戦火の勇気 Courage Under Fire

●「戦火の勇気 Courage Under Fire」
1996 アメリカ 20th Century Fox Films. 116min.
監督:エドワード・ズゥイック
出演:デンゼル・ワシントン、メグ・ライアン、ルー・ダイヤモンド・フィリップス、マット・デイモン他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
今となっては湾岸戦争のエピソードとして珍しくないだろうが、96年のこの時期に
陸軍の不祥事を描いたことがアメリカ映画のちゃんとしたところに敬意。
そしてストーリーが良く出来ていて、しっかり見ることができる。謎解きの面白さも
ある。加えて単純な構造というのも分かりやすくていい。

デンゼル・ワシントン、ラブコメのイメージが強いが、ここでもメグ・ライアン、そして
げっそり減量したマット・デイモン、そして最後のキーマン、ルー・ダイヤモンド・
フィリップスも良かった。

湾岸戦争で、戦車隊を率いていたサーリング中佐(デンゼル)は、夜戦で弟のように
可愛がっていたボイラーの戦車を誤射して殺してしまう。軍の査問では、交錯した状況
ではやむを得ないと彼の罪は問われず、むしろ英雄として扱われた。

元来正義心が強いサーリングは、心に重荷を背負うことになり、酒におぼれ妻とも
ギクシャクし始めていた。

そんな彼にある戦闘で、救助ヘリのパイロットであるウォールデン大尉(メグ)の
英雄的行為が名誉勲章としてふさわしいか調査を命令される。
ウォールデン大尉はすでに当該の戦闘で戦死していて、生き残りのメンバーの
話から、あの戦闘で何があったかをあぶり出していく。ある男は勇敢だったといい、
ある兵士は臆病だったと説明する。しかし、だれかが何かを隠している。

自分の罪にもさいなまれつつ、調査を進めるサーリングだったが、衛生兵だった
イラリオ(マット・デイモン)の証言により、一部始終の顛末はモンフリッツ(ルー)が
握っていると確信、彼を追い込むが、彼は、クルマを列車にぶつけて自殺してしまう。

その後、さら調査をすすめると、事実が明らかになってきた。
つまり、ヘリが墜落、けが人が出る中でイラク兵に囲まれたウォールデン隊は、夜に
なってモンフリッツが戦線から逃げ出そうと提案する。しかしウォールデンは、けが人
を連れて、朝になったら必ず来る救助隊を待つべき、行くなら銃を置いて一人で
逃げろ、という。すると上官に銃を向けるモンフリッツ。これに銃を手にして「反乱罪」よ、
と引かないウォールデン。その時、イラク兵の銃撃があり、大尉が自分を撃ったと
勘違いしたモンフリッツは、ウォールデンを撃ってしまった。

とんでもないことをしてしまった、と狼狽えるが、傷を受けたウォールデンは
帰ったら軍法会議よ、と許さない。そこに彼らを救助するヘリが到着。
けが人を始め収容に成功するが、腹を撃たれていたウォールデンについて
モンフリッツは、救助ヘリのパイロットに「ウォールデンは死んだ」と説明、
ヘリは去り、そのあたり一帯は爆撃機によるナパーム弾で壊滅させられた。
おそらく生存していただろうウォールデンも生きては居られなかったはずだ。

救助された兵士たちはみな口をつぐんで真実を話さなかったのだ。
真実を突き止めたが、自分の誤射時の戦闘での通信録音をワシントンポスト紙に
入手されることになった。(サーリングが渡したと思われる)。

ウォールデンには名誉勲章が贈られることになったが、式典にサーリングの
姿は無かった。彼は自分が殺してしまったボイラーの両親のもとを訪ね、
真実を話し、謝罪した。許されない罪を背負っしまった、神よお許しくださいと。
ボイラーの父は「もう重荷を降ろしてもいいころだ」と理解してくれた。

さらに、衛生兵があずかっていたものの、渡すことが出来なかったウィールデンの
遺書も両親に届けられたのであった。

彼は軍を去るのだろう、大きな荷物を持って、妻の待つ家に帰ってきた・・・。
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サーリングの誤射、ウォールデンの事件、こんなことは湾岸やイラク戦争、
アフガンなどではいくつもあったのだろう、そうした状況の中に追い込まれた
善意の人々の苦悩もいくつもあったのだろう。戦争とはそうした嫌なものなのだ。


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by jazzyoba0083 | 2013-07-23 23:30 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)