マイ・ライフ、マイ・ファミリー The Savages

●「マイ・ライフ、マイ・ファミリー The Savages」
2007 アメリカ Fox Searchlight Pictures, Lone Star Film Group, This Is That Pro.115min.
監督・脚本:タマラ・ジェンキンス <日本劇場未公開>
出演:ローラ・リニー、フィリップ・シーモア・ホフマン、フィリップ・ボスコ他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
評価は6,5というところかな。この手の映画は批判しづらいんで辛いところだが、
全体を覆う、身につまされる展開と暗さに、どちらかというとノー天気派、ドンパチ
歓迎派の私としては・・・。

これ、大向こうを唸らすような作品で無いので、ビデオスルーは仕方の
無いことだろうけど、映画としては骨太のしっかりしたよく出来た映画。特に名優
3人の掛け合い、表情、会話など家族の弱さ、陰影をしっかり力強く表現できていて、
感心した。

だからこの手の映画が好きな人は絶対に見逃す手はない、そういう映画だ。
ただ、私にはフィットしなかっただけの話。どちらかというとオヤジさんに近い歳に
なり実に身につまされる。そういう狙いもあっただろうし、最後に犬がリハビリをする
シーンは家族再生のメタファーとして、わかりやすい映像表現であったと思う。

邦題は仕方の無いことだとは思うが、原題は「サヴェージ家」ほどの意味で、基本、
家族の話。どこか人生や人間を信じきれない主役のローラ・リニーが最後にジョギング
するのだが、これに安楽死するはずだった、不倫相手の飼い犬が後ろ足に車輪をつけて
リハビリを一緒にしながら付いてくるシーンにすべてが収斂されていく。
いいシーンだと思う。

<ストーリー>
「認知症になってしまった疎遠の父親の面倒を見る羽目になった兄妹が、それまでの
親子関係を浮き彫りにしながら葛藤していく姿をリアリスティックに描いたファミリー・
ドラマ。
 
独身を謳歌する大学教授のジョンと(ホフマン)、契約社員に就きながら作家を目指して
いるウェンディ(リニー)のサヴェージ兄妹。ニューヨークでそれぞれ淡々とした日々を
送っていた彼らはある日、父のレニーが認知症との報せを受ける。
しかし、ジョンとウェンディは自分たちの経済状況や、かつて彼らに酷い仕打ちをし今や
他人同然である父の面倒を見ることに戸惑うばかり。だが、父の後妻も亡くなり、頼れる
身寄りがジョンとウェンディしかいないため、彼らは仕方なく面倒を引き受けるのだった。
父の最期を看取る役割を担ってしまい、悪戦苦闘するジョンとウェンディだが…。」
(allcinema)

上の説明だけだと映画の深みは伝わらないが、戯曲作家を目指しグッゲンハイム財団
などに補助を求めて作品を送りながら派遣社員として生活をしているウェンディ。
彼女は52歳の不倫相手がいる。お互い求めるものはセックスだけ。
彼女の兄ジョンは大学で演劇を教える教授。彼も東欧国籍の彼女がいるのだが、政治的な
理由で帰国させてしまう。
そんな兄妹の元に、アリゾナのサン・シティというところの施設から父親が認知症を発症
した、と連絡があった。彼の後妻も、マニキュアをしてもらっている最中に頓死してしまう。

東部からアリゾナにやってきた二人は父親を東部に移す。まず、リハビリセンターに入れる。
しかしそこよりも、設備のいい老人ホームに入れてやりたいとパンフレットなどを集める妹。
しかし、高額な入居費がかかる・・・。子供の頃、父は自分達にずいぶんとひどいことを
してきた。二人には、なんでそんな父の面倒を見なくちゃいけないのか、という気分が・・・。
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ダイナーで、父親相手に、延命措置は望むか、埋葬は土葬か、火葬かと聞くところなどは
誰もがしなければならないこととはいえども、場所と時期をわきまえられないのか、と
突っ込みたくなる。わがままな父親に振り回される二人。二人もそれぞれの苦しみを
背負って生きている。暮らしだってそう楽ではない。
おいていく父に自分達も老いていき、かつ伴侶のことも考えなくては行けない。
だれもが一度は通らなくてはいけない道を、この映画はオヤジと二人の兄妹の暮らしを
交えながら、気の効いた台詞をあちらこちらにまぶして進んでいく。
やがて、父は死を迎える。そしてその後の二人。自分の戯曲が兄の力で上演されることに
なった妹。不倫相手が愛犬を安楽死させようとしたが、彼女はそれを止め、手術を受けさせ
自分がリハビリをさせることにしたのだ。少し、二人の行く手に光が差し始めていた・・・・。

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2011-01-20 23:10 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)