恐怖のメロディ Play Misty for Me

●「恐怖のメロディ Play Misty for Me」
1971 アメリカ Universal Pictures,Malpaso Company.108min.
監督:クリント・イーストウッド 
出演:クリント・イーストウッド、ジェシカ・ウォルター、ドナ・ミルズ、ジョン・ラーチ、ドン・シーゲル他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
1971年といえば、私が大学に入った年。遥か昔、懐かしいなあ。そんな感慨も
あり、しみじみ(笑)かつ面白く見ることができた。今や名監督として定着した
イーストウッドの監督第一作であるが、将来の大器を予見させるストーリーや
映像の構成が見られるのが嬉しい。だが、監督が自分の趣味で突っ走ると
見ている側は引いてしまうというポイントもある。ロバータ・フラックの歌とともに
流れるラブシーン、それにモントレー・ジャズフェスティバルの光景。ともに意味も
なく長い、と感じた。評価する向きもあろうし、それも含めてイーストウッドなんだけど。

冒頭とエンディングの空撮、サンフランシスコからやや南下したあたりからカーメル
(のちにイーストウッドが市長となる街だ)の美しい海岸風景も取り入れた映像構成、
大仰なクロースアップには苦笑だが、若きイーストウッドの、粗いけれど、力強い
演出を感じることができる。イーストウッドがDJ、というのが似合うかどうかは
議論があるだろうが。

ハンサムな女好きなDJが、一夜の情事を楽しんだばかりに、恐怖に叩き込まれる
という当時はストーカーという名称などなかったころの「ストーキング」を描いた。

基地外なんだろうけど、正常と狂気、紙一重の女性を演じたジェシカ・ウォルターが
怖かった。「ダーティ・ハリー」監督でイーストウッドの師匠であるドン・シーゲルが
バーテン役出ている。恋人トビーのルーメイトが実は狂気の女だった、というあたりは
いい感じだった。しかし、メイドをあれだけ傷つけて結構簡単に釈放される、という
のが合点が行かなかったなあ。

70年代のアメリカ西海岸、特にサンフランシスコあたりの雰囲気や風俗、また
映像タッチ、イーストウッドの若き才能などを満喫できる作品ではある。

なお、原題は、狂気の女がDJイーストウッドに対するリクエストのセリフ。
ミスティとはワンアンドオンリーなジャズピアニスト、エロール・ガーナーの
ジャズナンバー。名曲である。
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<ストーリー>
「ディスク・ジョッキーとして、モントレイ半島では最高に人気のあるデイブ・ガーランド
(クリント・イーストウッド)はKRMLラジオのスターだった。レコードの合い間に詩を
読んだり、ちょっとした哲学を聞かせながら、電話によるリクエストを受けていく。

彼にはチャーミングな恋人トビー(ドナ・ミルズ)がいたが、彼女はある日、突然、
デイブの前から姿を消した。不気味な事件はちょうどその頃から始まろうとしていたのだ。
デイブの放送が始まると、決まった時間に若い女の声で“ミスティ"という曲をかけてと
判で押したようにリクエストするのだ。

その夜、デイブが、事務所がわりに使っているバーに顔を出すと女のひとり客がいた。
スマートな美人で、デイブのファイトをかきたてるに充分だった。デイブがバーテンの
マーフィー(ドン・シーゲル)とゲームを始めると予想通り、女は身を乗り出してきた。
あとはお定まりのコースだ。
デイブは娘のアパートにもぐり込んだ。娘の名はイブリン・ドレイバー(ジェシカ・ウォルター)
といい、毎晩“ミスティ"をリクエストするのは彼女だった。その晩以来、イブリンは勝手に
彼の部屋に押しかけるようになった。その日はちょうど、サン・フランシスコ放送会社の
女社長マッジから持ち込まれた新しい仕事について、相棒のアル・モンテと打ち合わせの
最中だったのだ。アルは気をきかせて帰っていった。

数日後、デイブは、町に戻ってきたトビーと再会し、2人はお互いの愛を確認した。
だがイブリンは激しくデイブに迫り、マーフィーやアルの防波堤では防ぎきれなくなった
ため、覚悟を決めたデイブは彼女に別れ話を持ちかけたが、彼女の異常さは頂点に達し、
話し合いどころではなかった。
デイブがトビーと海岸で遊んだ日の夜、デイブのアパートにイブリンが飛び込んできた。
そして浴室で自ら手首を切ってしまった。仕方なく一番彼女を泊めることにしたが、翌朝、
すでにイブリンの姿はなかった。
デイブがトビーに今までのことをすべて打ち明けて帰宅すると、掃除夫のバーディが瀕死の
重傷を負い、倒れていた。その傍らには放心状態のイブリンが立っていた。彼女は病院へ
送られることになった。それからしばらく平穏な日が続き、デイブとトビーはジャズ祭に行った。

その帰り、トビーは今一緒に住んでいるマドリンがもうすぐ引っ越し、替わりにアナベルと
いう娘が来ることになったと告げた。ある夜、本番中のデイブにイブリンから電話がかかって
きた。病気が治ったのでハワイに行くことに決まったから、その前に“ミスティ"をかけてくれ
というのだ。デイブは承知した。次の日KRMLに出た彼は、昨夜イブリンが口ずさんだ詩を
思い出した。それは、エドガー・アラン・ポーの“アナベル・リー"だった。

彼は不安になった。そういえば、トビーの新しい同居人はアナベルといっていたではないか。
デイブはとっさにトビーの電話番号を廻したが、受話器から流れる声は間違いなくイブリンの
声だ。デイブは放送局を飛びだした。トビーの家に駆け込んだデイブが最初に目撃した
ものは、トビーの保護を依頼していたマッカラム刑事(ジョン・ラーチ)の死体だった。
胸にナイフがつきささり、無残という他はなかった。
別の部屋からトビーの恐怖に満ちた悲鳴が聞こえた。彼はまっくら闇の中へつっ込んで
いった。そこにはロープで縛られたトビーがいるだけだった。その瞬間、デイブの背後から、
ナイフを手にしたイブリンが躍りかかった。彼は必死でかわした。女の力とは思えないすさ
まじいイブリンの攻撃だったが、乱闘の末彼女はベランダから海へ落ちた。」(goo映画)

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by jazzyoba0083 | 2013-02-19 23:15 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)