2012年 10月 15日
ゴーストライター The Ghost Writer
2011 フランス・ドイツ・イギリス 128min.
監督:ロマン・ポランスキー 原作:ロバート・ハリス「ゴーストライター」
出演:ユアン・マクレガー、ピアース・ブロスナン、キム・キャトラル、オリヴィア・
ウィリアムズ、トム・ウィルキンソン、ティモシー・ハットンほか。
<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
まず、すべてのカット、シーンが計算されていて非常に美しい。構図的にも決まって
いる。加えてアメリカ東海岸、オールド・ヘブンの光景も美しい。(曇り空ばかり
だけど)ポランスキーのこだわりは、海辺の別荘もセットで建てちゃったほどだ。
で、出来上がりだけど映像表現も含めて面白かった。ただ、どこかシャキッとした
ところが欠けているのも確か。何が、なんだろうと考えてみたが、恐らく、
謎解きのポイントポイントが少し安っぽいというか詰めが甘いというか、
なんだろうな、と思うのだ。
冒頭のフェリー上の無人のBMW、そして海岸に打ち上げられるところなどは、
良い出足で、続く物語に高揚感を覚える。さらに元首相の周りは妻を始めとして
裏切りと敵に満ちていた、ということで自伝出版記念パーティーでの妻の秘密の
暴露、あたり、そして原稿用紙舞うラストなどは良かったのだが。
つまり中だるみしている、ということなのかな。ポイントは沢山あるのだが。
ただ、細かいことは言ったが面白いサスペンスであることは間違いがない。
昨年のキネ旬外国語映画1位、というのもあながちうなずけないこともない。
お勧めです。
<プロダクションノート&ストーリー>
「巨匠ロマン・ポランスキー監督作品。本作はミステリーとはいえ、軽快で
皮肉の利いた作品になっている。連想するのは、英国出身のヒッチコック作品。
“サスペンス”というジャンル映画を撮り続けたヒッチコックだが、
その全盛期の作品はシリアスな話でも、洒落た会話が生きており、軽妙なタッチ。
本作もマクレガー扮するゴーストライターと周囲の人々のやりとりが、
英国人らしいウィットに富んだセリフで、重くなりがちな物語にユーモラスな
雰囲気を漂わせている。とはいえ最後に明かされる真実は、イギリス人に
とってはキツい皮肉だろう。英国人スパイ(ボンド)役で人気を得た
ピアース・ブロスナンにこの役をやらせたのも、二重の皮肉。
元英国首相アダム・ラング(ピアース・ブロスナン)の自叙伝執筆を依頼された
ゴーストライター(ユアン・マクレガー)に出版社が提示した条件は、
米国で講演中のラングが滞在する島に今夜中に発ち、1ヶ月以内に原稿を
仕上げるという厳しいもの。
だがそのハードな仕事と引換に得られるものは25万ドルという破格の報酬だった。
しかし、政治に興味がなく、前任者がフェリーから転落死、その後任という
こともあり、彼は気乗りがしなかった。代理人に説得されてラングの自叙伝を
出版するラインハルト社に面接に行くと、そこにはラインハルト社ニューヨーク
支部のマドックス(ジェームズ・ベルーシ)、ラングの弁護士クロール
(ティモシー・ハットン)も顔を揃えていた。言いたいことを率直に話すと、
かえって気に入られてしまい、いつの間にか仕事を引き受ける羽目になる。
ヒースロー空港の待合室では、ラングがイスラム過激派のテロ容疑者に対する
不当な拷問に加担した疑いがあるというニュース速報が流れていた。
飛行機を降り、ラングが滞在する東海岸の島へ向かうフェリーに乗り継ぐ。
そのフェリーは前任者マカラが泥酔して落ちたフェリーそのものだった。ラングの
邸宅は厳重な警備が敷かれ、中へ入るや否や、女性の怒号が耳に飛び込んでくる。
ラングの妻ルース(オリヴィア・ウィリアムズ)は機嫌が悪いのだ、と専属秘書の
アメリア(キム・キャトラル)が説明する。彼女は守秘契約書にサインするように
求め、自叙伝の草稿の屋外への持出しは厳禁だと言う。
やがて、取材をしながら原稿を書き進めるうちに、ラング自身の過去に違和感を
覚えた彼は、前任者の不可解な死を追いかけることで国家を揺るがす恐ろしい
秘密に触れてしまう。そして、さらにルースとアメリアとともに巨大な渦に
はまっていくのだった……。 」(goo映画)
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