2014年 02月 12日
プリンセス・カイウラニ Princess Ka'iulani
2010 アメリカ Matador Pictures,Island Film Group,Trailblazer Films.98min.
監督・脚本:マーク・フォービー
出演:クオリアンカ・キルヒャー、バリー・ペッパー、ウィル・パットン、ショーン・エヴァンス他
<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
ハワイ好きでなければあまり興味がわかないであろうタイプの作品。ハワイが
アメリカに併合される頃の話、23歳の若さで亡くなった悲劇のハワイ王朝の王女
(女王)の伝記映画だ。ハワイ好きの私は歴史を確認しながら興味深く観たけど
映画としての出来はごくごく普通。主演のクオリアンカが本物のカイウラニ王女に
似ていたのでちょっとびっくりした。
キャプテン・クックの上陸以降、白人化に晒されたハワイ王朝だが、遂に日本の
明治時代、白人社会の進出を防ぎきれず、アメリカに併合されてしまう。
その騒動の中、カラカウア国王の妹を母に、イギリス人を父に持つカイウラニは
父の母国へ渡る。物語のコアのひとつになるイギリスで世話になった一家の
長男との恋愛が本当にあったかどうか、はどこを見ても出てこない。
映画の中の創作だったのだろうな。
それにしても、今更だが、ハワイはアメリカに併合されなければ、いまでも
パプア・ニューギニアやキリバスなどのように国として存在してたかも、知れない
なあ。そうすると今のようなアメリカ的側面の発展はなかっただろうけど、ハワイに
とってどっちが幸せだったんだろう。 クリントンが大統領時代に併合を公式謝罪は
しているものの。
カイウラニにとっては、国が消滅したことは王族として身を引きちぎられる思いだった
に違いない。そんな思いは映画から伝わってくる。ハワイ好きとしては、アメリカナイズ
され過ぎず、ハワイ固有の文化をしっかりと継承していってほしいと願う。実際、
そんな動きが盛んになっていることは嬉しい限りだ。
それにしてもこのカイウラニ女王、美しく聡明、行動は早く、アメリカ人を中心とした
白人に王政を廃止されたことを取り消すよう、イギリスからアメリカに渡り大統領と
面会したり、しかし結局アメリカに併合され、王国は消滅したり、最後は雨の日の
乗馬で熱を出して亡くなるなど波乱に富んだ人生だったのだなあ。わずか23歳。
5歳の時には養子に入っていたカラカウア国王と世界一周に出て、明治維新後
10年ほど経った日本にも寄り、国王は明治天皇に山階宮との縁組を申し出たの
だが、天皇は維新後間もないため、ゆとりが無いし、宮はすでに岩倉具視の娘との
婚約がも決まっていたため、申し出を断る。カイウラニが5歳の時のことだ。
もし、と考えるとハワイが日本の県になっていたかもねえ・・。
<ストーリー>
「1889年、反王制派の反乱のなかハワイを脱出したカイウラニ王女(クオリアンカ・
キルヒャー)は、父親アーチボルトとともにイギリスに向かい、父親の旧友テオ・デイヴィーズと
その家族に向か入れられた。
息子クライヴ(ショーン・エヴァンス)は王女の美しさに魅かれ、妹アリスは王女が抱える
孤独を敏感に察する。アリスと一緒に寄宿学校で学び始めた王女は、人種差別に
直面する。彼女の慰めとなったのはデイヴィーズ兄妹だった。やがて王女クライヴと
深く愛し合うようになっていく。
そんなある日、王女はサンフランシスコにいたカラカウア王死去の報を受け取る。
母親代わりに慈しんでくれた叔母リディアがリリウオカラニ女王となりカイウラニ王女を
王位継承権第1位に指名する。リリウオカラニ女王は、新憲法を受け入れるように迫る
サーストン(バリー・ペッパー)やドール(ウィル・パットン)に屈しなかったため、彼らは
アメリカに軍事行動を取るよう画策する。
王女がクライヴのプロポーズを受けたと知ったテオは、アーチボルトから送られた
“王制崩壊”の電報を王女に見せなかった。しかし、ある日突然、王女のもとに父親が
姿を現す。クライヴとの結婚に難色を示す父親から電報について問いただされた
王女は隠されていた電報を目にする。彼女は故国ハワイを選び、クライヴに別れを
告げる。
父親から王制崩壊の顛末とその後に起きたアメリカ軍による国民虐殺の詳細を
聞かされた王女は、アメリカ大統領クリーブランドに暫定政権を支持しないように
要請するためワシントンに向かう。最初の上陸地ニューヨークで会見した王女は力強い
スピーチとエキゾチックな美貌、洗練された物腰で待ち受けていたマスコミを圧倒した。
評判を耳にした大統領夫人から昼食に招待された王女は持ち前の機知と外交的手腕を
駆使し、同席した大統領の懐柔に成功する。
だが王女が帰郷したとき、臨時政府が「ハワイ共和国」樹立を宣言。合併式典への
出席を拒否した王女にサーストンから歓迎祝宴を主宰するよう要請される。
サーストンの要求を受け入れる王女の心にある決意が芽生えていた……。」
(Movie Walker)
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