2013年 12月 01日
キャプテン・フィリップス Captain Phillips
2013 アメリカ Michael De Luca Productions,Scott Rudin Productions,and others 134min.
監督:ポール・グリーングラス 原作:リチャード・フィリップス 『キャプテンの責務』(早川書房刊)
出演:トム・ハンクス、バーカッド・アブディ、バーカット・アブディラマン、ファイサル・アメッド他
<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
トム・ハンクスファンかつグリーングラスファンとしては、行かなくちゃならんでしょ!
という訳で、封切りを待ちかねてシネコンへ。長い映画なので、事前の水分は
禁物です・・。(^^;
★は8つあげたいところなんですけど、う~む、何か浅さを感じてしまった。
活劇、サスペンスとしてみれば、実に良く出来た映画で、これだけの長い時間緊張感を
持続させる手法はさすがグリーングラス、ということころなんだが、アメリカ海軍が前面
(全面)に出てくるころともなると、アメリカマンセーな雰囲気も漂いつつ・・・。
むしろ、ソマリアの貧しい漁師がなんで無鉄砲な海賊行為をしなくてはいけないのか、
ということころが切なかった。トムの演技はさすがだが、悲劇のヒロインとしては彼が
これまで色々と演じてきたキャラクターに比べると小物の感じだ。
「プライベート・ライアン」の大尉とかに比べるとね。
ただし、トータルの映画として、これを海洋サスペンスと捉えれば★は8つ以上だ。
そう捉えていいのか?という部分をどうも心の中に残す仕上がりなんだよなあ。
アメリカ海軍全面後援の映像はダイナミックで、緊張感、リアリズム(物語そのものが
実話なんだけど)、テンポ、カメラのズーミングやフレーミングなど見ていて心地よく
素晴らしいと思う。思うけど・・・。これはフィリップ船長の勇気と冷静な知恵に感動すれば
いいのかなあ・・。また元に話がもどるけど、その割にはフィリップ船長が(本人が悪い
んじゃないよ)小物感漂っちゃうんだなあ。
ソマリアの海賊の頭を演じた「ミスター・ガイコツ」にオスカー助演男優賞をあげたい。
結局彼らは、大きな組織の中でやむにやまれず海賊行為に出ざるを得ないわけで、
そのあたりの心情は、さすがに底辺に静かに流されている。ここいらへんは上手いな、
とは思うけど、もう少し強調したほうが良かったか、いやこの程度で良かったのか。
う~ん、難しい。コンテナの積荷がケニアへの救援物資というところも押さえどころでは
あるんだな。
自分で考えれば考えるほど堂々巡りになるのだが、映画としてはいいんですよ。
面白いし、134分は全然長く感じない。活劇と割り切ってみるには何か訴えるものが
あるのだが、そこの見え方が浅いと・・・ぐるぐるまわっちゃうなあ・・・。
まあ、ドキュメンタリーみたいなものなので、船長、海賊、乗組員らの思いが事実として
ビンビンと伝わり、息苦しいほど、と感じられる人はきっと★9とかあげちゃうタイプの
映画だと思う。
ストーリーは、アメリカのコンテナ船がソマリアの海賊に乗っ取られ、船長が一人で
人質になり、これにアメリカ海軍やSEALが乗り出して・・という単純なもの。
この単純さを134分、緊張を持続さて引っ張れるだけの面白さは持っている映画だ。
<プロダクションノート&ストーリー>
『ボーン』シリーズのポール・グリーングラス監督が、トム・ハンクスを主演に迎え、
09年にソマリア海域で起きた人質事件を基に描く緊迫感あふれるサスペンス。
乗組員の代わりに海賊の人質となったベテラン船長と海賊との駆け引き、
人質奪還を狙う海軍特殊部隊NAVY SEAL、救出作戦実行チームのスナイパーを
巻き込んだドラマが展開。
2009年3月28日。マークス海運に勤務するリチャード・フィリップス(トム・ハンクス)は、
マークス・アラバマ号の船長としてオマーンからケニアへ援助物資を運搬するため、
妻アンドレア(キャサリン・キーナー)や2人の子どもたちとともに暮らす米国バーモント州の
自宅を出発。
到着したオマーンのサラーサ港では、ベテラン船長らしく手際よく出航準備を進めてゆく。
乗組員は20名。マークス・アラバマ号は予定通りケニアのモンバサ港へ向けて出航するが、
海賊の活動が激化する航路上で、2隻のモーターボートの追跡に気付いたフィリップスは
警戒を指示。
ドバイの英国海運オペレーションとの交信を傍受した海賊も、一度は引き返した。
翌4月7日。再び追跡を始めた海賊がハシゴを使ってアラバマ号へ侵入。大混乱の中、
乗組員の大半は訓練通り機関室へ身を隠す。海賊は4人。英語堪能なリーダー格のムセ
(バーカット・アブディ)に、血気盛んなナジェ(ファイサル・アメッド)とエルミ(マハット・M・アリ)、
そして、まだ少年の面影を残すビラル(バーカッド・アブディラマン)だった。
連行されたフィリップスからの“金庫に保管した3万ドルの現金を提供する”という提案に
ムセは満足せず、ビラルとフィリップスを伴って他の乗組員を探し始める。ガラス片を床に
ばら撒く、電源を止めるなどの時間稼ぎによって、機関室に隠れた乗組員たちが命を辛うじて
繋ぎ止めると、やがて事態が急転。隠れていた乗組員たちがムセの捕獲に成功したのだ。
これにより、海賊たちは現金3万ドルを受け取ってアラバマ号の救命艇でソマリアへ向かう
ことを決断。しかし、救命艇の発進直前、フィリップスが人質に取られてしまう。
船会社との交渉によって、身代金を手に入れようというのだ。その頃、事件を知った米軍も
救出に動き始めていた。一瞬の隙を狙って進行する救出作戦。全世界が固唾を飲んで
見守るその結末とは……?」(Movie Walker)
なんだかんだ言いましたが、面白い映画ですよ。アメリカ海軍かっこよすぎ、フィリップス
船長救助後の女医さん、PTSD状態の船長に畳み掛けるような口調はイカンでしょうに。
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