瞳の奥の秘密 EL SECRETO DE SUS OJOS

●「瞳の奥の秘密 EL SECRETO DE SUS OJOS」
2009 スペイン・アルゼンチン 129min.
監督:ファン・ホセ・カンパネラ
出演:リカルド・ダリン、ソレダ・ビジャミル、パブロ・ラゴ、ハビエル・ゴディーノ、カルラ・ケベド他
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<2009年度アカデミー賞外国映画賞受賞作品>

<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
いい映画を見た。すでにオスカーも獲り、本国でも大ヒット映画であり、評価が定まった作品
なので、見る方も安心して観てはいたのだが。それにしてもいい映画だった。
出ている人を誰も知らない、会話もポルトガル語なので片事もも判らないのが、私には
映画にリアリティを与えてくれた。実際に起きた事件がベースになっているので脚色の
勝利であり、演出の勝利なんだろう。もちろん役者もいい。

私は、もっと別の結末を予想していたが、いい意味で見事に裏切られた。妻を殺された男の
愛情は、「異常」な形に歪んではしまったが、主人公に、貫く愛の尊さを教えてくれたのだった。
そこに単純だが力強いこの映画のメッセージがある。
やや長めの映画ではあるが、緊迫したストーリーは飽きることがない。よく締まった作品だった。
映像も、オーソドックスながら、これぞ「映画」という作り込み。
一つだけ個人的に気になったのは、犯人を追いつめる執念の持ち主だった主人公が、愛する
女性をみすみす他人に嫁がせることになった状況には、個性のありようとして疑念が湧いたの
だった。
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<プロダクションノート&ストーリー>
「2009年8月に本国アルゼンチンで公開され、歴史的な大ヒットを記録したという本作。
アルゼンチン・アカデミー賞では13部門で受賞を果たすとともに、第82回アカデミー賞
外国語映画賞を受賞した話題作だ。
アルゼンチンの名監督、フアン・ホセ・カンパネラが、70年代の祖国の情勢を背景に、
過去の記憶に支配され苦悩する男の姿を描くサスペンス・ドラマ。
主演のリカルド・ダリンはカンパネラ監督作の常連で、アルゼンチンの国民的俳優と言われている。
過去と現在を巧みに交差させ、一人の人間の罪と罰や祖国の軌跡を浮き彫りにする構成が巧みだ。
軍事政権下の不穏な空気に包まれるアルゼンチンの政情、そして衝撃的な秘密が暴かれる
ラストが興味深い。

刑事裁判所を定年退職したベンハミン・エスポシト(リカルド・ダリン)は、仕事も家族もない
孤独な時間と向き合っていた。残りの人生で、25年前の殺人事件を題材に小説を書こうと
決意し、久しぶりに当時の職場を訪ねる。
出迎えたのは、彼の元上司イレーネ・ヘイスティングス(ソレダ・ビジャミル)。変わらずに
美しく聡明な彼女は、今や検事に昇格し、2人の子供の母親となっていた。

彼が題材にした事件は1974年にブエノスアイレスで発生したもの。幸せな新婚生活を
送っていた銀行員リカルド・モラレス(パブロ・ラゴ)の妻で23歳の女性教師が、自宅で
暴行を受けて殺害されたのだ。現場に到着したベンハミンは、その無残な遺体に衝撃を
受ける。やがて、捜査線上に1人の男が容疑者として浮上。その男はリリアナの幼なじみ。

古い写真に写った、彼女を見つめる彼の瞳には暗い情熱が宿っていた。ベンハミンは
部下で友人のパブロ・サンドバル(ギレルモ・フランチェラ)と共に、その男の居場所を捜索。
だが、判事の指示を無視して強引な捜査を行ったことで、事件は未解決のまま葬られること
となってしまう。
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そして1年後。ベンハミンは駅で偶然、モラレスと再会。彼は毎日、曜日ごとに駅を変えて
容疑者が現れるのを待っていた。彼の深い愛情に心を揺さぶられたベンハミンは
“彼の瞳を見るべきだ。あれこそ真の愛だ”と、イレーネに捜査の再開を嘆願。
ベンハミンとパブロはようやく容疑者逮捕の糸口を掴み、事件の真相に辿り着くが……。
25年後、タイプライターを前に自分の人生を振り返るベンハミンに、イレーネの存在が
鮮やかに甦る。いまだ過去に生きる自分と決別するために、彼は事件の裏側に潜む謎と、
今も変わらぬイレーネへの想いに向き合うことを決意する。果たして、ベンハミンは失った
歳月を取り戻すことができるのだろうか……?」
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8万人からのサッカースタジアムで犯人が見つかる偶然には驚いたけど・・。
それと、犯人を逮捕しておいて、判事は、「犯罪組織への潜入者」として利用するために
釈放し、銃まで与えた。このことは、妻を殺されたモラレスの信念を固くしたに違いない。
「死刑は反対です。死ぬことで罪から解放されるなんて・・。犯人には長い間罪と向き合って
暮らして欲しいのです」 このモラレスの言葉がラストに繋がっていく・・・。

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2011-11-19 23:15 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)