シリアスマン A Serious Man

●「シリアスマン A Serious Man」
2009 アメリカ Focus Features,Studio Canal,Rerativity Media,106min.
監督・製作:ジョエル&イーサン・コーエン
出演:マイケル・スタールバーグ、リチャード・カインド、フレッド・メラメッドほか。

<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
コーエン兄弟のテーマである「不条理」な「不幸」が「ユダヤ社会」で
繰り広げられる。冒頭の昔話(ロシア語)でびっくりするが、それが
何の「メタファー」であったのかは、未だに判らない。
主人公の日常は、小さい不幸を内在して進んでいて、それが2週間に吹き出てくる。
そして、ラストの絶望的な医師からの一言・・・。
例によって、「観客打ちゃり型」のコーエン兄弟らしい終わり方だ。何が言いたいのか
ユダヤ教に根ざした何かがあるのかは、判らない。でも面白かった。それが
コーエン兄弟の作品なんだな。
「真面目すぎるほど真面目な主人公」にこんな不幸の嵐と結末があっていいのか、神は
どこにいるのか?といいたくなるだろう。
冒頭から現代への変換シーンでヘブライ語の教室でラジオを聞いている主人公の長男。
流れいるのはジェファーソン・エアプレイン「あなただけを」なのだが、これが
キーになっている。

<ストーリ>
『ノーカントリー』でアカデミー賞作品賞に輝いたコーエン兄弟の新作は、
次から次へと災難に見舞われる平凡な男の姿をシニカルに描いたブラック・コメディ。
アメリカ中西部のユダヤ人コミュニティーの中で、大学教授の男の身のまわりに起こる
不条理な小事件の数々が、コーエン流のシュールなユーモアで語られるのが最大の魅力だ。

“部外者”には時に滑稽に思えるユダヤ人たちの習慣も興味深い。主演のマイケル・
スタールバーグを始めとする出演陣は、みな馴染みのない顔ばかり。
しかしながら、ミネソタ州出身のコーエン兄弟の自伝的要素が込められていることが
想像できる本作こそ、彼らの渾身の一作と言えるかもしれない。

1967年。アメリカ中西部郊外の住宅地にマイホームを構えるラリー(マイケル・
スタールバーグ)は、地元の大学で物理学を教える平凡で真面目な中年のユダヤ人。
だが彼の家族はそれぞれ秘密や問題を抱えていた。ラリーの兄アーサーは無職で無気力、
居候中のラリーの家から出て行く気配が全くない。
ラリーの娘サラは、鼻の美容整形を密かに目論んでおり、息子ダニーは、乱暴者の
同級生にマリファナ代金を支払えず、ぼこぼこに殴られるのではないかと脅えている。

そんな中、ラリーが落第点をつけたアジア系学生が不満を表明、現金入りの封筒を
ワイロとして研究室に置いていく。帰宅すると、妻ジュディス(サリ・レニック)が
別れ話を切り出し、離縁状を書いてほしいと告げてくる。
既に彼女は再婚を考えており、しかも相手はラリーの友人サイだという。

さらに大学にはラリーを誹謗中傷する匿名の投書が届いていることも発覚。
ジュディス、サイとの初めての三者会談では、家を出て行ってくれと言われて唖然とし、
アーサーと共にモーテル暮らしをするはめになる。ワイロ学生の父親からは、
名誉毀損で訴えてやると抗議を受け、ラリーは地元コミュニティーの指導者である
ラビに助言を請うことにした。しかし応対した若い下位ラビは、珍妙な“神の存在の
感じ方”を力説するばかりでさっぱりピンと来ない。

ダニーからの電話を受けて自宅に戻ると、ジュディスが号泣しており、何とサイが
交通事故で死亡したのだという。住宅ローン、モーテルの宿泊代金、弁護士への相談料、
故障した車の修理代に加え、サイの葬式費用まで負担することになったラリー。
苦悩深まるラリーの唯一の慰めは、不気味なまでにセクシーでミステリアスな隣人、
サムスキー夫人から勧められたマリファナによるトリップ体験だった。だがそんな
ラリーにさらなる巨大な不運が襲いかかる……。」

雪だるま式に膨らんでいく他人の不幸を笑ってはいけないが、身につまされるブラックな
笑いが浮かび上がってくるのだ。
この映画の詳細はこちらまで。
Tracked from LOVE Cinemas.. at 2012-01-17 22:42
タイトル : シリアスマン/A Serious Man
『ノーカントリー』のジョエル、イーサン・コーエン監督作品。本作で2010年アカデミー賞作品賞に、そして本年も『トゥルー・グリッド』でと2年連続ノミネートされている。平凡な大学教授に次々と降りかかるトラブルをシニカルな目線で描いた異色のコメディドラマだ。主演は『ワールド・オブ・ライズ』などに出演しているマイケル・スタールバーグ。... more
by jazzyoba0083 | 2011-12-13 22:55 | 洋画=さ行 | Trackback(1) | Comments(0)