2011年 12月 17日
ホワイトハンター・ブラックハート White Hunter Black Heart
1990 アメリカ Warner Bors.Pictures,Malpaso Productions,.112min.
監督・製作:クリント・イーストウッド
出演:クリント・イーストウッド、ジェフ・フェイヒー、ジョージ・ズンザ、アルン・アームストロング他
<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
イーストウッドファンとしては、中の上位の作品な感じ。プロデュースもした、ということは、
イーストウッドという人、頑固一徹の信念の男が好きなんだな。こういう人物を描く作品、
多い。自らが演じて描かれる、オスカー映画「アフリカの女王」を監督したジョン・ヒューストンの
映画や人生に関する一本通った哲学。脚本家ピートとの会話が、結構、味わい深いというか
教訓に富んでいて、なるほど、と思う。
映画は簡潔に、なんて下りは、原作にあるのだろうけど、イーストウッドの映画論と合致して
いるのだろう。 自分が希望してアフリカまで来て映画を作ろうとするわけだが、象を撃つことに
執心して、プロデューサーや脚本家をハラハラ、イライラさせる。
どうしても、クランクインの前に象を撃ちたい、とこだわったのは、象が何かのメタファーだった
のだろうことは判るのだが、結局、眼前の象を、彼は撃つことは出来なかった。
ここは何をいいたかったのかな。
直情径行にして破滅型と思われていたジョンが、実は何かから決別したかったその覚悟を
象を撃つことに求めていたのだろうか。 何か、とは何か。
ピートがこの世の気高い生き物、象を撃つのは犯罪だ、と迫るのに対し、「いや犯罪どころか
罪だ。だから象を撃つのだ。何故か判るか、判るまい、私にも判らんのだ」と意味不明に
なってしまう。
そう、ジョンにとって象を撃つことは何を象徴していたのだろうか。
アフリカの女王は観たけど、その裏にこんなドラマがあったのか、と思い、興味深かった。
カメラワーク、編集も宜しいのではないか。
<ストーリー>
「映画「アフリカの女王」とその監督ジョン・ヒューストンをモデルに、“象狩り”に憑かれた
映画監督を描いたイーストウッドの力作。
1950年代、黄金期のハリウッド。多くの負債を抱えながらも、自分の気に入った作品しか
撮らない映画監督ジョン・ウィルソン。新作の撮影のために、若き脚本家ピート・ヴェリルと
共にアフリカへと旅立つが、ウィルソンの本当の目的は野生の象を狩ることにあった。
現地人ガイドを案内に早々と象撃ちを始めるウィルソンに、脚本を進めることが出来ない
ヴェリルは苛立ちを隠せない。やがて脚本が完成しないまま、現地にはプロデューサーの
ランダースをはじめ多くのスタッフや俳優たちがやって来るが、ウィルソンは撮影を
放棄してしまう…。
映画は、天才肌の監督のわがままさや気骨のある行状を、美しく捉えたアフリカの自然を
背景にエピソードで追うだけで、そこに明確なテーマも派手な見せ場も持ち込まないが、
それでいて忘れ難い魅力を放ち続けている。
多分にそれは役者としてのイーストウッドの魅力が大きいのだろうが、それは、淡々として
力強い演出で作品を支えた監督イーストウッドがあればこそである。
ラストの数分間はそのイーストウッドの二つの顔が最大限に効果を発揮した名シーンとなった。
「アフリカの女王」の脚本家ピーター・ヴィアテルの原作をヴィアテルとジェームズ・ブリッジス
(「チャイナ・シンドローム」の監督)とバート・ケネディ(「夕陽に立つ保安官」などの娯楽西部劇
監督)が共同で脚色したのも興味深い」(allcinema)
「ハリウッド黄金時代の1950年代。カリスマ的な映画監督、ジョン・ウィルソン(クリント・
イーストウッド)。彼の撮るべき映画はプロデューサーとも観客とも関わりなく彼の胸の内に
しか存在しない。
プロデューサー、ランダース(ジョージ・ズンザ)と衝突を繰り返しながらも巨額の負債を抱える
ウィルソンだが、現在頭にあるのはアフリカで牙象を撃つことだけだった。
脚本家ピート・ヴェリル(ジョフ・フェイ)と共にストーリーを考え、ついに念願のアフリカ・ロケに
旅立つ。しかしウィルソンにとって映画はあくまで手段、脚本も殆んど進まぬまま現地人の
ガイド、ライサー(エドワード・チューダー・ポール)を案内に象撃ちに行ってしまい、夜ホテルでは
人種差別主義の支配人を相手に喧嘩を演じてみせる。
そんなウィルソンを友人として心配するヴェリルは、ウィルソンの行動を逐一報告するユニット・
マネージャー、ロックハート(アラン・アームストロング)にスパイは止めろと警告するのだった。
しかしついに脚本も完成しないままキャスト、そしてランダースが到着。
その頃既にかなり強迫神経的になっていたウィルソンは予算をかけたロケ・セットを放棄、
奥地で皆を待ち構えていた。
業を煮やしたランダースの命令によってどうしても撮影を開始しなければならないという日に
突然の大雨。ウィルソンはすぐさまトラックに飛び乗り象狩りにゆき、ヴェリルも後を追う。
そしてそこで彼らは本物の牙象を目の当たりにする。が、子を守ろうと猛り狂う母象の牙に
刺され現地ガイドのキヴが死ぬ。突然の出来事にショックを受けたウィルソンはふらつくように
現場に戻り、撮影開始を告げる。スター女優のケイ・ギブソン(マリサ・ベレンソン)が立ち、
カメラが廻り始める。ウィルソンはうめくように声を発する。「アクション」と。」(goo映画)
現代は「白人のハンター、悪魔の心」と、現地のアフリカ人が白人たちを指して言う言葉。
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