、ナチスとSSが出てくるので、ストーリーの持って行き方としても、
丁度中だるみのあたりで、驚愕の新事実が出てくるので、引っ張られて観てしまう。

しかし、ドイツの映画を英語でやるのには違和感を覚える。しかも役者はイギリス人だし。
特にナチがからんでいると、全編英語は、画竜点睛を欠くのではないか、と私は感じた。
冒頭から英語で会話が始まったので、何か英語を使う環境にある人たちの話しかと思った
くらいだ。


<ストーリー>
高校生のマイケル・バーグは、猩紅熱にかかり、街中で気持ちが悪くなり、ある女性に
介抱される。女性はハンナ・シュミット。一人暮らしで、電車の車掌をしている。
彼女は、彼を坊やと呼び、マイケルも彼女の優しさにほだされて身体の関係になる。
若いマイケルは同級生との遊びもそっちのけで、ハンナとの情事に溺れる。
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ハンナはマイケルから物語を話してもらって聴くことが好きで、ホメロスやチェーホフなど
難しい文学を呼んで聴かせてもらっていた。
しかし、ある日彼女はマイケルの前から姿を消してしまう。
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再びマイケルが彼女を観ることになったのは、ハイデルベルグ大学法科の学生となり、
ゼミの一環として見学に行った、裁判の被告席に座るハンナだった。

そこではユダヤ人の収容所の看守として働いた6人の女性の裁判が行われていて、ハンナも
ナチスSSに雇われて看守として働いていたのだ。
彼女らは結果としてアウシュビッツに送りこむ10人を毎日選定していたのだが、他の5人は
罪を逃れたいため、ハンナ一人が計画書を書いたと主張する。彼女が責任者だと。
収容所に当てていた教会が焼けて中に閉じ込めた300人を解放せずに焼死させたことも
責められた。
筆跡鑑定をすることになり、被告席で字を書くように言われたハンナは、字を書かずに
自分が責任者で命令書を書いたと認めた。これにより、彼女はほかの5人が懲役4年位で
済んだのに彼女だけは無期懲役となった。

マイケルは、実はハンナが読み書きできない人であることを知っていたが、それを証言すると
彼女に恥をかかせると思い、口をつぐんだ。このことを彼はずっと後悔していた。
そして彼はアウシュビッツにもいってみるのだった。

弁護士となったマイケルは、ハンナにいろんな物語をカセットに音読して刑務所にデッキと
ともに送った。
彼女は喜んで聴き、ついに、チェーホフの本を図書室に借りに行き、読み上げられた分の
なかからtheという単語をきっかけにして、読み書きを勉強するようになった。
そして、簡単な手紙を書けるようになり、マイケルに手紙を書けるようになったのだった。
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刑務所暮らしも20年経ったところで仮釈放が認められ、ハンナが社会に戻ることになったが
連絡が出来る人物がマイケルしかないため、彼の所に電話がかかってくる。
マイケルは、高校生の時以来彼女との面会を果たす。当然双方ともに歳を取っていた。
マイケルは知り合いに頼み、仕事も用意し、住まいも準備したと説明し、迎えに来るから
と言って去った。

釈放当日、花束を持って刑務所に向かうと、ハンナは、首を括って自殺していたのだった。
そして、貯めていた7000マルクを、教会の火事で生き残った娘さんに上げて欲しいと
遺書を残していた。マイケルには何も語っていなかった。
NYに行ったマイケルは、その娘に会い、事情を話すが、お金は受け取らないという。
マイケルは、読み書きできない人たちのための組織に寄付をすると、説明し理解を得る。

読み書きできないハンナは、別にユダヤ人が憎いから看守の仕事をしたわけではなく、単に
仕事があるからと言われてしただけで、選別もアウシュビッツでの出来事をしっていたわけ
ではなかったのだ。だが戦争後全てを知り、原罪として背負って生きてきたのだ。
マイケルの前から姿を消したのも、このまま自分と一緒にいても彼にとっていいことは
ないというハンナの原罪意識のなせるわざだったのだろう。
20年間刑務所で務め上げ、社会に復帰できる日に自殺をしたハンナ。なんのかんばせかあって
自分は社会で暮らせようか、と考えたのだろうか。自分の幸せは、高校生のマイケルとの
ひと夏で終わっていたと考えていたのだろうか。
彼女の人生が私たちに投げかけてくるものは重い。マイケルは、離婚後、娘をハンナの墓に
案内し、自分とハンナとの半生を話して聞かせるのだった・・・。

この映画の詳細はこちらまで。
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タイトル : 「愛を読むひと」の感想
原題: The Reader 原作: ベルンハルト・シュリンク著「朗読者」 監督: スティーヴン・ダルドリー 出演: ケイト・ウィンスレット/デヴィッド・クロス/レイフ・ファインズ他 データ: 米独合作/124分/2008年 1958年のドイツ。マイケルは学校からの帰宅途中に具合が悪くなったところをハンナに助けられた。 この時、マイケルは15歳、ハンナは36歳。これが二人の出会いとなった。 後日、お礼を言う為に、マイケルはハンナの家を訪れる。 そこでハンナの着替えを目撃し、マイケルは慌...... more
by jazzyoba0083 | 2010-08-21 19:30 | 洋画=あ行 | Trackback(2) | Comments(0)