静かなる決闘

●「静かなる決闘」
1949 日本 大映 95分
監督:黒澤明
出演:三船敏郎、志村喬、千石規子、三條美紀、植村謙二郎、中北千枝子、他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
タイトルからはストーリがーわかりづらいが、結果、「梅毒」と「己」などなどとの対決を
描いたものだ。最近見始めた黒澤作品にこういう映画があることを初めて知った次第。
重い主題だが、流石に、黒澤は描ききっている。5分の長ゼリフ、三船の演技は無骨だが
それが故に心に響くものがある。 まだ映画界が浅い三船に対し、志村、仙石の助演陣が
頑張っている。それぞれ見事なものだ。

ストーリーは重いが単純で、結構衝撃的な展開でもあるのだが、ラストにはちゃんと
カタルシスが用意されている。冒頭の野戦病院のシーン、雨なのだがこれまで観てきた
黒澤の作品はどれも印象的な雨のシーンがある。今回は加えて雪も降る。
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低予算なのだろう、ほぼ、医院のシーンに終始するが、人間ドラマとしては窮屈な感じは
受けない。それぞれのキャラクターは1時間半くらいの映画なのに、際立っている。
つまり、
・軍医→梅毒をうつされ苦悩する町医者の三船、
・彼の父で産婦人科医の志村、
・三船に梅毒罹患をひた隠しにされ結婚に踏み切れない恋人、三條美紀、
・野戦病院での手術中、結果的に梅毒をうつしてしまい復員後も、三船のアドバイスを聞かず
 結婚してしまう  無頼な男、植村謙二郎、
・病院で看護婦をする元ダンサーで、三船に密かに思いを寄せるコブ付き女、千石規子、
・彼女を暖かく見守る巡査、山口勇
・奇形児を生むことになる植村の妻、中北。

以上の人物が織り成す世界は、それだけで帰結する世界を描ききっていて見事だ。
相変わらず声が聞き取りづらいところもあるが、引き込まれることの妨げにはならなかった。
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<ストーリー>
「藤崎恭二は軍医であった。前線の野戦病院、次から次に運び込まれる負傷兵、患者、
恭二は休む暇もなく手術台の側に立ち続けねばならなかった。
陸軍上等兵中田龍夫は盲腸で一命危ないところを、恭二の心魂こめた手術が成功して
とりとめた。ところが中田は相当悪性の梅毒で、恭二はちょっとした不注意のため小指に
キズを作り、それから病毒に感染した。

敗戦後、恭二は父親の病院で献身的に働いていた。が、薬品のない戦地で、恭二の
病気は相当にこじれていた。父にも打ち明けず、彼は深夜ひそかにサルバルサンの
注射を打ち続けていた。思わしい効果は現れて来なかった。
彼には許婚者松木美佐緒という優しい女性があった。彼女にも無論病気の事は話して
なかった。復員後すっかり変わってしまった恭二に美佐緒は何としても納得しかねる気持ちが
あった。六年間も待ちつづけた恋しい人だったのに。まるで結婚の事は考えていない様子の
恭二、隠している事があるに違いないのだ。彼女は根ほり葉ほり聞きだそうとしているが、
一ツの線からは一歩も踏み込ませようとしない。間に入って困る父親、そして遂に何もかも
判る時が来た。 」(allcinema)

この映画の詳細はこちらまで。
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Tracked from RE940の自作DVDラベル at 2012-10-03 21:08
タイトル : 静かなる決闘
1949年 大映 95分 監督:黒澤明 出演:三船敏郎 三條美紀  志村喬 植村謙二郎 山口勇  千石規子 中北千枝子 宮島健一 佐々木正時 泉静治 伊達正 宮島城之  公開当時、占領軍がその予防に関心を注いだ病気、梅毒を扱った、菊田一夫の戯曲「堕胎医」を、前年の「醉いどれ天使」で名を挙げた黒澤監督が映画化。同じように「醉いどれ天使」を出世作にした三船演じる、青年医である主人公の苦悩に切々と肉薄してみせた。注目すべきは主人公が野戦病院にいたという設定の戦場シーン。野戦病...... more
by jazzyoba0083 | 2012-09-13 22:50 | 邦画・旧作 | Trackback(1) | Comments(0)