八月の狂詩曲(ラプソディー)

●「八月の狂詩曲(ラプソディー)」
1991 日本 黒澤プロダクション、フィーチャーフィルムエンタープライズ。(配給:松竹)98分
監督:黒澤明
出演:村瀬幸子、井川比佐志、茅島成美、吉岡秀隆、根岸季衣、リチャード・ギア他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
黒澤信者の方々からは怒られそうだが、個人的にはこれまで観た黒澤作品のなかで
一番納得がいかなかった作品だ。反核反戦はいいのだが、「生きものの記録」の
ようなパワーが感じられない。全体に古臭く、大時代的だ。学校の教育映画のようでも
ある。言いたいことは「家族」なんだそうだが、リチャード・ギアの出現も取ってつけた
感じ。 また、特撮に本田猪四郎を迎えたが、モクモクと湧く灰色の雲は、この時代の
特撮としては稚拙な感じだった。これでよく黒澤が納得したな、と。あれは雲じゃ
なかったのか??
全体として大仰ではあるのだが、村瀬幸子らキャストの演技は確かであった。
ラスト、暴風雨に傘をおちょこにして立ち向かい歩く村瀬の映像は、何かを言い表し
たかったのだろうけど、音楽と合わせて浮いた印象を受けた。
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<ストーリー>
「長崎から少し離れた山村に住む老婆・鉦のもとに一通のエアメールが届いた。
それは鉦の兄であるハワイの大富豪・錫二郎の息子・クラークからで、
不治の病にかかり余命短い錫二郎が、死ぬ前に鉦に会いたいというものだった。

ところが、兄弟が多い鉦には錫二郎という兄の記憶がなく、そんな鉦の気持ちとは
裏腹に、突然現れたアメリカの大金持ちの親せきに興奮した息子の忠雄、娘の
良江はハワイに飛んで行ってしまう。
それによって残された4人の孫・縦男、たみ、みな子、信次郎は夏休みを鉦の家で
過ごすことになった。

孫たちは鉦の家の生活に退屈しながらも、長崎の街にある戦争の傷跡や鉦が
いつも話す昔話を聞いて、原爆で祖父を亡くした鉦の気持ちを次第に理解する
ようになる。そして、鉦がついにハワイに行く気になり、縦男はその旨を手紙に
書いてハワイに送る。
それと入違いに忠雄と良江が帰って来た。手紙のことを知った二人は、その手紙に
原爆のことが書いてあることを知り、急に落胆する。アメリカ人には原爆の話を
してはいけないと言うのだ。
そんな時、突然クラークがハワイからやって来る。縁台で鉦と手を取り合って
対面を喜ぶクラークは「ワタシタチ、オジサンノコトシッテ、ミンナデナキマシタ」と
たどたどしい日本語で語った。
そして長崎で孫たちと楽しい日々を送っていたとき、錫二郎の死を告げる電報が
クラークのもとへ届き、クラークは急いで帰国するのだった。鉦も縁側で
その電報を握りしめていつまでも泣いていた。
そしてこの時から鉦の様子がおかしくなっていく。そして雷雨の夜、突然「ピカが
来た!」と叫びだし、翌朝、豪雨の中で鉦は風に揺られながら駆け出していく。
そして、そんな鉦を忠雄、良江、それと4人の孫たちはこみあげる熱い気持ちの
まま、泣き叫びながら追いかけていくのだった。 」(goo映画)

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by jazzyoba0083 | 2013-01-16 22:50 | 邦画・旧作 | Trackback | Comments(0)