大統領の執事の涙 The Butler

●「大統領の執事の涙 The Butler」
2013 アメリカ Follow Through Productions,Salamander Pictures,and others.132min.
監督:リー・ダニエルズ  原作:ウィル・ハイグッド
出演:フォレスト・ウィテカー、オプラ・ウィンフリー、ジョン・キューザック、ジェーン・フォンダ、
    キューバ・グッティング.Jr.、テレンス・ハワード、レニー・クラヴィッツ他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
トルーマンからレーガンまで8代34年間に渡りホワイトハウスの執事を務めたユージン・
アレンをモデルにした小説を基に、オールサーキャストで綴る伝記映画。

大統領執事の目から見たアメリカの現代史であり、特に公民権に関する裏舞台を
描いている。ちょうど公民権運動が盛んになり、そんな中でケネディが登場し、人種差別
撤廃に動き出すが、暗殺され、更にキング牧師もマルコムXも殺される。一方ベトナムでの
戦争は泥沼に入り、アメリカの20世紀の闇が裏側から描かれている。

海外では自由の国の盟主として偉そうなことを言っているアメリカだが、ついこの前まで
激しい人種差別の国であり、ジェンダーも含めて差別が横行する社会だった。そのことを
改めて思い知らされる。アメリカ人ならばまた感想も違ってくるのではないか、自国のこと
なので。1950年代から80年代というのは闇も深かったがアポロ11号などの栄光もまた
輝いていて、アメリカがいい意味でも悪い意味でも強国でアメリカらしかった時代だ。
その中で敢えて、本作は公民権に的を絞り、奴隷の身から大統領執事までに上り詰めた
一人の黒人の目を通してアメリカという国を描いた。長くなるのは仕方がないが、主人公の
少年の時代からオバマ当選までの時間を上手いことと折りたたみ端折り、たくさんの人が
出てくる割にはストーリーが整然として面白く、感動的であった。

奴隷の身からホワイトハウス入りし、白人に仕えることで自分の幸せを見つけ出してきた
主人公。そんな父を見て反抗し、公民権運動に身を投じる長男、(後に下院議員になるが)
逆に国のために身を捧げるとヴェトナム戦争に行き帰らぬ人となってしまう二男。そんな
家族を酒に溺れながらも必死に支える母。一つの黒人家族の歴史を描いてもいるのだ。
ラスト近くでオバマを応援するペアTシャツを着ている主人公夫妻の姿がある。そして
初当選を告げるテレビの特番。涙する主人公。オバマの出現はこれまでの公民権運動を
知っている人たちには衝撃的なことだったんだなあ、と改めて思った。

フォレスト・ウィテカーは安定しているが、妻を演じたオプラ・ウィンフリーが素晴らしかった。
かつての闘士ジェーン・フォンダが、ナンシー・レーガンを演じていたのは皮肉っぽく感じたのは
私だけではなかろう。歴代大統領を演じた名優たち、レニー・クラヴィッツやマライヤ・キャリー
など出てくる役者を眺めているだけでも楽しい。

全体として地味めな作品だな、と思っていたら意外や面白く観た。中高年で結構な入りの
シネコンであった。
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<プロダクションノート&ストーリー>
「奴隷から大統領の執事にまで上り詰め、30年もの間、ホワイトハウスで過ごし、7人の
大統領に仕えた黒人男性と彼の家族の姿をつづる、フォレスト・ウィテカー主演のヒューマン
ドラマ。34年間、ホワイトハウスに勤め、トルーマンからレーガンまで8人の大統領に仕えた
実在の黒人執事ユージン・アレンがモデルになっている。

黒人差別が日常で行われていた時代のアメリカ南部。幼いセシル・ゲインズは、両親と共に
綿花畑で奴隷として働いていたが、ある事件で親を失いハウス・ニガー(家働きの奴隷)として
雇われる事になる。
その後、セシルは一人で生きていくために見習いからホテルのボーイとなり、遂には大統領の
執事にスカウトされる。それ以来、セシル(フォレスト・ウィテカー)は、約30年間ホワイト
ハウスで過ごし、アイゼンハワー(ロビン・ウィリアムズ)、ケネディ(ジェームズ・マースデン)、
ジョンソン(リーブ・シュレイバー)、ニクソン(ジョン・キューザック)、フォード、カーター、レーガン
(アラン・リックマン)といった7人の大統領に仕え、キューバ危機やケネディ暗殺、ベトナム戦争
など歴史が動く瞬間を見続けてきた。

そんな時代の中でも、彼は黒人として、そして執事としての誇りを持ちながら忠実に働き
続けるのだった。だが執事であると同時に、夫であり父であったセシルは、家族と共にその
歴史に翻弄されていく。
「世の中をよくするため、白人に仕えている」と語るセシルに妻グロリア(オプラ・ウィンフリー)は
理解を示すが、長男のルイス(デヴィッド・オイェロウォ)は父の仕事を恥じ、国と戦うために
反政府運動に身を投じる。一方、そんな兄とは逆に、国のために戦うことを選んだ次男の
チャーリー(イライジャ・ケリー)は、ベトナムへと志願するのだった……。」(Movie Walker)

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2014-02-16 14:30 | 洋画=た行 | Comments(0)