2012年 06月 30日
キッズ・オールライト The Kids Are All Right
2011 アメリカ Focus Features,Gilbert Films ,.108min.
監督:リサ・チョロデンコ
出演:ジュリアン・ムーア、アネット・ベニング、ミア・ワシコウスカ、マーク・ラファロ、
ジョシュ・ハッチャーソン、ヤヤ・ダコスタ他
<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想>
面白く、いい映画だった。「体温」を感じるような作品、とでもいえるのだろうか。
極めて特殊な家庭を描いているのだが、そこに、「家庭」「親子」の愛情とは何だろう、
という問いが投げかけられている。
映画のような家庭じゃなくても、「結婚生活」とか「家族」という単位は、非常に
壊れやすく、繊細な面と、壊れにくく、がっしりしたところがある、という事が画面から
伝わってきて、引き込まれていった。監督はレズビアンだそうだが、なるほど、そうでなければ
描けないな、と思わせる表現やセリフはあるが、それでなくても良く出来た脚本と演出
であると思う。またアネットやジュリアン、そしてマーク・ラファロなど配役もいい。
過激なセックスシーンがそこそこ出てくるのでR15+になっているのはしょうがないが、
若い人にも見てもらいたい作品だ。二人の子供たちがちゃんとしているのも、下手に
グレた風に描かなくて正解だったんじゃないか。
若い頃はずいぶんと美人だったアネットとジュリアン、お歳相応の美貌には、容貌とは
反比例した演技が光っている。特に、彼の家に全員で食事に行った時、バスルームで
排水口にジュリアンの髪の毛を見つけてしまい、ジュリアンと彼ができていることを
確信した時の顔の表情の変化は、怖いくらいに見事だった。
オスカーの候補になったが無冠におわったものの、ゴールデングローブでは作品と女優賞
(二人)を獲っている。万人向け、とは言えないが、いい映画ではある。
<ストーリー>
「充実した脚本と演出、実力派の俳優たちによる的確なキャラクター表現、それらが見事に
ブレンドされた本作は、まさに大人の鑑賞にピッタリの作品だ。
“2人の母親”という家庭で育った姉と弟。姉は大学進学を機に、まもなく家から巣立つ。
弟も親と友人の狭間で、自分を見つけていこうとする年頃。そんな2人が、精子提供者で
ある父親に会う事により、“家族とは何か”を考えていく。
2人の母親たちもまた、自分たちの元を離れようとする子どもたちの存在をきっかけに、
現在の関係を見つめ直していく。家族が一度は直面する普遍的な話を、“血のつながった
他人の出現”という少しひねった設定で、まず私たちをひきつける。
登場人物はみな、ありきたりではない深みのあるキャラクターで、共感を呼ぶに違いない。」
(goo映画)
「ニック(アネット)とジュールス(ジュリアン)はレズビアンのカップル。結婚している2人には
18歳になる娘ジョニと15歳の息子レイザーがおり、郊外の一軒家で仲良く暮らしていた。
そんな中、年頃のレイザーは、母親たちに精子を提供した“父親”の存在が気になり始める。
そして、母親たちが喜ばないと尻込みするジョニをたきつけて、2人で父親捜しを始めることに。
するとやがて、人気レストランのオーナーを務めるポール(ラファロ)という男性が生物学上の
父親であることが判明する。気ままな独身生活を送る気さくなポールにすんなりと打ち解けて
ゆくジョニとレイザー。一方、子どもたちがポールと会っていることを知ったニックとジュールスは、
事態を穏便に終息させようと、ポールを食事会に招くことにするのだが…。」(allcinema)
実は微妙なバランスの上に成り立っていた、レズビアンの家庭。その割には二人の子供たちは
ちゃんと育っていた。なぜ、同一人物の精子で二人が子供を持とうとしたのか、語られはしないが、
兄弟、とは父親は一人であるのが普通であるわけで、レズビアンでもそれなりの考えはちゃんと
あるわけだ。そこに現れたポールという男性。彼も、ある日突然昔に提供した精子から生まれた
子供から電話がかかってくるとは思っていなかっただろうが、彼は「微妙なバランス」の中の
家庭に入り込み、ジュールと男女のカンケイになってしまう。それを知った時の父親役である
ニックの悲しみ、落胆、そして子供たちの幻滅。家族がバラバラになり始めてくる。
ポールとて、悪気があってしたことではないだろうが、家族を持ちたいという気持ちから
ジュールに近づいたことの過ちを悟り、別れることにする。それはジュールも同じ思いで
あった。ニックも、母親役のジュールを母親として縛りすぎていたことが、ポールの出現で
わかったわけだし。
それにしても、二人の子供たちが、レズビアンの両親?をきちんと理解しているのが
嬉しいというかほっとするというか、アメリカではそういうものか、というか・・・。
映画から「体温」を感じつつ「家族(家庭)」「結婚」などを考えさせられた佳作である。
この映画の詳細はこちらまで。
両親は母二人?!レズビアンの母二人と姉弟というちょっと変わった4人家族を描いたヒューマンドラマ。主演は『愛する人』のアネット・ベニングと『シェルター』のジュリアン・ムーア。アネットは本作で2010年のアカデミー賞主演男優賞にノミネート、作品自体も作品賞をはじめ4部門にノミネートされた。共演にマーク・ラファロ、ミア・ワシコウスカ。監督はリサ・チョロデンコが務める。... more