一枚のハガキ

●「一枚のハガキ」
2011 日本 近代映画協会 114分
監督・原作・脚本:新藤兼人
出演:大竹しのぶ、豊川悦司、六平直政、大杉漣、柄本明、倍賞美津子、津川雅彦、川上麻衣子他
e0040938_20343713.jpg

<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
新藤監督の作品は初めて観た。100歳でこの筆力と演出、たいしたエネルギーだと思うし
反戦に対する桁違いの思いも凄い、としか言えない。激賞する評価もおそらく「100歳の
新藤監督の作品だから」ということでのことではないかと推察する。
この年のキネ旬邦画ベスト1を獲得したが、個人的には映画としての完成度はどうかなあ、
というのが偽らざる感想だ。 気骨の監督からのラストメッセージ、という価値は認めるが。

悲喜劇、なのだろうか、どうも肩に力が入る。大竹しのぶの演技は高く評価しているのだ
けれど、本作におけるエキセントリックなお芝居は引いてしまう。意図的かもしれないが
本作の演出は概して、お芝居チックであり大仰である。弟と結婚するにはちょっと年を
食いすぎている大竹のセックスシーンも引きまくり。もう少し若い人をキャスティング出来
なかっただろうか。ところどころの大竹は痛々しくさえある。性の衝動に突き動かされる
年代の女性なら若くていい女優さんはいただろうに。(新藤映画に出てくれる若い女優は
いないか・・・)
深刻ぶらず、時にクスッと笑ってしまうような描き方の中に相対的に悲しみを浮かび上が
らせようという監督の狙いなのだろうけど。ラストの麦畑も広すぎないか?

印象的だったのは、戦争で生き残るのが「運」ということ。これが一枚のハガキに託され
映画に一本筋を通している。これには考えさせられた。
e0040938_20344236.jpg

<プロダクションノート&ストーリー>
「日本最高齢(99歳)の巨匠・新藤兼人監督自ら、「映画人生最後の作品にする」と
宣言した本作。太平洋戦争末期に徴集された100人の兵士のうち、94人が戦死し
6人だけが生きて帰った。その生死を分けたのは、上官が彼らの赴任先を決める
ために引いた“くじ”だった―という、新藤監督自身の実体験を基に作られた。

人の運命がくじによって決まり、兵士の死は働き手を失った家族のその後の人生を
も破滅に向かわせる。そんな戦争の愚かさと不条理を、時に厳しく、時にユーモアを
交えながら描く。新藤監督が自身を投影させた主人公役の豊川悦司と、愛する人を
次々に亡くし、戦争への憎しみを生きる力にする女性を演じた大竹しのぶの好演に
も注目。


戦争末期に召集された100人の中年兵は、上官がくじを引いて決めた戦地にそれぞれ
赴任することになっていた。クジ引きが行われた夜、松山啓太(豊川悦司)は仲間の
兵士、森川定造(六平直政)から妻・友子(大竹しのぶ)より送られてきたという一枚の
ハガキを手渡される。

「今日はお祭りですが あなたがいらっしゃらないので 何の風情もありません。友子」

検閲が厳しくハガキの返事が出せない定造は、フィリピンへの赴任が決まり、生きて
帰って来られないことを覚悟し、宝塚へ赴任する啓太に、もし生き残ったらハガキを
持って定造の家を訪ね、そのハガキを読んだことを伝えてくれと依頼する。

戦争が終わり100人いた兵士のうち6人が生き残った。その中の一人、啓太が故郷に
帰ると、待っている者は誰もおらず、家の中は空っぽだった。啓太が戦死したという噂が
流れ、恋人同士になってしまった妻と啓太の父親は、啓太が生きて帰ってくるとわかり
二人で出奔したのだった。
生きる気力を失い、毎日を無為に過していた啓太はある日、荷物の中に定造から託された
ハガキを見つける。一方、夫を亡くした友子は悲しみに浸る間もなく、舅姑から自分たちは
年老いて働けないのでこのまま一緒に暮らしてほしいと頼まれる。
その上、村の習わしで長男が死んだら次男が後継ぎとなることが決められており、
友子には次男の三平(大地泰仁)と結婚をしてほしいという。
他に身寄りのない友子は、愛する夫との幸せな人生を奪った戦争を恨みながらも、
定造の家族と生きていくことを承諾する。ささやかな儀式で夫婦となった友子と三平だった
が、しばらくすると三平も戦争に招集され戦死。その後、舅と姑が立て続けに死に、
ひとり残された友子は定造の家族が唯一残した古い家屋と共に朽ち果てようとしていた。

そんなある日、ハガキを持った啓太が訪ねてくる。クジ運だけで自分が生き残ったことに
罪悪感を感じる啓太と、家族も、女としての幸せな人生も、何もかも失ってしまった友子。
戦争に翻弄されたすべてを奪われた二人が選んだ再生への道とは……。 」(goo映画)

村に「くじ運」で残った大杉漣は、大竹が好きで、妾になるように迫るが、(いいやつなんだ
けど)現れた豊川にボコボコにされる。豊川は船を売って得た20万円を持っていた。
それを使ってブラジルに行こうとしていたのだ。豊川は大竹に「くじで生き残った」詫び料と
して10万を渡そうとするが。「金の問題ではない」と突き返される。大竹は自分も
ブラジルに連れて行ってくれと懇願する。旅立つ日、遺骨も入っていない骨箱を燃やそうと
して家に延焼し、住んでいた家を全焼してしまう。
ブラジル行をあきらめた豊川は大竹に結婚を申し込み、ここに麦を植えて暮らそう、と
言うのだった。

この映画の詳細はこちらまで。
Commented by 日本インターネット映画大賞 at 2012-12-24 18:19 x
突然で申しわけありません。現在2012年の映画ベストテンを選ぶ企画「日本インターネット映画大賞」を開催中です。投票は1/17(木)締切です。ふるってご参加いただくようよろしくお願いいたします。
日本インターネット映画大賞のURLはhttp://www.movieawards.jp/です。
なお、twitterも開設しましたので、フォローいただければ最新情報等配信する予定です(http://twitter.com/movieawards_jp)。
by jazzyoba0083 | 2012-12-19 23:15 | 邦画・新作 | Comments(1)