キッズ・オールライト The Kids Are All Right

●「キッズ・オールライト The Kids Are All Right」
2011 アメリカ Focus Features,Gilbert Films ,.108min.
監督:リサ・チョロデンコ
出演:ジュリアン・ムーア、アネット・ベニング、ミア・ワシコウスカ、マーク・ラファロ、
    ジョシュ・ハッチャーソン、ヤヤ・ダコスタ他
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<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想>
面白く、いい映画だった。「体温」を感じるような作品、とでもいえるのだろうか。
極めて特殊な家庭を描いているのだが、そこに、「家庭」「親子」の愛情とは何だろう、
という問いが投げかけられている。

映画のような家庭じゃなくても、「結婚生活」とか「家族」という単位は、非常に
壊れやすく、繊細な面と、壊れにくく、がっしりしたところがある、という事が画面から
伝わってきて、引き込まれていった。監督はレズビアンだそうだが、なるほど、そうでなければ
描けないな、と思わせる表現やセリフはあるが、それでなくても良く出来た脚本と演出
であると思う。またアネットやジュリアン、そしてマーク・ラファロなど配役もいい。
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過激なセックスシーンがそこそこ出てくるのでR15+になっているのはしょうがないが、
若い人にも見てもらいたい作品だ。二人の子供たちがちゃんとしているのも、下手に
グレた風に描かなくて正解だったんじゃないか。

若い頃はずいぶんと美人だったアネットとジュリアン、お歳相応の美貌には、容貌とは
反比例した演技が光っている。特に、彼の家に全員で食事に行った時、バスルームで
排水口にジュリアンの髪の毛を見つけてしまい、ジュリアンと彼ができていることを
確信した時の顔の表情の変化は、怖いくらいに見事だった。

オスカーの候補になったが無冠におわったものの、ゴールデングローブでは作品と女優賞
(二人)を獲っている。万人向け、とは言えないが、いい映画ではある。

<ストーリー>
「充実した脚本と演出、実力派の俳優たちによる的確なキャラクター表現、それらが見事に
ブレンドされた本作は、まさに大人の鑑賞にピッタリの作品だ。
“2人の母親”という家庭で育った姉と弟。姉は大学進学を機に、まもなく家から巣立つ。
弟も親と友人の狭間で、自分を見つけていこうとする年頃。そんな2人が、精子提供者で
ある父親に会う事により、“家族とは何か”を考えていく。
2人の母親たちもまた、自分たちの元を離れようとする子どもたちの存在をきっかけに、
現在の関係を見つめ直していく。家族が一度は直面する普遍的な話を、“血のつながった
他人の出現”という少しひねった設定で、まず私たちをひきつける。
登場人物はみな、ありきたりではない深みのあるキャラクターで、共感を呼ぶに違いない。」
(goo映画)
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「ニック(アネット)とジュールス(ジュリアン)はレズビアンのカップル。結婚している2人には
18歳になる娘ジョニと15歳の息子レイザーがおり、郊外の一軒家で仲良く暮らしていた。
そんな中、年頃のレイザーは、母親たちに精子を提供した“父親”の存在が気になり始める。
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そして、母親たちが喜ばないと尻込みするジョニをたきつけて、2人で父親捜しを始めることに。
するとやがて、人気レストランのオーナーを務めるポール(ラファロ)という男性が生物学上の
父親であることが判明する。気ままな独身生活を送る気さくなポールにすんなりと打ち解けて
ゆくジョニとレイザー。一方、子どもたちがポールと会っていることを知ったニックとジュールスは、
事態を穏便に終息させようと、ポールを食事会に招くことにするのだが…。」(allcinema)
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実は微妙なバランスの上に成り立っていた、レズビアンの家庭。その割には二人の子供たちは
ちゃんと育っていた。なぜ、同一人物の精子で二人が子供を持とうとしたのか、語られはしないが、
兄弟、とは父親は一人であるのが普通であるわけで、レズビアンでもそれなりの考えはちゃんと
あるわけだ。そこに現れたポールという男性。彼も、ある日突然昔に提供した精子から生まれた
子供から電話がかかってくるとは思っていなかっただろうが、彼は「微妙なバランス」の中の
家庭に入り込み、ジュールと男女のカンケイになってしまう。それを知った時の父親役である
ニックの悲しみ、落胆、そして子供たちの幻滅。家族がバラバラになり始めてくる。
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ポールとて、悪気があってしたことではないだろうが、家族を持ちたいという気持ちから
ジュールに近づいたことの過ちを悟り、別れることにする。それはジュールも同じ思いで
あった。ニックも、母親役のジュールを母親として縛りすぎていたことが、ポールの出現で
わかったわけだし。
それにしても、二人の子供たちが、レズビアンの両親?をきちんと理解しているのが
嬉しいというかほっとするというか、アメリカではそういうものか、というか・・・。
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映画から「体温」を感じつつ「家族(家庭)」「結婚」などを考えさせられた佳作である。

この映画の詳細はこちらまで。
Tracked from LOVE Cinemas.. at 2012-07-01 00:28
タイトル : キッズ・オールライト/The Kids Are All ..
両親は母二人?!レズビアンの母二人と姉弟というちょっと変わった4人家族を描いたヒューマンドラマ。主演は『愛する人』のアネット・ベニングと『シェルター』のジュリアン・ムーア。アネットは本作で2010年のアカデミー賞主演男優賞にノミネート、作品自体も作品賞をはじめ4部門にノミネートされた。共演にマーク・ラファロ、ミア・ワシコウスカ。監督はリサ・チョロデンコが務める。... more
by jazzyoba0083 | 2012-06-30 22:50 | 洋画=か行 | Trackback(1) | Comments(0)