虚栄のかがり火 The Bonfire of the Vanities

●「虚栄のかがり火 The Bonfire of the Vanities」
1990 アメリカ Warner Bros. Pictrues,.125min.
監督・製作:ブライアン・デ・パルマ
出演:トム・ハンクス、ブルース・ウィリス、メラニー・グリフィス、モーガン・フリーマン、キム・キャトラル他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
優れたB級映画監督として、愛してやまないブライアン・デ・パルマだが、本作は内外の
評価が悪い。私はビデオ化された20年位前に一度見ており、久しぶりにそんなにひどいのか
再見した次第。
結果、やはり一般的な評価はほぼ正しいと思った。キャスティングは一流、音楽はデイヴ・
グルーシンだし、なんだけど評価は覆らない。
原作はベストセラー小説らしいが、ブラックに徹しれば良かったものを、最後の
モーガン・フリーマン判事の大演説で、ダメを押してしまった。
うがった見方をすれば、さような説教を垂れる判事もまた嘘を見抜けぬ俗物ということになるのか。
パーティで説教臭いセリフを吐く、ノーベル賞候補でエイズ患者の詩人の先生も
ウザかった。「俗物図鑑」とでも言うべき映画であり、描く社会は面白いのになあ。
タイトルもかっこいいしなあ。つくづく残念。

すなわち映画のテーマは、「世の中、右も左も俗物だらけ」ということなんだけど、冒頭出てくる
ブルース・ウィリス演じる小説家(元・新聞記者)が、もう少しのところで目覚めるのか、と思わせて
おいて、彼もまた「すべてを得て、魂を失った」一人に過ぎないと描かれる。
ウォール街の凄腕ディーラーにして「宇宙の支配者」たるトム・ハンクスの転落がメインに描かれる
のだが、彼の無罪を立証したのは「ウソ」であるし、人生を間違えた、と一瞬思うのだが、さて、
本当のところはどうなのか。

原作や監督の言いたかったことはよく解るのだが、映画として描ききれていないのが残念。
先述のように、シニカルにブラックに徹底すれば、もう少しまともになったのではないか、と
思うのだ。検事補の名前がクレイマー、不倫の相手がマリア、自分を裁く黒人判事が
ホワイト、と名前もシニカルに出来ているのだが・・・

それぞれのキャスティングは悪くはないのだ。演技も悪くはないのだ。「嫌な奴だなあ」と思わせて
いるから、みんなが。
メインキャストだけではなく、被害にあった黒人たち、牧師、検事補、地方検事、弁護士、マンションの
住人たち、などなどでくるやつが片っ端から俗物で、自分のことを金のことしか考えてない。
そのことはキチンと伝わる。だからといって、あからさまに映画の中で言われたらせっかくの映画の
面白みが減ってしまうというものだろうに。

<ストーリー>
「ウォール街で債権のトップ・トレーダーとして、ヤング・エグゼクティブの頂点を極めた
シャーマン・マッコイ(トム・ハンクス)は豪奢な生活を楽しんでいた。
妻のジュディ(キム・キャトラル)の目を盗んで、奔放な人妻マリア(メラニー・グリフィス)と
浮気を楽しむマッコイは、ある日旅行から戻るマリアを迎えにケネディ空港へベンツで
駆けつけ、そのままふたりの秘密のアパートへと向かったが、うっかりとブロンクスに
迷い込んでしまった。
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ただならぬ気配におびえるふたりはマンハッタンへと戻る標識を見つけるが、その時
ふたりの黒人に囲まれてしまう。ようやく黒人を振り切り、マリアが車を急発進させて
難を逃れるが、このとき黒人のひとりをはねて重体に陥らせてしまう。
黒人の宗教指導者べーコン牧師(ジョン・ハンコック)は、この事件をきっかけに地域の
黒人の団結を図ろうとした。

一方、酒浸りでしばらく特ダネから見放されていた新聞記者ピーター・ファロー
(ブルース・ウィリス)は、ひょんなことからこのことを知る。さらにニューヨークの市長選に
出馬しようとする地方検事エイブ・ワイス(F・マーリー・エイブラハム)も、このウォール街の
白人エリートが黒人を轢き逃げしたという事件を告発することで、自分の選挙活動に
利用しようと企んでいた。
そんな思惑が渦巻く中ついにファローによる記事が新聞の一面を飾った。ベーコンは
大衆を扇動し、ワイスとその部下はマッコイを告発。ついに警察の捜査が始まった。
マッコイはジュディばかりかマリアにも去られ、人生最大の窮地に一気に追い込まれた。
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彼の運命はブロンクスの判事レオナルド・ホワイト(モーガン・フリーマン)の手に委ねられ、
全てがマッコイに不利に作用して行く中、彼はマリアが自ら車を運転していたことを告白
している盗聴テープを入手。一気に逆転無罪へと導くのだったが、彼にはもう以前の栄光は
残っていなかった。そんな一部始終を記したファローは、マッコイとは対照的に
ピュリッツァー賞の授賞式にのぞむ時の人になっていたのだった。」(goo映画)
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by jazzyoba0083 | 2012-09-01 23:10 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)