地下室のメロディー La Melodie en Sous-sol

●「地下室のメロディー La Melodie en Sous-sol」
1963 フランス Cite Films,CCM,CIPRA,.121min.
監督:アンリ・ヴェルヌイユ
出演:ジャン・ギャバン、アラン・ドロン、ヴィヴィアーヌ・ロマンス、モーリス・ビロー他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
私が小学校5年生の時の映画なんだなあ。でもカッコいいなあ。古さを感じさせるのは
致し方ないとしても、フィルムノワールのクラッシック、エバーグリーンとして
殿堂入りの貫録がある。フィルムノワールにしてはいささか軽い感じが否めないし、
突っ込みどころもそこかしこに見られるが、それも含めて良い時代の良い映画、では
ある。オープニングのミシェル・マーニュのジャズに早々にノックダウン。敢えて
モノクロにした画像、ミラーショットを活かした画作り、トレーシングペーパーの
スケッチに現実の映像をオーバーラップする演出などなど、洒落ている。
またクルマ好きには、当時のシトロエンDSなどが細いタイヤでパリ北駅あたりを
走っている光景や、ニースの海岸を疾走するドロンの小さいアルファロメオ・
ジュリエッタなどは、まさに眼福である。
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ジャン・ギャバンとアラン・ドロンという往年のフランスを代表する2大スターの
共演は先に「暗黒街の二人」を観ているが、映画のタッチとしてはこちらの方が
数倍好きだな。全く趣を異にするエンディングだが、プールに浮かぶ札束の、
コミカルだが絶望的な「やっちまった感」が好きだ。

冒頭、5年の刑期を終えて我が家に帰るジャン・ギャバンが、久しぶりのパリの
変わりようを嘆くが(まるでニューヨークだ、などと)パリは変わらないものと
思っていた私には、今から50年も前に、そんな感慨を持つほど、郊外の変容は
凄まじかったのだろう、と驚きだった。今はどうなっているのだろうか。

本作はハードボイルドではなく、どこかコメディチックな味わいがあり、ラストに
向かってそれが加速する。白眉はエンディングのシークエンス。
見事カジノから大金をせしめたギャバンとドロン。海岸の更衣室に隠してあった
バッグ二つをドロンがホテルのプールサイドに持ってくる。ギャバンはプールの
対面に座る。
そこは警官がうじゃうじゃ。更に金庫室で二人に襲われたオーナーらの一行が
捜査担当の警部と共にあっちに行ったりこっちに来たり。そしてドロンの前で
強盗らが持って行ったバッグの特徴について語るのだ。
目の前のドロンの両脇には、そのバッグがあるというのに・・・。

焦ったドロンは、何をトチ狂ったか、バッグをプールに沈める。普通に持っていれば
似ているかもしれないただのバッグなのに、プールに入れた瞬間に不審なバッグに
なってしまう。更にどうやって濡れて重くなったバッグを引き上げるつもりだったのだ
ろうか。やがて、プールに1枚、2枚とお札が浮いてくる。最後にはプール一面に
お札の花が咲いたように・・・・。諦めてその場をさるドロン。呆然とするギャバン。
(サングラスしているので表情は分からないが、心の中では、相方に何をバカなことを
しているのだ!と怒鳴っているのに違いない)

指摘している人もいるが、監督の頭の中には、プール一面に広がったお札の光景が先に
あり、そのエンディングにどうやって持っていこうかと考えたのではないか。
だから、これまで大きなミスもなく大金を盗めたドロンが、最後の最後にかばんを
プールに沈めるなんていう愚行を犯した風にせざるをえなかったのではないか、などと
思ってしまう。だって、更衣室から大金が入った大型手提げバッグをプールサイドに
放り投げて、這い上がってくるドロン、そんなに札束入りのバッグが軽いわけがない。
それに沈めたバッグ、ジッパーで閉めてあるに違いないのに、なぜ札束が外に浮いて
でるかな、という突っ込みを感じてしまうのだ。

ストーリーは単純で、強盗の仕掛けも単純なので、人物相関関係などに悩むことなく
鑑賞できる。ただ、ギャバンが妻と最後の一仕事で大金を得て、富豪となり、
オーストラリアのキャンベラに行くのだ、と夢を語っていたが、なんでキャンベラなのか
良くわからない。

ま、突っ込んだところでこの映画の全体の出来の良さというか、持つ雰囲気の良さが
損なわれるわけではないのだけれど。

<プロダクションノート&ストーリー>
「監督はギャバンとベルモンドを組ませた「冬の猿」や「野獣は放たれた」の
アンリ・ヴェルヌイユ。主演者には「ギャンブルの王様」のジャン・ギャバンと
「太陽はひとりぼっち」のアラン・ドロン。またギャバンの女房に「地の果てを行く」
「我等の仲間」でギャバンと名コンビをうたわれたヴィヴィアーヌ・ロマンス。
カジノの踊り子でドロンの手管にかかって利用される女ブリジットに
「地下鉄のザジ」のグラマー、カルラ・マルリエ、ドロンの義兄ルイに
モーリス・ビローが扮している。
撮影には「ヘッドライト」のルイ・パージュ、ファンキィなモダンジャズの
フィーリングをきかせた音楽は「戦士の休息」のミシェル・マーニュ、
そしてシナリオは「殺人鬼に罠をかけろ」のミシェル・オーディアール、
これにヴェルヌイユと「現金に手を出すな」の原作者で、暗黒街のスラングの権威
アルベール・シモナンが参加している。
(キネマ旬報 全映画作品データベースより抜粋)

五年の刑を終って娑婆に出た老ギャングのシャルル(ジャン・ギャバン)は足を
洗ってくれと縋る妻ジャネット(ヴィヴィアーヌ・ロマンス)をふりすてて、
昔の仲間マリオを訪ねた。マリオはある計画をうち明けた。
カンヌのパルム・ビーチにあるカジノの賭金をごっそり頂こうという大仕事だ。
相棒が必要なので刑務所で目をつけていたフランシス(アラン・ドロン)と
彼の義兄ルイを仲間に入れた。
賭金がどのように金庫に運ばれるのかをたしかめると、シャルルは現場での仕事の
段取りをつけた。各自の役割がきまった。
決行の夜、フランシスは空気穴を通ってエレベーターの屋根にかじりついた。
金勘定に気をとられている会計係とカジノの支配人の前に飛びおりた覆面の
フランシスの手にマシンガンがあった。彼は会計係から、鍵を奪ってシャルルを
表から入れた。札束を鞄に詰めると、シャルルとフランシスは、ルイの運転する
ロールス・ロイスを飛ばした。金は借りた脱衣所にかくした。警察が乗り出した
ころ、シャルルとフランシスは何食わぬ顔で別なホテルに納まっていた。
完全犯罪は成功したのだ。
しかし朝食をとりながら、眺めていた新聞のある記事と写真が一瞬シャルルの眼を
釘づけにした。無表情な彼の顔に、かすかな動揺が起った。」(goo映画)

仲間に引き込まれたドロンが、ホテルとカジノの常連になり怪しまれないように
する一方、踊り子の一人を誑し込んで、カジノの天井裏に出られるルートを
見付けておく、という一連の動きが加味されている。そこにはドロンと踊り子の
恋の行方みたいなサイドストーリーが映画に味を付けている。

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<カラーも見てみたいな>

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by jazzyoba0083 | 2012-08-13 22:50 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)