地上(ここ)より永遠に From Here to Etrernity

●「地上(ここ)より永遠に From Here to Eternity」
1953 アメリカ Columbia Pictures.118min.
監督:フレッド・ジンネマン
出演:バート・ランカスター、モンゴメリー・クリフト、デボラ・カー、フランク・シナトラ、ドナ・リード他
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<1953年度アカデミー賞作品、監督、脚色、撮影、録音、編集、助演男優、助演女優各賞受賞作品>

<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
これが天下の名作かどうかは別として、大好きなハワイが舞台でオスカーをこんなに獲っている
作品を今までなんで見ていなかったか我ながら不思議だ。オスカー発表を前にしてWOWOWが
連日放映している過去の受賞作品の一環として観させてもらった。

面白い作品だと思ったけど、オスカーをこれだけ獲るかなあという印象はある。1953年度の
オスカーノミニーを見ると、「ローマの休日」「シェーン」「第十七捕虜収容所」「リリー」「バンド
ワゴン」「キスミーケイト」などなど秀作佳作が居並んでいるではないか。

デボラ・カー、確かに綺麗だが、演技が特段上手いわけでもないし、なんで「ローマの休日」の
ヘプバーンじゃなかったのだろうか、作品賞は「シェーン」ではなかったのか、素朴にそう
思うのだが、アカデミー賞の政治的側面をみる思いだ。
助演男優のシナトラ、助演女優のドナ・リードも同じことが言える。第二次世界大戦をベースに
した悲恋物語では、(戦争後と朝鮮戦争ではあり軍隊物語ではないが)「慕情」のほうが好きかな。

さて、オスカーの事はこのくらいにして、本作の出来だ。舞台はハワイの陸軍基地。
時は日本軍による真珠湾奇襲攻撃の直前。本国から転属してきた上等兵プルーイット
(クリフト)。部隊長付副官の曹長ウォーデン(ランカスター)、部隊長夫人のカレン
(カー)、部隊の気のいい仲間マジオ(シナトラ)、そして外出の時に通う酒場の女性
ロリーン(リード)という布陣だ。 この当時の豪華スターがそれこそ綺羅星のごとく
居並ぶので、往年の銀幕スターを楽しむという側面ではいいだろう。それぞれハマり役で
あろう。加えて脇役陣にアーネスト・ボーグナインやジャック・ウォーデンらが登場する。

基本的には悲恋の話であり、根っからの軍人であるがタイプが違うランカスターとクリフトの
生き方の差を感じる作品だと思う。軍隊の理不尽さを・・という解説もあるが、陸軍は
借景であり、上官の奥様が舞台に来ちゃったり、アロハで外出してバーで楽しむなんて
のは例えボーグナインの陰湿ないじめがあったにせよ、日本軍のものとは全く違い
私はたしかに理不尽ではあるが、監察官に訴えたら?とかちゃんとシステムも機能して
いるアメリカの軍隊はむしろ健全だと思った。部下でも正義が通らないときはちゃんと
口答えしているし。これが日本軍だと「なにおお!っ、貴様上官に対して何だ!根性が
なってない、便所掃除だ」とかになっちゃうだろうな。
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<ストーリー>
「部隊長の奥様と不倫関係になり、奥様は離婚して本土に行こうとし、ランカスターに
将校になって本土に行こうという。しかしランカスターは将校になる気はまったくなく
下士官で部下の面倒を見るのがすきだったのだ。
一方クリフトは前の部隊でボクシング部に所属、試合で相手を失明させてしまう事故を
起こし、伍長から上等兵に格下げになってホノルルにやってきたのだった。

転属になった部隊長は大尉から少佐への昇任を願っていて、12月に開催される
基地内のボクシング大会で必勝し、基地の名誉を上げて昇進しようと、クリフトを
強引にボクシング部に誘う。しかし頑として受け付けないクリフト。ボクシング部員の
上官は、彼に訓練中にあれこれ意地悪をしかける。駆け足、食堂皿洗い床拭きは
もちろん理不尽ないじめは続く。しかし絶対に参ったとは言わないのだ。
そんな彼を暖かく励ますシナトラだった。またランカスターも副官としてクリフトには
一目置いていた。

ランカスターと奥様はデートを重ねるが、彼は昇任申請を出さない。一方クリフトは
休暇で出かけた酒場でロリーンという女性と出会い、一目惚れする。彼女も
本国から稼ぎがいいからと流れてきたのだった。クリフトは結婚を申し込むが
ロリーンはその気がない。兵隊とは結婚する気が無いのだ。

そうこうするうちに、シナトラが、営倉を管理する軍曹と酒場でケンカとなり、
一端はランカスターが入って事なきを得るが、次の休暇の時、運悪くシナトラは
病欠が出た警備を代わりにやるように命じられるが、部隊を抜け出て酒場に
やってきて泥酔し、MPに掴みかかって重営倉6か月となってしまう。
シナトラに復讐心を燃やしていた軍曹(ボーグナイン)は、営倉にやってきたシナトラを
いびり倒す。

部隊長夫人の離婚条件である将校昇任に踏みきれないランカスター、一方、クリフトも
昇任してロリーンと本土に帰ることを考える。そんな二人が休暇の時道の真ん中で
飲んで酔っ払っていると、そこに営倉を脱出してきたシナトラがやってきた。彼はトラックの
荷台に乗って逃げてきたのものの、とちゅで振り落とされて道路に激突、大けがを負った
のだった。シナトラはクリフトの腕の中で絶命する。
その夜かつて部隊のラッパ長だったクリフトは悲しい就寝ラッパを涙を流しながら
吹くのであった。

クリフトは軍曹に復讐を誓うのだった。相変わらずボクシング部員のいびりは続くが
ある日基地の草取りをしていた際に部員のいじめについに耐え切れなくなり彼と
クリフトの殴り合いが始まる。部隊長は観て見ぬ振りをしていた。かつて相手を失明
させてしまったトラウマがあるクリフトは顔を避けていたが、堪忍袋の緒が切れて
相手をボコボコにしてしまう。そこに部隊長が入ってきた。周囲のみんなにボクシング
部員が悪い、と言われ部隊長は引き下がらざるを得ない。

そんな様子を見ていた連隊長は部隊長の監察を始める。やがてイジメなどが露見し
彼は軍法会議で降格か追放となるところ、自ら辞表を書くということで名誉を保って
貰った。新しく部隊長となった男は、さっそくボクシング部を廃部とした。

シナトラをいびり倒した軍曹に復讐するため、休暇の時に酒場から出てくる軍曹を
呼び止め、喧嘩となる、お互いにナイフを出しての格闘の末、クリフトは軍曹の腹を
ナイフで刺して殺してしまう。自らも腹を刺される。

重傷を負ったクリフトはロリーンの自宅に転がり込む。そこから数日間基地には帰らず
脱走兵状態となった。
一方どうしても将校にならないランカスターに業をにやした夫人は別れ話を持ち出し、結局
二人は別れてしまう。夫が軍人で無くなったため本国に帰ることに。

そうしてホノルルに訪れた1941年12月7日日曜日。基地ではのんびりと朝食を摂って
いた。そこに現れた日本海軍機。真珠湾攻撃の始まりである。屋上に出て機銃掃射を
さけながら日本軍機に機関銃を打ちまくるランカスターら。

そのころクリフトは腹の傷が治らないところにラジオ放送で攻撃を知り、部隊に戻ろうと
する。ロリーンは結婚でも何でも言うとおりにするから行かないで、というが、軍隊しか
しらないクリフトはロリーンの願いも聞かず舞台に戻る。

日本軍が上陸するかもしれないと最大の警戒をする基地に平服で現れたクリフト、
怪しいやつが来たというので一斉に銃撃され、なんと味方の銃弾で殺されてしまうのだ。
あわてて駆けつけるランカスターだが後の祭りであった。

日本軍の攻撃が終わり、アメリカ本土に向かう船の中に、部隊長夫人とロリーンの
姿があった。ロリーンは失意のうちに本土へ帰るわけだが、彼の死は、軍から
「基地で飛行機を出そうとしていたところ銃撃に合って亡くなった」ということで知らされて
いた。さらに勲章も授与された。彼の母親は、勲章はロリーンが持っていて、という。
そして夫人はロリーンの口から出たプルーイットという名前にハッとするのであった。
彼が腹に傷をおって脱走中に、ランカスターと別れのデートをした時にその名前が
でたからだ。アロハオエが流れる中、夫人の投げたレイが海間に漂う。レイが着岸
すればまた戻り、そうでなければハワイには戻らないという、と・・・・。」

日本軍の攻撃はあの時代にしては良く出来ていたと思うが、あくまで真珠湾攻撃は
ストーリー転換の舞台でしかなく、本筋はランカスターとクリフトという違うタイプでは
あるが頑固な程度は同じである兵隊と、彼らに絡む二人の女性のこころの揺れを
味わう悲恋の物語だ。戦争が起きなくてもランカスターとカーはくっつくとは思えず
好きな女性との結婚に心の安らぎを求めたいクリフトも、兵隊と結婚したくないという
ロリーンと上手く行っていたかどうかは疑問だ。

allcinemaの書き込みに上手いことを書いた人がいた。登場人物は皆、「ここではない
どこか」を夢見ていた、と。

砂浜のラブシーンですっかり有名になったオアフ島のサンデービーチ近くの小さいビーチ
に今度行って、あの岩の具合とか観てこよう!

この映画の詳細はこちらまで。
by jazzyoba0083 | 2014-02-23 23:20 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)