2013年 11月 28日
アスファルト・ジャングル The Asphalt Jungle
1950 MGM Pictures.112min.
監督:ジョン・ヒューストン
出演: サム・ジャッフェ、スターリング・ヘイドン、ルイス・カルハーン、マリリン・モンロー、ジーン・ヘイゲン
ジェームズ・ホイットモア、マーク・ローレンス、 アンソニー・カルーソ、ブラッド・デクスター
<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
もう60年も前に製作された(私の生まれる前)ハリウッド製フィルム・ノワールの傑作にして
「キー・ラーゴ」「黄金」「アフリカの女王」「荒馬と女」などの名作をものしてきた
ジョン・ヒューストンの傑作でもある。(といろんなところに書かれている)
強盗の話というより、そこに加わった男たちの人間模様であり、群像劇である。そこに
この作品の深さがある。いまどきの「M・I」とか「オーシャンズ」シリーズを見慣れていると
強盗の手法は泥臭く、ダサそうに見えるが、緊迫感は同等にある。むしろ、身近に
感じる状況なので、観客はかえって緊張するかもしれない。ニトロのビンを歯で開けて
スポイトで吸い取るなんてシーンは特に。
登場人物が多いので話が整理されてくるまでの1時間は眠い。(先日シネコンで観た
「悪の法則」みたいだ)そこは我慢すると、後半にはドラマチックな展開が待っている。
製作された時代が時代だから、いささかのわざとらしさやクサさはあるが、そういう点を
除いても、よく出来た映画だと思う。印象的なのは、刑務所から出てきたばかりで
宝石泥棒を先導するドク、そして最後に牧場を夢見て斃れるディックス。あまり知らない
俳優さんばかりだが、破滅していく個性的な男たちの哀愁をそれぞれいい味を出して
演じている。悪は栄えず、などという単純なものではなくその後ろにある男たちの
哀しみを感じ取るべき作品といえよう。
ラスト近く、ジュークボックスで踊る少女に5セント玉を沢山あげて踊りに見入っている
ドクのシーン、ダイナーの前に警官が来ているのが分かっているかのような悠然たる
態度が印象的だった。それとマリリン・モンローを囲っている悪徳弁護士も、いかにも、
という感じだったがよかったな。 マリリン、若い。この頃のほうが姿かたちは好きかも。
最後にコミッショナーがいかに警察官たちが活躍し市民を守っているかを記者に話す
シーンがあるが、ここは警察広報みたいで要らないんじゃないか、と思った。
<ストーリー>
「西北部のある都市。警察のラジオ・カーがホテル強盗を追って走りまわるある夜明けに、
刑務所から出所した“ドク”・リーデンシュナイダー(サム・ジャフェ)は、賭博業者のコビー
(マーク・ローレンス)を訪れた。
宝石泥棒の計画があるから、暗黒街のボスとして鳴る弁護士エメリック(ルイス・
カルハーン)に、渡りをつけてくれというのだ。コビーは承諾し、ディックス(スターリング・
ヘイドン)という頑固な青年を、ドクに紹介する。ディックスはケンタッキー生まれで、
幼い頃に家の牧場を人手に渡し、何とかそれを買い戻す金を得ようと町へ出てきたの
だが、落ちる先はヤクザの仲間。今はコビーに借金までして酒場のガス(ジェームズ・
ホイットモア)や、その友人ルイス(アンソニー・カルーソ)に厄介をかけている男だった。
さてコビーとドクがエメリックを訪れたところ、内幕は火の車のこのボスは、2つ返事で
犯行援助を承知した。実はうまく立ちまわってドクらを出し抜き、相棒ブラノム(ブラッド・
デクスター)や情婦アンジェラ(マリリン・モンロー)と国外へ逃走するつもりなのである。
犯行の夜、ドクの指揮の下、ルイスは手練の技巧を発揮して宝石会社の金庫を破り、
ディックスが用心棒に立った。警察の非常網がたちまち張られ、現れた看守のために
ルイスは傷を受けたが、3人はまんまと目的を達して宝石をエメリックの家に運び込んだ。
しかしドクとエメリックの交渉ははかどらず、業を煮やしたブラノムがピストルを出すと
同時に、彼はディックスの銃弾に倒れ、ディックスもまた傷を負う。
エメリックは保険会社に宝石の買戻しを折衝すると同時に、ブラノムの死体を川へ捨て
に出かけねばならなかった。死体が浮き上り、警察の捜査が始まる。コビーは逮捕され、
エメリックもまた情婦アンジェラと共に取り調べを受け、ピストル自殺をとげる。
ルイスも死ぬ。
今や宿願も挫折したドクはひとりレストランで若い少女のダンスを見ているとき、張り込ん
でいた警官に連行された。残るディックスは、最後の望みとしてケンタッキーの故郷へ
帰ろうと車で駆った。女友達のドール(ジーン・ヘイゲン)は彼の身を案じて、ついて行くと
いってきかない。途中、彼は出血多量のため医者へかつぎこまれたが、意識が目覚めると
人が止めるのも振りきってまた走り出す。
やがて街道の傍に緑の牧場が見えると、ディックスは車を捨てて走り込み、ドールの見る
前で馬たちにとりかこまれて息を引き取る。」(Movie Walker)
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