2012年 08月 15日
グランド・コントロール/乱気流 Ground Control
1998 アメリカ Green Communications.97min.
監督:リチャード・ハワード
出演:キファー・サザーランド、ケリー・マクギリス、ロバート・ショーン・レナード他
<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想とストーリー>
ジョン・キューザック「狂っちゃいないぜ(Pushing Tin:1999)」など航空管制官を
描いた映画は複数あるが、タイプは似ている、というかそういう風にしか描けない
のであろう。本作ではキーファー・サザーランドがシカゴ・オヘア空港の管制官として
登場。切れ者管制官であったが、1機墜落させてしまう。調査の結果は彼の誤誘導では
ないとされたが、自分の管制が確かであれば、という自責の念は付きまとったし、
周囲も彼の失敗と見る目もあった。5年後、彼はコンピュータゲーム制作で成功し、
管制の世界から足を洗っていた。しかし、かつての盟友から応援を頼まれ現場に
復帰するのだが・・・
という展開。大晦日の夜に一晩だけ手を貸してくれ、と頼まれ、未練を断ち切れない
彼ジャック・ハリス(サザーランド)は、フェニックス管制塔に赴く。
そこには自信過剰な青年、有能な中国系?、パニックを起こしている中年男、
そして配属されたばかりの女性新人など問題も抱えた管制官たちが、チーフが
昇進目当てに請け負った50便の追加コントロールに必死だった。
施設はオンボロで、何とコンピュータを制御している電源に真空管が使われ、
停電が頻繁に起きるという状態。そんな中で最初は伝票を配る役目を受けていた
ジャックだが、新人が混乱する事態を見かねて管制に手を出してしまう。
これで、かつてとった杵柄が錆びてないことを確信したジャックは、次々と
離着陸を捌いていく。しかし、やはり過去のフラッシュバックが襲う。
そうした中、すべての便を捌き切った、と思ったところ、トランスガルフの便が
電源喪失で無線もレーダーも操舵も出来なくなったと携帯電話で報告してきた。
初めは自信一杯の青年が扱ったが、機を砂漠に不時着させようとしていたところ
ジャックが、エンジンを左右交互に噴射していけば、空港に誘導することが
出来る、とアドバイス。燃料の残りと噴射の秒数を計算しながら誘導を始めたが
パニックになってしまい、ジャックが担当することに。
あと少しというところで、機影がレーダーから消えてしまった。墜落と決め込む
周囲に、自分の計算が間違うはずがないと信じたジャックは管制塔の外に出て
空を見上げる。その時、低く垂れこめた雲の中からトランスガルフの機体が
見えたのだ。自分の位置を知らせる機械が故障して連絡が取れなくなっていたの
だった。 無事に着陸した便の機長に会いに行くジャックだった。
老機長は迎えにきた妻と抱き合い、ジャックと目線を合わせると笑顔になり
去って言った。トラブル機を管制しきったジャックはまた自信を取り戻して
いたのだった。
物語としては纏まってはいたが、山場はエンディング近くにあって、全体として
薄味な印象はぬぐえない。レーダーがしょっちゅう落ちるような管制塔があっては
困ってしまうな。アメリカの空にはのべ1日20万の航空機が飛んでいると
言われるが、確かに彼らのストレスは映画にしたくなるような強いものだろう。
彼らの技量に離着陸がかかっていると思うと、怖いやら。今はもう少しハイテク化
されていると思うけど。そうした管制官の悩みの一部は垣間見られるけど、
話が細切れなので、97分なので致し方ないとはいえ、喰いたらなさは否めない。
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