2013年 10月 06日
善き人 Good
2008 イギリス・ドイツ Good Films,Miromar Entertainment.98min.
監督:ヴィセンテ・アモリン
出演:ヴィゴ・モーテンセン、ジェイソン・アイザックス、ジョディ・ウィテカー他
<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
ラスト、強制収容所のユダヤ人楽団が奏でる音楽と聞きながら
「俺はこんなことになっていたのか!」と周囲を呆然と眺めるシーンに
この映画のすべてが凝縮していた。オリジナルが舞台劇なので、なるほど
という感想もあった。
シンプルな構成で、地味な進行ではあるが、訴えているものは重い。
自分はナチとは縁が無いと思っていたところが、ひょんなことから総統は
ゲッベルスに気に入られ、自分の意思とは関係ないところで、ナチサイドへ
人生が転がっていってしまう。拒否も出来るだろうが、あの時代にそんなことを
したらどうなるのか、簡単に理解できることだろう。
親友のユダヤ人を結局助けられなかったことを、彼は生き残ったとしても一生
背負って生きていかなくてはならなかったわけだ。彼はドイツの敗戦とともに
どういう運命を歩んだのか、興味がわいた。
日本の先の大戦時もそうだけど、狂気の大勢に一個人はあがらうことは難しい、
また危険を回避していると、いつの間にか狂気の側にいる自分に気づくという
恐ろしさを感じることができる。ましてや大方の人がそうであるように流れに
逆らわずヘラヘラしていると、ゆでガエルのようになっちゃいますよ、ということだ。
念だったのは、英語だったこと。こういうシリアスな映画こそドイツ語で観たかった。
ヴィゴ・モーテンセンは良かったです。へたれな教授がナチに仕立てられていく様。
見ていて恐怖でした。
<ストーリー>
「1930年代、ドイツはヒトラーの台頭とともにナチ党の色に染められ、それは教育の
現場も例外ではなかったが、ベルリンの大学で教鞭をとる文学教授ジョン・ハルダー
(ヴィゴ・モーテンセン)は、失職覚悟で党に抵抗する余裕はなかった。
介護が必要な母(ジェマ・ジョーンズ)と妻のヘレン(アナスタシア・ヒル)、そして2人の
子供たちの生活を背負っていたからだ。1937年4月、総統官邸から呼び出し状が届き、
ジョンは党の検閲委員長ボウラー(マーク・ストロング)から意外な申し出を受ける。
数年前にジョンが書いた不治の病に侵された妻を夫が安楽死させる内容の小説を
ヒトラーが気に入り、同様の「人道的な死」をテーマにした論文を書いてほしいという。
断るすべもなく仕事を引き受けるジョン。
さらに彼は、親衛隊少佐フレディ(スティーヴン・マッキントッシュ)から、執拗に入党の
誘いを受け、ジョンは入党を決意、混乱した私生活にも区切りをつけようと思い立つ。
母親をブランデンブルクの実家に帰し、ヘレンと別居。数年前から愛人として交際して
いた元教え子のアン(ジョディ・ウィッテカー)と共に暮らし始める。やがてジョンは
学部長に昇進。親友のユダヤ人精神分析医モーリス(ジェイソン・アイザックス)は
喜んでくれたが、ジョンの入党を知ると軽蔑の視線を投げつけて去っていく。
1938年10月、アンと再婚し、新たな人生を歩み始めたジョンは親衛隊大尉の
肩書きを持つまでに出世を遂げていた。そんな中、ジョンの母が孤独な闘病生活に
絶望して自殺未遂、そのまま帰らぬ人となった。ある日、パリ駐在のドイツ人書記官が
ユダヤ人に暗殺される事件が起こり、ベルリンで反ユダヤの暴動が発生。
ユダヤ人の家や商店が襲撃され、ユダヤ人たちは警察に連行される。この騒動に
モーリスが巻き込まれることを案じたジョンは、駅へ出向き、パリ行きの切符を購入。
「今晩自宅へ来てくれ」と、モーリスのアパートに伝言を残す。
その直後、党本部への出頭を命じられたジョンは、留守を預かるアンにモーリスへの
切符を託すが、結局彼は現れず、消息は途絶えてしまう。1942年4月、親衛隊の
幹部としてユダヤ人強制収容所の情報収集を命じられたジョンは、党の誇る最新鋭の
設備を使い、モーリスの消息を追う。そのとき初めて、4年前のあの夜に何が起きたかを
知るジョン。さらに収容所の視察に赴いた彼は、自分が無意識のうちにどれだけ深い罪を
犯していたかに気づき、愕然とする……。」(Movie Walker)
この映画の詳細はこちらまで。