2013年 07月 27日
風立ちぬ
2013 東宝 スタジオジブリ作品 126分
監督・原案・脚本:宮崎駿 音楽:久石譲 主題歌:荒井由実「ひこうき雲」
声の出演:庵野秀明、瀧本美織、西島秀俊、西村雅彦、スティーブン・アルパート、風間杜夫
竹下景子、志田未来、國村隼、大竹しのぶ、野村萬斎。
<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想>
事前に断っておきますが、私はスタジオジブリの作品のフリークではないです。
嫌いではないのですが、しっかりみたのは「となりのトトロ」と「千と千尋の神隠し」位かな。
個人的浅い感覚から言うと、お化けが出たり、白が空を飛んだり、ホウキにのった少女が
いたり、異形の人物が出てくる、など独特のジブリワールドがあるんだろう、ケレンで見せる
アニメエンターテインメントの世界があるのだろう。オリジナルに満ちて、そして見た人に
そこはかとなく愛とか勇気とかを訴えている、そんな感じをもっていました。
そうした点からすればこれまでジブリが作ったことのないリアルな純愛物語でしょう。
映画において、見方が間違うということはありえないわけで、見た人れぞれが個人で
心に感じたものを受け取れば良いわけです。そうした視点からいえば、本作
「風立ちぬ」は圧倒的な「純愛」の映画だと言い切りましょう。堀辰雄の「風立ちぬ」は
参考程度で、これに零戦を設計した堀越二郎の飛行機に憧れ熱中する青春を織り込む。
ストーリー自体は難しいこともなく、時として眠くなるようなテンポ。ただ、声を担当した
庵野秀明がとてもよいのだが、淡々と飛行機に打ち込み、であった少女と恋をし、
でも飛行機にも恋をし、二つの愛を得た青年の中から少女との愛だけが大空に消え
てしまい、飛行機は零戦として大空に羽ばたいたのだ。なんか零戦の飛翔が、結核で
早世してしまった、最愛の少女が心に描いていた堀越との夢と一緒に飛んでいるような
気がした。きっと彼女は堀越と一緒に仕事をして、飛行機を完成させたと喜んでいる
ことだろう。
あまりに直球の純愛に、自然と涙が出てきた。清々しい涙だったと思う。
日曜のシネコンの一番大きな小屋はほぼ満員。ラストで目頭をハンカチで押さえる女性が
多く見られました。「あなたは生きて・・」という菜穂子の言葉に胸熱くならない人はいない
だろう。
宮崎駿は、ポニョの次になにを思ってこの「風立ちぬ」を作ったのだろうか。
今、私たちに必要なのは、打算にかかわらない純粋な愛だ、といいたかったのだろうか。
いや、毎作、宮崎駿はそう言っているのだけれど、これだけストレートに描いたことが
なかっただけのことかもしれない。凄い映画だ、とは思わないけど、心の深いところを
ジーンと暖かくしてくれる佳作ではある。私は大好きな映画になりそうです。
<ストーリー>
「宮崎駿監督が「崖の上のポニョ」(2008)以来5年ぶりに手がけた長編作。ゼロ戦
設計者として知られる堀越二郎と、同時代に生きた文学者・堀辰雄の人生をモデルに
生み出された主人公の青年技師・二郎が、関東大震災や経済不況に見舞われ、
やがて戦争へと突入していく1920年代という時代にいかに生きたか、その半生を描く。
幼い頃から空にあこがれを抱いて育った学生・堀越二郎は、震災の混乱の中で、少女・
菜穂子と運命な出会いを果たす。やがて飛行機設計技師として就職し、その才能を
買われた二郎は、同期の本庄らとともに技術視察でドイツや西洋諸国をまわり、見聞を
広めていく。そしてある夏、二郎は避暑休暇で訪れた山のホテルで菜穂子と再会。
やがて2人は結婚する。菜穂子は病弱で療養所暮らしも長引くが、二郎は愛する人の
存在に支えられ、新たな飛行機作りに没頭していく。
宮崎監督が模型雑誌「月刊モデルグラフィックス」で連載していた漫画が原作。
「新世紀エヴァンゲリオン」の監督として知られる庵野秀明が主人公・二郎の声優を
務めた。松任谷由美が「魔女の宅急便」以来24年ぶりにジブリ作品に主題歌を提供。」
(映画.com)
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