正義のゆくえ I.C.E特別捜査官 Crossing Over

●「正義のゆくえ  I.C.E特別捜査官 Crossing Over」
2009 アメリカ Weinstein Company, Kennedy/Marshall Company, 113min.
監督・脚本:ウェイン・クラマー
出演:ハリソン・フォード、レイ・リオッタ、アシュレイ・ジャッド、ジム・スタージェス他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
最近のハリソン・フォード作品は、少々、力不足の感が否めなかったので、
これも、まあせいぜい「デビル」くらいのものかな、と見始めた。
これ、意外といい。骨太の作品だ。アメリカのIMDbの評価が割と低いのは
彼らにとってあまりにも日常すぎるから、なのではないだろうか。

アメリカ人になる為に、この国の人々は200年以上も前から苦労してきたはずだ。
そもそも移民の国の「合衆国」であるわけだから。
しかし、9・11以降、それも厳しくなり、グリーンカードを求める人の数に比べ取得は
難しくなっているという。
この作品は、メキシコから、イラクから、イランから、韓国から、オーストラリアから
それぞれの事情で不法入国してきた個人や家族を群像的に描くことにより、
アメリカ市民になることの難しさ、排他性、不正などをそれぞれのパートの
エピソードで描いていく。ハリソン・フォードは移民局の捜査官なのだが、彼は
物語の狂言回しに過ぎない。それが逆に主題を浮き上がらせることに成功していた
といえよう。
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冒頭、アパレル工場で働く不法労働のメキシコ人女性を描く。これが縦軸。
彼女は、自分の子どもを預けている住所をマックス(ハリソン)に託す。
彼は結局、子どもを見つけ出し、自分のクルマでメキシコの祖父母の元に
届ける。 片や、捜査の相棒であるハミードは、イランからの移民で、
まもなく父親の市民権が認められようとしている。そんな一家で、お祝いの
パーティーが開かれる。そこに登場した妹。彼女はアメリカ生まれで
アメリカ市民なのだが、荒れた生活をし、不倫をしている。

オーストラリアから観光ビザで入ったアリスは、なんとか女優として成功したい
という夢を持っていたが、移民局の作業では難しそう。そこでたまたまクルマを
ぶつけてしまったグリーンカードの審査官に、俺がなんとか発行してやる、
と親切に持ちかける。だが彼の狙いは彼女の身体だった。
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その審査官の妻は弁護士で、教室で9・11のテロを理解できるといったことを
作文にしたばかりに、FBIに踏み込まれた女子高校生の不法滞在の両親とともに
強制帰国か、家族別れ別れの滞在かを迫られるイラク人一家の弁護を
引き受けることになる。彼女の妹と弟はアメリカ生まれなので市民権は
あるが、両親のどちらかが彼女を連れてイラクに自主退去すれば、
弟と妹とどちらかの両親はアメリカに残るようにする、つまり片親の滞米は
目をつぶるというのである。彼らが選択したのは、母が彼女を連れて
イラクに帰り、父が妹弟をアメリカで育てるという選択だった。

韓国人クリーニング屋の息子ヨン・キムもまもなく市民権が得られる状況だった。
しかし悪の仲間に誘われ、雑貨店に拳銃をもって強盗に行くことを誘われ
断れなくなる。

イラン人の一家。相棒の妹と不倫相手が射殺体で発見された。マックスが
操作していくと、彼女は不倫の最中、弟に踏み込まれ射殺されたのだった。
一族の名誉のため、不肖の娘は消すべきだ、という父の暗黙を得ていた。
その事実を知ったハミードは、酒で紛らそうとしバーからリカーショップに
立ち寄ると、そこにヨン・キムらの一団が来襲。金庫を開けろといい、主人を
射殺。ハミードは落ち着いて、4人を射殺、オーナーの妻に銃を突きつける
ヨンが、まもなく市民権を得る、と聞き、説教をして、見逃す。防犯カメラの
画像も抜き去った。オーナーの妻は犯人は5人で刑事が1人逃がし、防犯
カメラの映像も捨てた、と証言するのだが、そこで一部始終を聞いていた
アジア系の女性が「犯人は4人だったわ。彼は私たちの命の恩人よ」と
証言し、ハミードは難を逃れた。

一方、オーストラリアの俳優タマゴ、クレアは、判定官が警察の捜査を
受け、自宅から偽造のクレアのグリーンカードが見つかったことから
受け取ってはいないが、判定官と不適切な関係を結び、申請にウソの
ことを並べたことを指摘され、強制退去となった。

そして新たに米国市民となった人たちを集めた宣誓式の日、妹を射殺した
弟が逮捕された。ハミードに見逃してもらったヨンは涙を浮かべて
参加していた。
さらに空港。オーストラリアに帰るクレアの横を、家族別れ別れになって
イラクに帰る母と娘、それを悲しい表情で見送る父の姿があった。
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そしてサンディエゴのメキシコ国境。マックスが子どもをメキシコに
届けたあの最初に出てきた女性が他殺体で発見された。子どもを置いても
アメリカに出稼ぎに行かなくてはならなかった母が、悪徳越境業者の
餌食になったのだ。マックスは彼女を遺品を携えて、メキシコの実家に
向かったのだった・・・・。
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なかなか上手く複数のストーリーを交差させながら話が展開していくので
若干のイージーさはあるし、カットしたところがいいと思うシーンもあったが
全体的に面白く観た。移民の国、アメリカの1つの病理を
提示していたと思う。拾いものといったら失礼だが、いい映画だと思った。
日本ではあまり評判にならなかったな。アメリカでは日常茶飯事なのだ
ろう。
この映画の詳細はこちらまで。
Tracked from ☆彡映画鑑賞日記☆彡 at 2011-02-25 21:10
タイトル : 正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官
 『アメリカを守る正義か。 人々を救う正義か。』  コチラの「正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官」は、全米に1,100万人いると言われる不法滞在者問題を真摯に受け止め描いた9/19公開 ...... more
by jazzyoba0083 | 2011-02-24 23:10 | 洋画=さ行 | Trackback(1) | Comments(0)