水のないプール A Pool without Water

●「水のないプール A Pool without Water」
1982 日本 東映セントラルフィルム 103分
監督:若松孝二
出演:内田裕也、MIE、中村れい子、藤田弓子、沙貴めぐみ、浅岡朱美、殿岡泰司
   安岡力也、常田富士男、赤塚不二夫、黒田征太郎、沢田研二、タモリ、原田芳雄
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<評価:★★★★★☆☆☆☆☆>
<感想>
「キャタピラー」に次いで連続の若松孝二監督作品。今から30年も前の作品。
物故者もたくさんでている。豪華キャスティングは内田裕也つながりか。
基本は内田、MIE、中村なんだけど。まだまだ若い若松監督の荒削りのパワーは
感じる。内田の狂気もいい。しかし、作品全体が何を言わんとしているのかが
判らない。下手をするとエロ映画になっちゃう。「人の狂気」を表現しているか?
どうということない映画だけど、何故か頭の中に残る不思議さを感じる。
ピンクレディーからまだ数年しか経ってないはずのMIEがこういう映画に出てたんだな。
脇が素人なんで、台詞回しが学芸会のようだ。そうそう、大学の映研が創ったような
感じだ。アングルの取りかたなんかは「キャタピラー」にも同じようなカットが
あることから、若松監督の癖というか好みなんだろう。

<ストーリー>
「クロロホルムを部屋にまき散らし、意識を失った若い娘を犯す男がいた。
現実に起って世間を騒がせた性犯罪にヒントを得て製作された。
脚本は「魔性の夏 四谷怪談より」の内田栄一、監督は「餌食」の若松孝二、
撮影は袴一喜がそれぞれ担当。

主人公の男(内田)は地下鉄の駅員。家に帰れば口やかましい女房(藤田)、
仕事は毎日喧噪の中で無気力になっていて何かを変えようとしながらうまく行かない。
勤め帰りに酒場に立ち寄り、酔っ払いとやくざ(安岡・沢田)の小ぜりあいにまき
込まれて右手を怪我し、駅前の噴水で血を流っているとき不思議な少女みくが
近寄って来た。みくは男を水のないプールへ連れて来て裸になる。
そのみくを置きざりにして、男はその足で数日前に暴漢から助けたじゅん(MIE)の
部屋へ忍び込もうとするが気付かれ、戸締りをするように注意して出てゆく。

夏休みのある日、男は息子の昆虫採集で使う注射器を見ていて、女を昆虫のように
薬で眠らせることを思いつく。男はわざわざ遠くの薬局から大量のクロロホルムを
手に入れ、侵入に必要な道具を買い揃えた。
男はまず、じゅんのアパートで実験してみる。窓の隙間から注射器でクロロホルムを
注入し、じゅんを眠らせた。この成功に味をしめて、かねてから目をつけていた
フルーツパーラの店員ねりか(中村)の部屋へ自分は昏倒しないように防塵マスクで
身を堅めてねりかを犯す。犯した後で男は朝食の用意や洗濯までしてねりかの部屋を出た。
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男はポラロイドカメラを買い、犯した女を撮っていた。その写真を同僚に見られ、
それをきっかけにして地下鉄をやめた。狂気のおもむくままに侵入と暴行をくり返し、
男は生き生きとしていた。ねりかはうす気味悪い思いをしていたが男を待つようになる。

ふと不安になり友だちに一緒に泊ってほしいと誘う。三人が寝ているねりかの部屋へ
男はやはりクロロホルムを注入して侵入して来たが、そこにあったシャボン玉を吹こうと
マスクをはずし、クロロホルムを吸って昏倒してしまう。
目覚めた一人が男に気付いて警察へとどける。男の夢は終わったかに見えた。
しかしねりかは告訴を取り下げ、男は再び水のないプールに立った。みくの吹く
シャボン玉はふわふわと上っていった。」(goo映画)

かようにシュールな作風だし、素人芸の集大成な感じだが、不思議なパワーを感じる作品。
この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2011-11-01 22:50 | 邦画・旧作 | Trackback | Comments(0)