2011年 05月 17日
配達されない三通の手紙
1979 日本 松竹 131分
監督:野村芳太郎 原作:エラリー・クイン「厄災の街」 脚本:新藤兼人
撮影:川又昂 音楽:芥川也寸志
出演:佐分利信、乙羽信子、小川真由美、栗原小巻、神埼愛、片岡孝夫、松坂慶子
蟇目良、竹下景子、渡瀬恒彦
<評価:★★★★★☆☆☆☆☆>
<感想>
萩が舞台とは言え、製作年より古い感じがした。監督も、撮影も、音楽も、キャストも
一流なんだけど、映画はそれに比して、今一つな感じだ。あのころの映画ってセリフ回しが
あんなに朴訥だったかなあ。佐分利信はさておくとしても。栗原小巻も、神埼愛も
演技の臭いがしてしまう。まあ、栗原小巻はこれに限らず全部演技の臭いがしちゃう女優
さんだと思うけど。松坂が若い女優陣の中では一番良かったかな。川又昂のズームもわざと
かなあ、無意味にぎこちない感じがする。
物語は、外国から来た蟇目と神埼が、にわか探偵になって進行させる。原作が原作だけに
そこそこの面白さはあるが、少々ごちゃごちゃして判りにくい点も。終わりはあっけない。
突っ込みどころも沢山あります。
<ストーリー>
ロバート・フジクラ、通称ボブ(蟇目良)と名乗る青年が、日本文化研究のため
アメリカから伯父、唐沢光政(佐分利)の住む山口県萩の町を訪ねた。
唐沢家は代々町の名家で、すみ江夫人(乙羽信子)との間に、麗子(小川)、紀子(栗原)、
恵子(神埼)の美しい三姉妹がいる。ボブは唐沢家の離れに住むことになった。
次女の紀子は父の銀行に勤める藤村(片岡孝夫)と結婚することになっていたが、藤村が
結婚寸前に失踪、三年間行方不明になり、その後、紀子は自室にこもり、魂のぬけたような
生活をしていた。
地方検事の峰岸(渡瀬)という婚約者がいる三女の恵子がボブの研究を手伝っている。
ある日、紀子の恋人、藤村が突然帰ってきた。家族は拒絶するが若い二人は抱き合い、
結婚することになり、紀子に笑いがもどった。
数日後、藤村の妹を名乗る、智子(松坂慶子)が萩の町にやってきた。しばらくして、
紀子は藤村の本の間にあった三通の封筒を見てハッとなった。
その姿を見ていたボプと恵子は、あとで、紀子の部屋に忍び込み、その手紙を見る。
それらは藤村の筆跡で、妹?智子に宛てられていた。八月十一日付の手紙は、彼の妻が
病気になった知らせ、八月二十日付の第二の手紙は妻の重態、九月一日付の第三の手紙は
妻の死を伝えていた。
第一の手紙の日、八月十一日がやってきた。唐沢家は恒例の土曜会が開かれ、その日、
藤村の注いだワインを飲んだ紀子は嘔吐する。第二の手紙の日、八月二十日、紀子の飲んだ
コーヒーに砒素が仕込まれており、彼女はそれに気づいて解毒剤を飲んだ。
ボブと恵子は第三の死の予告から紀子を救うことを誓う。九月一日、第三の手紙の日、
藤村の誕生日が催された。藤村の作ったウィスキーを紀子が飲もうとすると、酔った智子が
それを横取りして飲んでしまった。智子はその場で死んでしまう。警察がやってきて、
グラスから砒素が発見され、犯行は明らかに藤村の仕業と見なされた。三通の手紙も発見され、
藤村は逮捕される。
事件は解決されたかに見えたが、藤村の空白の三年間が判明して事件は意外な方向へ。
紀子は自分を棄てた三年間、智子と同棲していた藤本への復讐として、手紙通り毒を飲んで
藤本を殺人犯に仕立てようとしたのだ。しかし、それを偶然、実際は愛人であった智子が
飲んでしまったのだ。」
(goo映画・一部訂正)
ネタばれだが、この後、記者だと称する大川という女性(竹下景子)が登場する。
大川は藤川の大学の後輩であり、先輩がそんな事件を起こすわけはないと検事に迫るが、
証拠はない。実は彼女こそ、藤村の実の妹であり、北海道で智子と暮らしていた兄を追って
萩までやってきたのだ。
智子の死後、ボブと恵子は、北海道に飛び、藤村の3年間の生活を母から聞き出す。
藤村は愛人だった智子を捨てて萩に戻ってきたのだった・・・」
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