ずっとあなたを愛してる Il y a longtemps qui je t'aime

●「ずっとあなたを愛してる Il y a longtemps qui je t'aime」
2009 フランス UGC YM, Integral Film, France 3 Cinéma,117min.
監督・脚本:フィリップ・クローデル
出演:クリスティン・スコット・トーマス、エルザ・ジルベスタイン、セルジュ・アザナヴィシウスほか。
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
重く暗い映画だったが、エンディングのカタルシスも取られ、ストーリーと云い演出と云い、空の色と
云い、フランス映画というかヨーロッパ映画だなあ、と思わせられる作品。時間の流し方もいい。
主演のクリスティンが、にこりともしない心凍った釈放囚が、次第に人間性を取り戻し、感情を
表せるようになっていく演技が実に素晴らしいと思った。
妹の旦那が基本いい人なのと、養子にした妹のベトナム人娘の存在がキーになっている。
なんら期待したないで観はじめたけど、めっけものの作品だった。
ただ、オープニングで、主人公が15年の刑を終えて、成長してしまった妹と対面するシーンで
姉が刑務所帰りって表現されていたっけ? HDDを見返して見たら、空港で再開~家に行くクルマの中
~妹の家~夕食~寝室での妹夫婦の会話、ここで初めて「面会」と云う言葉が出てくる。
そして、次の日、妹が姉を警察に送っていくところの車中で、「月に1回、警察に出頭するの」という
ところで、「長い旅」が、刑務所暮らしで会ったことが判るのだ。
事前に解説で、「幼い我が子を殺め、15年の刑期を終えて帰って来た姉を迎える妹一家」という
情報が入っているから、そのあたりの面白さも、事前情報で殺しちゃっていたな。損した感じだ。

妹の一家と暮らす、口の聞けない旦那のお父さんの存在、出頭し続けていた警察でオリノコ川が
観る計画を話す刑事の自殺、認知症の母など、サイドにメインストーリーを揺るがすエピソードも
抜かりなく差し入れてある。作家の監督らしい。

<ストーリー>
「空港のカフェで15年の刑期を終えたジュリエット(クリスティン・スコット・トーマス)は、妹のレア
(エルザ・ジルベルスタイン)と再会する。嬉しそうにするレアだったが、ジュリエットは戸惑い気味だ。
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レアはナンシーに移り住んで10年、この地で大学に就職し結婚もした。ジュリエットが当時6歳の
息子に手を掛けて服役して以来、両親から姉の存在を忘れろと刷り込まれてきたレアは、
失われた年月を取り戻そうと決意していた。
ジュリエットはレアの家に身を寄せる。レアの夫リュック(セルジュ・アザナヴィシウス)、病気で
口が利けなくなったレアの義父、そしてベトナムから迎え入れた養女の8歳のプチ・リスこと
クレリス(リズ・セギュ-ル)と幼いアメリア(リリー=ローズ)がいた。
ジュリエットは、罪を犯した理由を裁判でも決して語らなかった。当時の夫は彼女の逮捕と同時に
離婚した。ジュリエットにいつまでも理由を聞かないことで、リュックはレアを責めるが、
屈託のないプチ・リスはジュリエットになついていった。

そんな中、就職先を探そうと病院の秘書の面接を受けたジュリエットは、面接担当の女性から
医師だった過去は伏せておくようにと伝えられる。自分がいない間、レアに忘れられていたと
思い込むジュリエットに、レアは箱にしまっていた日記を見せる。そこにはジュリエットの名と
いなくなってからの日数が記されていた。

リュックはジュリエットを信頼するようになり、娘たちの世話を頼む。ある日、ジュリエットとレアは
母親(クレール・ジョンストン)のいる施設を訪れる。認知症の為、レアのことも全く覚えていない
母だったが、ジュリエットを見るなり抱きしめ、「学校から帰ったの?」と語りかける。
病院の正式採用が決まったジュリエットは、ひとりで住む家を探し始める。一方、レアは
ジュリエットの部屋で古ぼけた幼い男の子の写真とメモを発見。そこにはジュリエットの秘密を解く
鍵が示されていた……。」

ネタばれですが、ジュリエットは、不治の病に冒された幼い息子、余命いくばくもない我が子を
これ以上苦しめたくないという母親の愛情から、医師であったため薬を投与して、逝かせたのだった。
裁判で、この経過は一切明かさず、自分に15年という刑期を罰として与えたのだった。
その苦しみは、彼女にしかもちろん判らない。が、それゆえ心を閉ざしていたジュリエットに妹や
その子どもたちの存在が、次第に笑顔と、本来の人間らしさを取り戻すきっかけを与えたのだった。
一人の女性の心を閉ざす経緯と、閉ざされた心が開かれていく経緯が、静かに語られる秀作である。

この映画の詳細はこちらまで。
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by jazzyoba0083 | 2011-07-25 23:10 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)