ペーパーバード 幸せは翼にのって Paper Birds

●「ペーパーバード 幸せは翼にのって Paper Birds」
2010 スペイン Antena 3 Films,Canal+ España,.123min.
監督:エミリオ・アラゴン
出演:イマノール・アリアス、ルイス・オマール、ロジェール・プリンセプ他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
老人+子供+親子+戦争=涙 である。ホントにあったのかなと思うほど
脚本が良く練られている。セットや映像のタッチなども時代を彷彿とさせて
良かった。ただ、長いのでテンポがやや弱いか。また話の設定がやや
あざといかという感じも受けた。エンドロールを見ながら「これが実話で
なければ怒るぞ」という気分になったのも確か。お涙頂戴系であるからね。
ちょっとなあ、と思ったことが2つ。
ホルヘ、戦争で妻と子供を失い、自暴自棄、頑なになるのは分かるんだけど、
やけっぱちに他人を巻き込むのは宜しくないし、そのクセに劇場に来た
フランコ総統の暗殺からは身を引く。いささか身勝手だ。
ラストシークエンス、駅頭。逃げるホルヘに銃を向ける中尉だが、撃てない。
そこをメルセデスに手を出していた上官が銃撃してしまうのだが、
カタルシスのありようとして、中尉が上官を射殺して欲しかったなあ。
終盤のどんでん返しは良かったけど。

スペイン映画というものをめったに観ないので俳優さんたちは知らない人ばかり。
それがまた逆に映画に感情移入しやすくしていたかもしれない。
子役、上手かったね。劇団の座付き歌手のおばちゃん、興業先の村長さんと
結ばれるエピソードも良かった。
現在になり、登場した老ミゲル(監督の実の父親だそうだ)の歌を聴く人々の
中にかつて一緒に劇団で苦労した人たちの姿があったり、このあたりは
泣かせに来てるなあ、と感じた。歌そのものは良かったけど。
全体としては大向こうを唸らせるものではないが、良く出来た映画だった。
ペーパーバードは折々に出てくるツルの折り紙みたいなやつだがラストシーン
に効果的に用いられているが、タイトルとしては分かりずらい。
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<プロダクションノート&ストーリー>
「1936~39年にかけてスペインで起きた内戦は、ソ連や国際義勇軍の
援助を受けた左派が、ドイツとイタリアのファシズム陣営から援助を受けた
右派に破れた。この内戦とその後の独裁政治は、スペイン国民に長い間重い
影を落とした。この時代を描いた映画や文学作品は多いが、本作は“劇団の
芸人たちから見た”という切り口で、当時の様子を別な面から見せてくれる。
妻子を失い、心を閉ざした主人公は“反体制派”として監視されながらも
劇団の運営に努力する。その彼を支える相方のエンリケが男ながら孤児の
ミゲルの母親的存在となり、3人で疑似家族を形成する。
アルモドバル監督の『抱擁のかけら』に出演していたルイス・オマールと
カルメン・マチが、好演をしているのも見逃せない。

スペイン内戦で家族を失った喜劇役者と両親を失った少年の絆を描く
ヒューマンドラマ。監督は、本作が初監督となるエミリオ・アラゴン。
出演は、「私の秘密の花」のイマノル・アリアス、「抱擁のかけら」の
リュイス・オマール、「永遠のこどもたち」のロジェ・プリンセプ。
第34回モントリオール世界映画祭観客賞受賞。


内戦下のスペイン・マドリード。喜劇役者のホルヘ(イマノル・アリアス)は
妻マリア、息子ラファと幸せに暮らしていた。ある日、相方の腹話術師エンリケ
(リュイス・オマール)との舞台を終えたホルヘは帰宅途中、爆撃に遭う。
家へ急ぐが、そこはがれきの山となっており、妻子はその下敷きになっていた。
深い悲しみの中、ホルヘはマドリードを離れる。

1年後、内戦が終わり、ホルヘは劇団に戻る。戦争で両親を失った少年ミゲル
(ロジェ・プリンセプ)を引き取っていたエンリケと再会し、一緒に暮らす
ことになる。ホルヘは、息子と同じ年頃のミゲルを冷たく突き放してしまう。
それでもミゲルはホルヘを慕い、芸を覚えようとする。
一方、反体制派に対して厳しい弾圧を行っていたフランコ政権は、行方不明に
なっていた1年間の間に反フランコ政権の襲撃事件に関与していたとして、
ホルヘを要注意人物としてマークする。軍はホルヘの監視のために、ホルヘと
エンリケが所属する劇団に内偵者を送り込む。

ホルヘたちの劇団には、とうの立った歌手のロシオ(カルメン・マチ)らがいた。
軍人たちは彼らの劇場や巡業先にやって来ては、執拗に反体制派摘発の圧力を
かける。彼らの監視に怯えるエンリケは海外脱出を主張するが、ホルヘは拒否
する。劇団が巡業の旅に出ると、ロシオは巡業先の村長と一緒になることを決め、
引退する。そんな中、ミゲルに喜劇役者としての才能を見出したホルヘは、
彼に芸を教え始める。

ある日ミゲルは、劇場で上映されたニュースフィルムに、亡くなったはずの母の
姿を見つける。ホルヘは彼女を探し出し、ミゲルが折った紙の鳥を持って会いに
行く。しかし彼女は内戦のショックで、息子の記憶を失っていた。ミゲルを息子の
ように思い始めていたホルヘは、彼を育てると母親に告げる。
ある日、劇団が独裁者フランコ総統の前で公演を行うことになる。しかしホルヘを
巻き込んだ陰謀が明らかになり、ホルヘはミゲルとエンリケと共に、ブエノスアイ
レスへ脱出する決意をする」(goo映画)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2012-11-29 23:10 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)