フロム・ヘル From Hell

●「フロム・ヘル From Hell」
2001 アメリカ 20th Century Fox,Underworld Pictures,.124min.
監督:アルバート&アレン・ヒューズ
出演:ジョニー・デップ、ヘザー・グレアム、イアン・ホルム、ジェイソン・フレミング他。
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
1888年にロンドンを震撼させた「切り裂きジャック」を新解釈で描いたもの。
ジョニー・デップでなければ観ていなかったかもしれない。
「切り裂きジャック」は誰か、という未解決事件の解釈を、当時のヴィクトリア
女王の孫(ご落胤)と、今なお謎に包まれている「フリーメイソン」を絡めて展開する、
というのは面白かった。原作となったのは1999に発表されたアラン・ムーアの
グラッフィック・ノベル(マンガ)。

スプラッタだからグロい映像が嫌いな人は気分が悪くなるのでやめた方がいいかも。
ジョジデには「スィーニー・トッド」というやはりロンドンを舞台にした殺人
床屋の話があり、タッチは全然違うが、近世ロンドンを舞台にしたダークな
猟奇的映画が好きなんだろうかね。健康的な映画より、似合うことは確かだけれど。

ロンドンというと特に産業革命の真っ盛りだった世紀末あたりは、青空が無く
暗く湿っぽいイメージ。ティピカルな描き方だが、本作での描き方はそれなりに
ちゃんと決まっていた。そして映画がラストに近くなると明るくなる。
それもまた演出の一部なんだろう。
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ジョニデも最後にはアヘン吸引中に死んでしまうし、本作で犯人とされた女王の
侍医も、口を塞ぐフリーメイソンに、ロボトミー手術を施されて廃人となって
しまう。唯一、姿を隠すことに成功したジョニデの愛した娼婦は、ジャックに
殺された仲間の娼婦とご落胤の間にできた女の子と、海辺の村でひっそりと
暮らすことができた。これを守るため、ジョニデは彼女を愛していたにも
係らず、一緒に逃げなかったのだ。彼が逃げれば行先はかならず、フリーメイソン
に突き止められ、彼女は殺されてしまうからだ。
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結局本作での「切り裂きジャック」は、売春婦を買うことが大好きだった
ヴィクトリア女王の孫の王子(実在しない)が、売春婦に致死的梅毒を
うつされたことに怒った王室の侍医ウィリアム・ガル卿と設定されている。
彼は、売春婦に復讐をしたものであったのだ。
だが彼とて、全容を隠したいフリーメイソン(ジョニデの上司もメンバー)は
ガル卿にロボトミー手術を施して廃人としてしまうのだった。

最後に残ったメアリ・ケリーをジョニデ演じるアバーライン警部は愛して
しまうのだが、ガル卿亡きあとでもフリーメイソンは彼女の行方を探し出して
殺す、と見て彼女の生まれ故郷に逃がす。そして自分はロンドンから動かなかった。
それが彼女を救う唯一の方法だと信じたからだ。
ちなみに実際の事件ではメアリ・ケリーは最後に一番残虐な方法で殺されている。

<ストーリー>
「1888年のロンドン。2年前に妻子をなくし、アヘンでその苦しみから逃避して
いるアバーライン警部(ジョニー・デップ)は、娼婦の連続殺人事件を担当する。
聞き込みを続ける中、赤毛の美しい娼婦メアリ(ヘザー・グラハム)に惹かれ、
やがて二人は愛と信頼を育むようになった。
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そしてアバーラインは、上流階級の人々が密かに参加している秘密結社
フリーメイソンの黒い影を嗅ぎ付ける。しかし娼婦は切り裂きジャックと名乗る
謎の犯人に次々と殺されていき、残されたのはもうメアリだけ。
そんな中ついに、切り裂きジャックは王室の主治医でアバーラインの手助けをしていた
はずのウィリアム卿(イアン・ホルム)だと判明する。彼は王子が梅毒にかかった
復讐として、地元の娼婦を処刑していたのだ。彼はメアリをねらう。
しかしメアリは田舎に帰っており、実際に殺されたのは別の女性だった。
だがそれに気づかず、すべての処刑を終えたとされたウィリアム卿は、
フリーメイソンの仲間たちにロボトミー手術を施され、廃人となるのだった。」
(goo映画)

「カッコーの巣の上で」で映画上で初めて見たロボトミー手術って方法は稚拙だけど
こんな昔からやっていたのだな。上で「切り裂きジャック」を名乗る、と書いて
あるけど、彼が自分からそう名乗ったのではなく、当時の新聞や市民が
「Jack The Ripper」と呼んだのだ。ジャックは男の名前の典型として使われている
のであり、犯人がジャックではない。デカダンスなジョニデ好きなファンのための
映画、と言えるだろう。

この映画の
こちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2012-08-07 23:30 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)