チェンバー~凍った絆~ The Chamber

●「チェンバー~凍った絆~ The Chamber」
1996 アメリカ Unversal Pictures,Imagine Entertainment,113min.
監督:ジェームズ・フォーリー  原作:ジョン・グリシャム
出演:クリス・オドネル、ジーン・ハックマン、フェイ・ダナウェイ、ロバート・プロスキー他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
グリシャムの原作を映像化した。原作を読んだ覚えがある。死刑が刻々と迫る中、殺人犯で
ある祖父の処刑を止めるべく奔走する弁護士の孫。
そこに隠された、南部の一家の秘密と悲劇。黒人擁護派の弁護士を爆殺しようとして彼の
幼い男の子二人を殺してしまったサムだが、実は彼は実行犯ではない。誰かをかばって
共犯の存在を口にせず16年服役し、死刑を甘んじて受けようとしていた。

彼は昔、使用人の黒人をささいなことから射殺してしまった。そのことが原因で長男は
自分の子ども(弁護士になったアダム)が10歳になったとき、自殺してしまう。
その妹(フェイ)は、気の上から事件を目撃し、長じて酒浸りとなった。
弁護士になった長男の息子は、サムの事件には何か隠されたものがある、と当時の記録などを
掘り返す。検事出身の知事の秘書も密かに手伝う。孫が必死に死刑を回避しようとしている
のに、当人は粛々と死を受け入れる覚悟でいた。

孫は諦めず、ついに共犯者を突き止める。そして、サムも遂に心を動かし始める。
上訴に次ぐ上訴でなんとか恩赦を勝ち取ろうとするが、ことごとく却下されてしまう。
遂には、サムは自分には共犯がいたことを孫の前で認め、深く懺悔するのだが、時すでに
遅し。ガス室へ向かう時間が近づいていた。

ハッピーエンドではないので、観終わってスッキリと言うわけにはいかない。重~い澱の
ようなものが心に残る。それは、内省的な思いなので、気分が悪い、ということでは
無いのだが・・・。
若き弁護士を演じるクリス・オドネルも頑張っているが(こういう映画で若造役をやる
若手はホントに難しいと思う)、やはり、ハックマンの演技が図抜けている。
若くなくなってしまったフェイ・ダナウェイも、荒廃した南部の人種差別一家に生まれて
しまった女の不幸せを好演。なぜかラジー賞候補になっちゃったけど。
法廷で孫が力説する、祖父に罪は無い、こうした怪物を育てた南部の人種差別の風土こそ
糾弾されるべきだと。罪はないとは思わないが、クー・クラックス・クランとも深く
交流がある祖父の環境は、黒人、ユダヤ、同性愛者を激しく排除する差別主義者に自然と
育て上げられてしまうのだ。南部のどこかでは今でもこうした動きは根強くあるに違い無い。

<ストーリー>
1967年、ミシシッピー州。公民権運動家クレーマー氏の法律事務所が爆破され、幼い
息子二人が死亡した。警察はKKKの一員であるサム・ケイホール(ジーン・ハックマン)を拘束。
二度の無罪判決を経て、マキャリスター検事(デイヴィッド・マーシャル・グラント)が再度告発、
3度目の公判で死刑判決が下る。
そして30年後、ついに死刑執行日が確定したところに、若き弁護士アダム・ホール
(クリス・オドネル)が被告の代理人を買って出た。実の孫であるアダムは、サムの犯行が
白人の主権委員会の指示によるものであったこと、ローリー・ウェッジ(レイモンド・J・バリー)
という名のもう一人の実行犯がいたことを突きとめる。だが仲間をかばうサムは、
主権委員会の議事録の開示を求める書類にサインしない。死刑囚の娘であることを隠して
社交界の花形となっていた、アダムの伯母リー・ボーエン(フェイ・ダナウェイ)は、
素性を曝露され酒に溺れてゆく。

執行の日は刻一刻と近付く。しかしサムもいつかアダムの熱意に心を開き、過去の傷に
苦しむリーも父との和解を果たす。サムは死刑執行当日ついに書類にサインし、アダムは
上訴を求めて闇の中を疾走する。だが執行を支持する市民のシュプレヒコールと、
今は州知事となっているマキャリスターの「新たな証拠が発見されたが彼の罪は変わらない」
とする演説が響きわたる中で、サムは処刑室で白い泡を吹き死んでいった。すべてが終わり、
アダムとリーは「亡霊は去った」と抱き合うのだった。」(goo映画)

<プロダクションノート>
ガス室による死刑執行が28日後に迫った人種主義殺人者の生命を救うべく、その孫である
若き弁護士が奔走するサスペンス。「評決のとき」のジョン・グリシャムによる原作は、
発表前からすでにプロデューサーのジョン・デイヴィスが映画化権を獲得していた。
「身代金」のコンビ、ロン・ハワードとブライアン・グレイザーがともに製作に参加。
脚本は「明日に向って撃て!」(アカデミーオリジナル脚本賞)、「大統領の陰謀」(同脚色賞)の
ウィリアム・ゴールドマン。監督は「摩天楼を夢みて」のジェームズ・フォーリー。
撮影は「私に近い6人の他人」のイアン・ベイカー。美術は「ドラッグストア・カウボーイ」の
デイヴィッド・ブリスビンと、「ミ・ファミリア」のトレシー・タイナン。編集は
「ドライビング・ミス・デイジー」のマーク・ウーナー。主演は「バットマン&ロビン
Mr.フリーズの逆襲」のクリス・オドネル。「クリムゾン・タイド」のジーン・ハックマンと
「アリゾナ・ドリーム」のフェイ・ダナウェイは、「俺たちに明日はない」以来29年ぶりの
共演となる」(goo映画)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2010-12-02 23:10 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)