ソハの地下水道 In Darkness

●「ソハの地下水道 In Darkness」
2011 ドイツ・ポーランド Schmidtz Katze Filmkollektiv Film Works.143min.
監督: アグニェシュカ・ホランド  原作: ロバート・マーシャル 『ソハの地下水道』(集英社文庫刊)
出演:ロベルト・ヴィエツキーヴィッチ、ベンノ・フユルマン、アグニェシュカ・グロホウスカ他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
この年のオスカー外国語映画賞にノミネートされた作品。長時間の重苦しい
雰囲気を持つ作品だが、見ごたえはある。物凄い人間臭い映画だ。
実話を元にしているが、物語として非常に興味深いし、暗いけど見てしまう。
知っている俳優さんがいなかったものリアリティを感じさせて個人的には良かった。

それぞれ極限状態に置かれた登場人物に、さまざまなことを思わされる。
14か月も地下水道に隠れていたユダヤ人。陽が差さない上に強烈な悪臭、
強い精神力を持ったものしか生き残れない。弱い者は逃げ出して、結局
迷路のような下水道で迷子になり餓死していく。そしてユダヤ人とはいえ
見知らぬ同士の不信感。 

さらに本来地下水道検査官でありながら、コソ泥も働いてたポーランド人の
主人公ソハの心の変化と苦悩、妻との軋轢。

戦争、人種、金、性欲、勇気、連帯、食物、愛情、親子、などなど人を巡る殆どの
感情の葛藤が描かれる。そしてそれぞれに、考えさせられるのだ。それがまた人間
臭さ丸出し、かざりっけなしで提示されていく。力強さを感じる演出だった。
ドイツはこの映画に資金を提供したそうだが、自分の国の過去の負の遺産をかつて
蹂躙したポーランドと作るということもまた考えさせられたのだ。

ついに戦争が終わり、最後まで残った数人がマンホールから出てくる。みな白く
(がりがりに痩せていて欲しかったけどまあそうは簡単にはいかない)幽霊のようだ。
ソハが「オレのユダヤ人だ!オレのユダヤ人だ!」と見物に集まったポーランド人
たちに言いふらすのだが、その言葉の裏には何があったのだろう。

作品上、「イエス・キリストもユダヤ人だった」、誰だかに言われて、ユダヤを
助けようとしたようだが、本当のことは誰にも分からない。自分の娘の聖体拝受式を
抜け出してでも救い出そうとしたソハにとってユダヤ人とはなんだったんだろうか。
「金をもらわず助けるような奴に思われたくない」というソハのセリフが彼の立ち位置を
明確にしているのだろう。

ラストの字幕で明らかにされるのだが、ソハ氏は戦後、進駐してきたソ連軍のトラックから
わが娘を守ろうとしてはねられて死亡してしまう。
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<ストーリー>
「1943年のポーランド。下水修理と空き巣稼業で妻子を養っている貧しい労働者の
ソハ(ロベルト・ヴィエツキーヴィッチ)は、収容所行きを逃れるために、地下水道に繋がる
穴を掘っているユダヤ人たちを発見する。
ドイツ軍に売り渡して報奨金を手にするチャンスだったが、迷路のような地下水道の構造を
誰よりも知り尽くしたソハは、彼らを地下に匿い、見返りに金銭を得ることを思い立つ。

ところが、子供を含むユダヤ人のグループは彼の手に負えるような規模ではなかった。
面倒を見きれないほどその人数は多く、隠れ場所の移動や食料の調達さえ容易ではない。
その上、執拗にユダヤ人狩りを行う将校が目を光らせ、ソハの妻子や若い相棒は処刑の
恐怖に怯えるようになる。
自らも極度の精神的重圧に押し潰されそうになり、手を引くことを決意するソハだったが、
時既に遅し。同じ生身の人間であるユダヤ人たちに寄り添い、その悲惨な窮状を
目の当たりにしてきたソハは、自分でも信じ難い、彼らを“守る”という茨の道を選択する
のだった」(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
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by jazzyoba0083 | 2013-09-02 23:30 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)