ボウイー&キーチ Thieves Like Us

●「ボウイー&キーチ Thieves Like Us」」
1974  アメリカ United Artists,122min.
監督:ロバート・アルトマン
出演:キース・キャラダイン、シェリー・デュヴァル、ジョン・シャック、バート・レムゼン他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
群像劇を描くアルトマンが好きで、割と良く見ている監督ではある。人間の描き方は
アルトマンだなあ、という雰囲気。
'37年に発表されたE・アンダーソンの小説が原作の、つまり、ニコラス・レイにより
「夜の人々」として最初映画化された傑作のリメイクだそうだが、そちらを見ていないので
どちらかと言えばラストは「俺たちに明日はない」を想起させるものだった。

アルトマンにしては、割とストレートな物語展開で、彼らしく、時代考証や自動車、
衣装、小道具などは完ぺき、1930年代の様子を忠実に画にしている。しかし、
ヴィンテージカー同士をぶつけちゃうとは勿体ないなあ、と思ったり。
特に見るべきところはキーチの女性としての心の動き、だろう。取り立てて美人で
ないところがまた切ない。いつもコカコーラを飲んでいる、そんな雰囲気付けも効果的で
あったように感じる。そういえば若きフェイ・ダナウェイもいわゆるハリウッド美人
じゃあなかったなあ。如何にもニューシネマ風の顔立ちだ、と感じたものだ。
キース・キャラダインの主犯じゃないのに、大胆なことをするので、結局蜂の巣にされて
しまう生きざまが、考えさせられる。 

<ストーリー>
1930年のミシシッピー。不況を反映して街には失業者があふれ、世相は退廃していた。
刑務所暮らしに耐えられなくなった3人の男、ボウイ・バウァーズ(キース・キャラダイン)、
チカモウ(ジョン・シャック)、T・ダヴ(バート・レムゼン)がミシシッピーの刑務所から
脱獄した。
タクシーの運転手から車を奪い、森の中へ逃げ込んだものの捜査は厳しく、3人は再会の
場所を約束してバラバラに逃亡することにした。
ボウイは鉄道の下で一夜を明かし、翌日、チェカマウの親戚のガソリン・スタンドで
3人は落ち合った。再び自由の身となった男たちはさすがにその喜びを隠せず、
これからの銀行強盗の計画を嬉々として語り合った。

3人の荒くれ男たちの面倒は、この家の娘キーチ(シェリー・デュヴァル)がみてくれた。
やせて、うつろな眼をしていつもコーラばかり飲んでいる女の子だが、ボウイーは二言、
三言、言葉を交わしただけで心を惹かれるものを感じた。
数日後開始した銀行強盗は何なく成功し、3人は慎重を期して宿替えした。
今度の落ち着き先は、T・ダヴの弟の妻であるマティー(ルイーズ・フレッチャー)の
家だった。ここに移ってからも銀行強盗で大儲けする彼らは新聞で騒がれているのを
喜び合った。しかし活動拠点を一ヶ所に固定することがどんなに危険なことかを知って
いた3人は、今度は一旦トリオを解散し、再会の日を決めてそれまでは別行動をとる
ことにした。

ボウイとチカモウがそれぞれの行き先へ車を走らせている途中、ボウイは交通事故を起こし、
怪我をしてしまった。チカモウは最初に落ち合ったガソリン・スタンドにボウイを運び込み、
姿をくらました。ボウイは薄暗い物置小屋の片隅の薄汚いベッドの上に傷ついた身を横たえた。

翌朝、血まみれで眠っているボウイの顔を、キーチが自分のカーディガンを水に濡らして
そっと拭いた。このことがきっかけとなって2人はうちとけあい、その夜一夜を共にして
愛情を確かめ合った。数日後、2人は人眼を忍ぶように人里離れた山小屋に移った。
キーチは相変わらずコーラを飲み続けたが、生まれて初めて味わう幸福な家庭生活だった。

だが、ボウイは再び仕事に出かけなけれがならない。約束の場所のT・ダヴの家で、
彼は姪と一緒に生活していて幸福そうだったし、酒ぐせの悪いチカモウは例によって
ベロベロに酔っ払っていた。銀行強盗は何なく成功し、ボウイはキーチが待つ山小屋
へと向かったが、その途中車のラジオで、警官隊と撃ちあってT・ダヴが射殺され
チカモウが逮捕されたことを知った。
身の危険を感じたボウイはキーチを連れて山小屋を去り、マティーが経営している
モーテルへしばらく身を潜めるめることにした。そして妊娠しているキーチを残し、
ボウイはチカモウを助けるために収容所へと向かった。ボウイは大胆不敵な計画で
署長を人質にチカモウを助けだしたものの、興奮しきっているチカモウは署長を射殺し、
ボウイに当たりちらした。激怒したボウイはチカモウを車から降ろし、そのまま
キーチが待つモーテルへと向かった。だがそこには、マティーの通報を受けた十数人の
警官隊が待ち受け、ボウイがモーテルに入ると一斉射撃を開始した。
その轟音は一帯に響き渡り、家は今にも崩壊してしまいそうな凄まじさだった。
一瞬の出来事だった。キーチはそのとき、マティーの家でコーラを飲んでいたが、
ただただ唖然とし、ボウイの名前を叫ぶだけだった。」(goo映画)

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by jazzyoba0083 | 2011-01-25 22:55 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)