フィッシュストーリー

●「フィッシュストーリー」
2009 日本 ショウゲート、スモーク、ダブ、Amuse Entertainment.112分
監督:中村義洋
出演:伊藤淳史、高良健吾、多部未華子、濱田岳、大森南朋、森山未來、石丸健二郎他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
★は6,5。新潮社の文庫本紹介にも「伊坂流ほら話」と記されているとおり、「ほら話」=
「フィッシュストーリー」である。なので、その手の内容が好きでなかったり、伊坂的
世界観を理解できなかったりする人が見る作品ではない。私は伊坂作品が大好きなので
映画も観るが(映画館には行かないけど)、彼の空気感を映像化するのは大変だと
思う。『アヒルと鴨のコインロッカー』で伊坂に気に入られその後、何作か彼の作品を
手掛けることになるのだ。これはその2作目。出来としては前作の方が好きだ。

作品のテイストが違うので、「彗星が地球にぶつかる5時間前」「決死の宇宙飛行士部隊
が、彗星の破壊に、向う」などという、ぶっ飛んだ設定での映像化は難しかったと思う。
伊坂的世界観の匂いはかなりガンバって良く出せていたんではないか。
今回WOWOWでの放送を見たのだが、そこでの濱田との対談で、中村は「オムニバスと
して鑑賞してもらえば良い」と言っていた。が、それでは済まないのがこの映画である。

伊坂+中村監督+斉藤和義+大森南朋、濱田岳といういつもの座組みに今回は正義の
味方として森山未來、地球を救う数学者に多部未華子を配した。
1976年から、いくつかの時代のエピソードを繋げながら、結局は、一見関係なさそうな
人間関係が、ラストに向かって全て繋がってくるのが痛快である。

彗星激突まであと5時間となったある街のレコード店。パンクバンド「逆鱗」の
「フィッシュストーリー」という曲が流れる。そこに現れる謎の男。

伊藤淳史率いるパンクバンド、伊藤が大森南朋からもらった「フィッシュストーリー」
という本の巻頭に「僕の孤独が魚だったら、巨大さと獰猛さに鯨でさえ逃げ出す」
という文章が物語の1つのコア、その曲の無音部分の由来、パシリとしていいように
使われる濱田青年の恋、シージャックに出くわすフェリーの女子高生と正義の味方、
そしてバンドのメンバーやレコード会社ディレクターのあれこれが一つのお話に
収斂されていく。

原作をほとんど忘れていたので、映画はそれなりに楽しめた。ばかばかしいけど別に
難しくもないので、見た人は楽しめばいいし、ラストはハッピーエンディングだし。

空の燃える?彗星がチャチだったのは残念。もう少し何とかならなかったか。
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<プロダクションノート&ストーリー>
『アヒルと鴨のコインロッカー』に続き、伊坂幸太郎の原作を中村義洋が監督した
ユーモラスでそう快な人間ドラマ。1970年代に活動した売れないパンクバンドの
一曲を中心に、とりどりの登場人物が交錯しやがて地球の滅亡をも救う、時空を
超えた奇想天外なストーリー。
伊藤淳史、高良健吾、渋川清彦の実力派若手俳優に、ロックバンド・Drive Farの
大川内利充が加わり、バンドメンバーを熱演。ロックシンガーの斉藤和義が担当した
音楽にも注目だ。
<シネマトゥデイ>

1975年、鳴かず飛ばずのパンクバンド“逆鱗”のメンバー4人(伊藤敦史、高良健吾、
渋川清彦、大川内利充)は、解散前最後のレコーディングに挑んでいた。
そしてときは超え、地球の滅亡まで数時間に迫った2012年、営業を続ける一軒の
レコード店から“逆鱗”のあの一曲、「FISH STORY」が流れ始め……。
<シネマトゥデイ>

「中古レコード店が登場する2012年のオープニングから「世界の終わり」とか
「彗星の衝突まであと5時間」とか、これはSFか!?と思うような言葉が飛びかう。
それは1982年の気の弱い大学生の自分探し、99年の世界の終わりの予言、
さらに75年に解散したバンド〈逆鱗〉の話になり、09年のシージャックへと展開して
いく。5つの時代のエピソードが交錯し時系列が自由に飛ぶので、着地点が
なかなか見えてこないのがおもしろい。

作品タイトルで〈ホラ話〉と手の内を見せてはいても、伊坂幸太郎原作だから
普通で終わるはずもないのだ。  時代をつなくキーワードは、〈逆鱗〉が最後に
レコーデイングした「FISH STORY」だ。この曲の無音部分をめぐっていろいろな
解釈や想像があり、他の時代のキャラクターが耳にする。〈逆鱗〉は「この時代で
届かなかった想いが、時空をこえてつながっていく」と演奏し、それが作品の
テーマになっている。ジクソーパズルのように最後の最後に各エピソードがピタッと
はまると、その腑に落ちかたが爽快で「見てよかった」と思う。
監督は「アヒルと鴨のコインロッカー」で伊坂に絶賛された中村義洋。
彼が手がけた「ジェネラル・ルージュの凱旋」がメジャー仕様の娯楽作だとすると、
これはインディペンデント仕様の映画と音楽フリークのための快作になっている。」
(おかむら良)(映画.com)

この映画の詳細はこちらまで。
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by jazzyoba0083 | 2013-03-24 23:00 | 邦画・新作 | Trackback | Comments(0)