酔いどれ天使

●「酔いどれ天使」
1948 日本 東宝 98分
監督:黒澤 明
出演:志村喬、三船敏郎、山本礼三郎、木暮実千代、中北千枝子、千石規子、笠置シズ子、
    進藤英太郎、清水将夫、殿山泰司、久我美子、飯田蝶子ほか。
e0040938_16174815.jpg

<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
終戦後3年。まだ荒んでいた日本にこの映像。凄いなあ。黒澤+三船コンビのきっかけとなり
世界の三船のデビュー作として、映画史に永く記録されることになった本作、相変わらず
7割の音声が聞き取れず。でも、結構ストーリーは分かっちゃうのだな。
英語でも字幕なしで行けるということかな。映画によってはだけど。

閑話休題。もともと、「新馬鹿時代」(山本嘉次郎監督、古川ロッパ主演)の闇市のオープン
セットを、壊すのが勿体無い、というところから本作の企画が始まったそうだ。
電車の高架の麓にドブ池が広がり、戦後の荒廃した街が広がる。
主演の「酔いどれ天使」とは、その街の開業医、眞田(志村)なのだが、無頼のチンピラ
松永(三船)が、主役の座を食っている。それだけインパクトがあり、あのオーバーメイク気味の
ギラギラとした「抜き身の短刀」のような三船の-まだ荒っぽい演技だが-迫力はどうだ!
バタ臭い格好はしているが、口から出る言葉は、着流しの、所謂渡世者、任侠のそれ。
敗戦後の世の中にとりのこされていく任侠の寂しさ、といったものが感じられる。

冒頭、街に流れるギターの音色。今やったらクサいだろうが、何故かとても合っている。
笠置シズ子の「ジャングルブギ」も、パワフルだ。
e0040938_16182174.jpg

後に大俳優たちになっていくキャストの、まだまだ初々しい姿が、今観ると、敗戦直後の
荒んだ光景にとってもマッチしていて、ある種無骨な演技がフィットして見えてしまうから
不思議だ。これは後の「静かなる決闘」でも言えることだと感じる。
時代背景もあるだろうが、とてもパワーを感じる映画だ。黒澤監督38歳。まさにいよいよ
手腕の輝きに加速がかかるところであろう。

<ストーリー>
「駅前のヤミ市附近のゴミ捨場になっている湿地にある小さな沼、暑さに眠られぬ人々が
うろついていた。
これら界わいの者を得意にもつ「眞田病院」の赤電燈がくもの巣だらけで浮き上っている。
眞田病院長はノンベエで近所でも評判のお世辞っけのない男である。眞田はヤミ市の顔役
松永がピストルの創の手当をうけたことをきっかけに、肺病についての注意を与えた。

血気にはやる松永は始めこそとり合わなかったが酒と女の不規則な生活に次第に体力の
衰えを感ずるのだった。松永は無茶な面構えでそっくり返ってこそいるが、胸の中は風が
吹きぬけるようなうつろなさびしさがあった。しめ殺し切れぬ理性が時々うずく、まだシンからの
悪にはなっていなかったのだ。
--何故素直になれないんだ病気を怖がらないのが
勇気だと思ってやがる。おれにいわせりゃ、お前程の臆病者は世の中にいないぞ--と
眞田のいった言葉が松永にはグッとこたえた。
e0040938_16185866.jpg

やがて松永の発病により情婦の奈々江は、カンゴク帰りの岡田と結託して松永を
追い出してしまったため、眞田病院のやっ介をうけることになった。松永に代って岡田勢力が
優勢になり、もはや松永をかえりみるものもなくなったのである。
いいようのないさびしさにおそわれた松永が一番愛するやくざの仁義の世界も、すべて親分の
御都合主義だったのを悟ったとき、松永は進むべき道を失っていた。ド
スをぬいて奈々江のアパートに岡田を襲った松永は、かえって己の死期を早める結果に
なってしまった。

ある雪どけの朝、かねてより松永に想いをよせていた飲屋ひさごのぎんが親分でさえ
かまいつけぬ松永のお骨を、大事に抱えて旅たつ姿がみられた。 」(goo映画)

この映画の詳細は
こちら
まで。
トラックバックURL : http://jazzyoba.exblog.jp/tb/18866976
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
by jazzyoba0083 | 2012-09-12 23:15 | 邦画・旧作 | Trackback | Comments(0)