虎の尾を踏む男達

●「虎の尾を踏む男達」
1945(1952公開) 日本 東宝 59分
監督:黒澤明
出演:大河内傳次郎、榎本健一、藤田進、志村喬、森雅之ほか。
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<評価:★★★★★★★☆☆>
<感想>
年明け黒澤映画連続鑑賞4作目は、終戦直後に完成していたものの検閲の
関係で公開が52年になった、歌舞伎「勧進帳」を元にした音楽仕立ての
掌編。ミュージカル、と書くものもあるが、ミュージカルというより、音楽に
ストーリーを補うセリフが入っていてそれを邦楽風の旋律で聴かせる所が
4つ位ある、という風に解したい。

桜井長一郎氏のモノマネでしか知らない大河内傳次郎を初めてちゃんと見た。
エノケンも然り。大河内傳次郎、何を喋っているか良くわからなかったけど、
映画スターとしてのオーラを感じる素晴らしい存在感と思った。またエノケンの
一見落語を聞いているかのようなやり取りは、この時代には秀逸なユーモアだ
ったと感じる。いささかオーバーアクションではあるが。
この映画は大河内傳次郎とエノケンの映画、と言い切れるだろう。

劇中歌われる唄は全部何を言っているかわからず、セリフも7割がた聞き取れな
いが、「勧進帳」を知っているのであまり苦にはならなかった。
冨樫とその配下の武士の魂もまた、感動するところであり、かつラストの、目覚めた
エノケンに掛けられてた高価な着物と、印籠は、義経一行の心使いを見た思いで
爽やかであった。あの朝焼けの空は、きっと黒澤がこだわりまくって決めた空に
違いない、と感じた。もう少し長いときっとくどくなるがいい時間配分で終わったと
思う。

さて、戦時中に企画された本作は、当然軍部の指導下にあったわけで、その中で
題材を選択し、もののない時代にあれだけの衣装とセットを組んで作り上げた
黒澤の慧眼には感服せざるを得ない。本作の題材にもまた「時代にそのまま阿ない」
という黒澤の魂胆があるに違いないのだ。
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本作の公開が遅れた曰くなどはこちらのWikipediaを参照ください。
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by jazzyoba0083 | 2013-01-03 21:20 | 邦画・旧作 | Trackback | Comments(0)